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母の治療をめぐり兄弟間で食い違い。高齢者の命の尊厳を守る医療裁判は最高裁へ

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合意形成のプロセスは適切か

厚生労働省は07年5月、「終末期医療の決定プロセスに関するガイドライン」を発表している。林田さんの実母が亡くなったのは9月だ。これによると、「終末期医療及びケアの方針の決定手続き」という項目がある。それは1)患者の意思が確認できる場合と、2)患者の意思が確認できない場合、とがある。

林田さんの実母の場合、どの段階でのやりとりが「患者の意思の確認」とするのかも問われるところだ。林田さんは「母は90歳までは生きたいと言っていた」と主張するが、長男は「万が一の場合は、延命は不要との意思表示をしていた」と主張し、親族間でも、「意思の確認」が共有されていない。ガイドラインの注釈にはこうある。

<患者の意思決定が確認できない場合には家族の役割がいっそう重要になります。その場合にも、患者が何を望むかを基本とし、それがどうしてもわからない場合には、患者の最善の利益が何であるかについて、家族と医療・ケアチームが十分に話し合い、合意を形成することが必要です>

そうなると、合意形成のプロセスが問題になる。判決では「たとえ、控訴人(林田さん)が頻繁にお見舞いに来ていたとしても、実母の家族の全員に対して個別に連絡をとることが容易な状況であったことを具体的に認めるに足りる証拠はなく、そうである以上、キーパーソンを通じて患者の家族の意見を集約するという方法が不合理であるとは認められない」「医師がキーパーソンである長男から延命措置に関する家族の考え方を聴取していた当時、林田さんがキーパーソンと異なる意見を持っており、医師がそのことを認識し得たとは認められない」として、キーパーソンの設定には問題がないと判断した。

林田さん「判決は真実ではない。高齢者の命が大切にされていない」

林田さんは患者の自己決定権が無視されていることも含めて、判決には納得してない。そのため、最高裁に上告した。最高裁が上告を認めるためには、憲法違反や訴訟手続き違反、明らかな法令違反が必要になる。

そのため、上告が認められるかどうかは未知数だ。それでも林田さんが上告したのは、「地裁や高裁判決を認めたくないことの意思表示。判決は真実ではない。インフォームドコンセントは、単に説明だけするのではなく、納得と同意が必要なはず。高齢者の命が大事にされていないのではないか」と述べている。

最後にこう付け加えた。

「患者の事情は、一人一人違うのだから、医師達、家族達、関係者複数人で何が患者にとって最善の医療であるのかを話し合うことが必要であると思う。仮にも人として一番大事な「命」を絶つ決定が簡単に実行されたことに驚いている。これでは病院は姥捨てに悪用されかねない」

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