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東芝は濃霧がかかったまま

東芝の上場廃止の懸念は、有価証券報告書の提出によってひとまず回避されましたが、しかし、これで決着がついたわけではありません。東芝の上場維持は、引き続き、予断を許さない状態が続いています。


※都内で会見する綱川智氏(8月10日)

報道されたように、東芝は10日、延期していた2017年3月期の有報を関東財務局に提出しました。監査法人のPwCあらたは、有報について、内容はおおむね妥当だとする「限定付き適正」の意見をつけましたよね。

そして、「決算は正常化し、課題の一つが解決しました」と、都内で会見した東芝社長の綱川智氏はコメントしました。

同期連結決算では、最終損益が9656億円。国内製造業で過去最大の赤字を計上。一方、同時に発表した17年4~6月期の決算は、最終損益が503億円の黒字。半導体事業が好調だったため、営業利益は966億円でした。

とりあえず東芝は、東京証券取引所の上場廃止基準に触れることが避けられましたね。でも、PwCは、「内部統制報告書」については、「不適正」を表明した。

このことについて、綱川氏は、「今回の不適正意見については、米ウエスチングハウスの損失引当時期の認識について指摘され、関係する会計処理について不備があったという1点です。そこは、改善します。また、WHは連結から外れているので、今後不備が起きる可能性はなくなりました」と述べました。

果たして、どうでしょうか。今後、「不適正」表明は、東京証券取引所の上場廃止の審査に影響する可能性は十分に考えられますね。

さて、東芝の上場維持は、半導体事業の売却交渉をいかに早く決着させ、債務超過を回避するかにかかってきました。東証の規定では、2期連続で債務超過を解消できないと、上場廃止になる。そもそも東芝は、負債が資産を上回る債務超過の額が3月末時点で5529億円にのぼっています。何としても18年3月末までに、「東芝メモリ」を2兆円以上で売却しなければならない。つまり、土壇場にあるわけですね。

が、ご存じのように、半導体事業の売却先は、まだ決まっていません。

これまでもブログに書いてきましたが、東芝は、半導体事業の子会社「東芝メモリ」を日米韓国連合に売却する方向で調整を進めてきた。ところが、東芝と提携している米ウエスタンデジタルの反対にあって、最終的な合意にはいたっていない。

会見の席上、綱川氏は、この点についてウエスタンデジタルや鴻海精密工業とも交渉していることを明らかにしました。

問題は残された時間が、刻一刻と少なくなっていることです。かりに売却ができても、各国の独占禁止法の審査が半年以上、かかるといわれている。果たして、来年3月までに売却資金を得て、債務超過を解消することができるのかは、予断を許しません。

「容易ではなく、厳しいものがありますが、18年3月末の譲渡に向けて、最善を尽くしていきます」と、綱川氏はコメントしました。

「東芝メモリ」の売却を撤回し、IPO(新規株式公開)することについては、「現時点では考えていない」と、綱川氏は語りました。

そんなわけで、東芝はいまや、五里霧中の状況です。このままいけば、東芝が上場廃止の道を歩む可能性はなきにしもあらずです。

「上場を維持して株主や投資家にご迷惑をかけないようにしたい」
綱川氏は、そのように会見で語りましたが、どうでしょうか……。

ですから、東芝は、上場廃止の負のインパクトを恐れ、何とか回避しようとしているものの、むしろ、この際、経営破綻したうえで、経営再建をすべきではないかという意見まで出てきています。

破綻の道を選びたくても、綱川氏がその大決断をできるかどうか。依然として、東芝の前途は濃霧におおわれ、定かではありません。

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