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社員への副業許可の参考にしたい、乃木坂46が生駒里奈さんの「ツアー欠席」「舞台優先」を認めた理由 - 榊 裕葵(社会保険労務士)

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冒頭から個人的な話で恐縮だが、私は乃木坂46の生駒里奈さんの大ファンである。8月19日、生駒さんが主演の舞台『モマの火星探検記』を大阪で鑑賞して、大いに感動をした。涙をこらえられないほど感動し、最後はスタンディングオベーションで拍手を送った。

■「本業優先」が大原則のはずだが

さて、本稿の主題であるが、残念ながら本稿は、生駒さんの舞台の感想文ではない。

生駒さんは今回の舞台に集中して臨むため、本業である乃木坂46の一大イベント『真夏の全国ツアー2017』の半分以上の日程を欠席するという決断をし、運営側もこれを受け入れている。

この出来事を仮に、一般の会社に当てはめたならば、社員が本業を欠勤して副業に精を出したいことを勤務先の会社に申し出て、会社がこれを認めたということに他ならない。

私は、この点を非常に興味深く思い、本稿の筆を執ることとしたのだ。

私の実務感覚になるが、まだまだ社員の副業に対してはネガティブな反応をする会社が多い。まして、本業を欠勤して副業を優先することを認める会社なんて聞いたことがない。

■生駒さんの舞台優先が認められた4つの理由

芸能界と一般企業を必ずしも一緒にはできないが、「本業優先」が大原則の中、なぜ乃木坂46は生駒さんの舞台優先を認めたのだろうか。

私は、その理由をいくつか想像することができた。乃木坂46合同会社や生駒さん本人に裏をとった訳ではないので、推測の域を出ないのだが、少なくとも考え方としては、一般の会社員の方の副業にも通ずるところがあることは間違いないと思ったので、本稿により紹介をさせて頂くこととした。

早速だが、具体的に言えば、私は乃木坂46が生駒さんの舞台優先を認めた理由を4つ考えついている。以下、それぞれの理由と、一般の会社に応用した場合の可能性について順に言及していきたい。

■生駒さんの成長への期待

第1は、生駒さん自身の成長と、乃木坂46へのフィードバックの期待である。

生駒さんの演技は、素人の私が見ても完成度の高いものであった。私の席はかなり後方だったのだが、生駒さんの頭の先からつま先まで精いっぱい使った演技や、喜怒哀楽の表情を、舞台から遠く離れていても、しっかりと感じることができた。相当な稽古を積んだのであろうことはおのずから伝わってきた。

この舞台での経験を通じて、生駒さん自身が成長したことはもちろんであろうが、生駒さんが舞台に取り組んで学んだことや身に付けたことは、乃木坂46における今後の活動にも反映されるはずである。

つまり、生駒さんの成長は、乃木坂46にとってもプラスになるということだ。

さらに言えば、乃木坂46の外に出て活動したからこそ身に付けることができたことがあって、それを乃木坂46に持ち帰ってきたならば、素晴らしい化学反応が起きるかもしれない。

これは、一般の会社と会社員の関係に当てはめても、同じことが言えるのではないだろうか。

すなわち、社員が副業を通じて、何か新しいスキルやアイデアを身に付け、本業の成果につなげてくれる可能性があるのではないかということである。

たとえば、「親友がレストランを開業したのだが、どうしても人手が足りないので3か月だけ手伝ってほしいと頼まれました。私を3か月休職させてくれませんか?」と会社に相談した場合、「バカも休み休み言え」と言われるか、そもそも、そんな相談を会社にすること自体が非常識だというのが一般論かもしれない。

だが、それまで事務職しか経験のなかった人が、「接客」という仕事を経験することで、顧客志向が高まったり、本業の仕事に対する新たな気付きを得たりするという可能性は考えられないだろうか。

つまり、広い意味での社員教育の一環として、社員の副業を積極的に容認し、時には副業優先を認めることも、実は会社にとってプラスになる場合が、少なからずあるのではないかということである。

■生駒さんが卒業後も活躍することを願って

第2は、生駒さんの卒業後への配慮である。

生駒さんは、1995年12月29日生まれで、2017年8月現在、21歳である。まだまだアイドルとしてやっていける年齢であるが、いつかは乃木坂46を卒業する日が来るであろう。

だが、乃木坂46を卒業しても芸能界で生き残っていくためには「武器」が必要である。

先輩グループであるAKB48を見ても、既に卒業メンバーは多数いるが、卒業後も芸能界でしっかりと立ち位置を見つけているのは、たとえば演歌の実力が認められた岩佐美咲さんのように、卒業前に自分なりの武器を手に入れたメンバーである。

生駒さんが乃木坂46卒業後も芸能活動を続けるのかは分からないが、仮に続けるとした場合、本格的な舞台で主演をし、成功を収めたという経験や実績は、卒業後も大きな武器になるはずである。

一般の会社員も、60歳で定年になり、その後再雇用制度を使ったとしても、法的に雇用が保証されるのは65歳までである。その後は、年金生活に入ることになるが、現在、公的年金は支給開始年齢が引き上げられることが検討されたり、年金額も徐々に減らされる傾向にある。

したがって、一般の会社員も、60歳や65歳から、会社に頼らず生きていくためのスキルを身に付けることが望ましい。そして、会社としても、現実的に全社員の雇用を65歳とか、場合によってはそれ以上まで確保することはコスト的にも難しいので、社員が定年前に、定年後を自分の力で生きていくための「武器」を身に付けてくれたら助かるわけである。

そういった、「定年後の武器探し」をしてもらうという意味においても、社員に副業を積極的に認めるメリットが会社にとってあるのではないだろうか。

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