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小池都知事の「AI(人工知能)」発言のブラックさとは? “異次元”な珍言が連発された1週間を振り返る - 大山 くまお

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小池百合子 東京都知事
「それはAI(人工知能)だからです。人工知能とはつまり、政策決定者である私が決めたということです。回想録に残すことはできると思うが、最後の決定は文書として残していません」

テレ朝news 8月10日

 名言、珍言、問題発言で2週間を振り返る。小池百合子東京都知事が定例記者会見でおかしなことを口走った。

 長らく紛糾した東京都の市場移転問題を巡り、「豊洲移転・築地再開発」の最終判断に関する記録が都に残っていないことが毎日新聞の情報公開請求で判明。移転方針が事実上、外部有識者との協議を経て決まったことも報じられていた(毎日新聞 8月5日)。数千億円規模の巨大プロジェクトの最終判断が「密室」で下され、その資料も存在していないということになる。小池都知事は就任以来、折に触れて「情報公開は東京大改革の一丁目一番地」と語ってきたが、自らの方針に逆行しているのは明らかだ。


珍回答で記者たちを煙にまいた小池都知事 ©杉山秀樹/文藝春秋

 8月10日の記者会見で毎日新聞の記者に「情報公開という知事の方針に逆行するのでは」と問われた小池都知事から「それはAIだからです」という珍回答が飛び出した。「回想録に残すことはできると思う」とも語っているが、そんな主観だらけのものを後々発表されても意味がない。石原慎太郎元東京都知事に「都民が知りたいのはファクトだ」と迫った同じ人とはとても思えない(ハフィントンポスト 2月17日)。

 小池都知事が率いる地域政党「都民ファーストの会」所属の都議会議員、おときた駿氏は自らのブログで、小池都知事が毎日新聞社主催のAIなどをテーマにしたフォーラムに出席したことに触れ、「リップサービスの意味を込めて笑顔で『AI』という切り返しに至ったのではないか」と擁護している(8月11日)。冗談だったというのか。

「密室」で下された意思決定のプロセスにも批判が集まっている。前大阪市長の橋下徹氏はツイッターで「この意思決定は大問題」と批判した(8月10日)。それに対して、おときた氏は、「自ら『決定責任はすべて取る!』と明確にした意思表示であり、これまでの都政の意思決定のアンチテーゼ」とあらためて小池都知事を擁護。さらに「民意を受けた政治家が政策決定するにあたり、個人的な相談や思考内容をどこまで残して公開するべきかというのは、非常に難しい問題でもあります」と議事録を残さなかった判断を肯定してみせた。一連の流れについて、民進党の板橋区議会議員、中妻じょうた氏は「『都政の完全ブラックボックス化』完成」と表現している。


ブラックボックス化が進む都政 ©文藝春秋

 17日、小池都知事が任命した2人の特別秘書の給与について、都が情報を開示しないのは不当だとして、フリージャーナリストの三宅勝久氏が情報公開を求める訴えを東京地方裁判所に起こした(NHK NEW WEB 8月17日)。小池都知事は、政策への助言などを行う特別秘書として、都民ファーストの会の野田数(かずさ)代表と元読売新聞記者の宮地美陽子氏を任命しているが、7月に三宅氏が情報公開請求した2人の給与などに関する文書は黒塗りにされていたという。これも「都政の完全ブラックボックス化」の表れなのかもしれない。

 議事録などの記録がない、というのは、森友学園問題で財務省のあらゆる記録が廃棄され、公開された公文書も黒塗りにされていたことを思い出させる。安倍政権は国民の不信感を招き、内閣支持率急落の一因となった。小池都政も同じ轍を踏むのだろうか。

野田 数 都民ファーストの会代表
「異次元の規模で発信、情報公開をしている」

Sponichi  Annex 8月13日

 毎日新聞が7月の東京都議選で当選した127人の都議に行ったアンケート結果が議論を呼んでいる。安倍政権の評価や憲法改正の賛否についての質問に、第1会派「都民ファーストの会」の議員のほとんどが無回答とし、その理由についてほとんどの議員が「都政に専念するため」と書き込んだためだ。都民ファーストの会本部から示された模範回答をそのまま書き込んだものと見られており、所属議員からも「自由な発言が許されない雰囲気がある」という声が上がっているという(毎日新聞 8月6日)。


「菅話法」そっくりな野田数都民ファーストの会代表

 都民ファーストの会は新人が39人を占めるが、都議が報道機関の取材に応じる場合は原則として本部の許可を得る必要がある。報道機関も本部に都議への質問内容を事前に提出することを求められている。このことについて野田数代表は「民間企業なら当然の対応。うちは既存政党よりも確実に情報公開が進んでいる」とコメントしている。

 野田代表はスポーツニッポンの取材に対して、「(メディア規制との)批判は承知していない。事実ではないので何のコメントもない」と回答。どこかで見たやりとりだな、と思ったが、これ、菅義偉官房長官の「菅話法」そっくりだ。

「開かれた政治集団だと我々は自信を持って言える」「異次元の規模で発信、情報公開をしている」とも語った野田氏。い、異次元! ならば、特別秘書としての給与もすぐに公開するだろう。また、自らが非議員であるということについては「選挙に選ばれたら偉いんですか。米国の閣僚は選挙で選ばれてますか。日本の大臣だって民間人もいるでしょ」と返したという。野田氏が偉そうということはよくわかった。

若狭 勝 衆院議員
「新党の名称は、全く別の国民の皆様に親しみをもって呼んでいただける名称にしなければならない」

ブログより 8月9日


若狭勝衆院議員 ©杉山拓也/文藝春秋

 小池百合子都知事の側近で、自民党を離党した若狭氏が立ち上げた政治団体「日本ファーストの会」。言うまでもなく「都民ファーストの会」が国政進出した際の受け皿となる団体だ。

 当初は「国民ファーストの会」という名称になると思われていたが、後藤輝樹氏が5月に政治団体「国民ファーストの会」を届け出していたことから、重複を避けたと見られる。また、発明家のドクター・中松氏も今年4月に「日本ファースト党」の商標登録を出願しており、ツイッターで「『日本ファースト』の元祖はドクター・中松であることをお忘れなく」と念押ししている(東京スポーツ 8月12日)。船出早々、すさまじいケチのつきっぷりだ。

 日本ファーストの会という名称への批判も巻き起こっている。多くの人が思い浮かべるのは、ドナルド・トランプ米大統領が唱える「アメリカ・ファースト(米国第一)」。国際協調よりも自国の利益を最優先する主張だ。排外的な空気が色濃く、差別も容認する。在日特権を許さない市民の会(在特会)の前会長、桜井誠氏が立ち上げた政治団体の名も「日本第一党」である。日本ファーストの会の名と酷似しており、桜井氏は同会に質問状を送付したという。

 作家の平野啓一郎氏はツイッターで「モロに極右のネーミングやな。対外的にどう見られたいのか?」と批判(8月6日)。ジャーナリストの江川紹子氏は「名は体を表すというが、自国優先や排外主義を思い起こさせる名前にためらいはなかったのだろうか。センスが悪すぎる」とコメントした(佐賀新聞 8月14日)。

 名称に関する批判が起こると、若狭氏はブログで「将来設立される新党の名称ではありません」と釈明。「全く別の国民の皆様に親しみをもって呼んでいただける名称」にしなければいけないと書き込んだが、じゃ、なんで「日本ファーストの会」って名前にしたんだろう? 適当だったんだろうか? 若狭氏の物言いもずいぶん適当に見えてしまうのは気のせいだろうか。

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