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親御さん、気をつけて!子どもの認知能力の成長は軽度の睡眠障害でも妨げられる

aslysun / Shutterstock.com

著:Anna Joyceコベントリー大学 Research Associate in Sleep and Cognition)

 私達は誰もが、夜の十分な睡眠の大切さを知っている。しかし、鼾をかくこと、夜に目覚める、夢遊病、不眠症など、子どもの睡眠障害はよくあることである。

 脳の成長を支え、神経経路を強化し、免疫システムを促進するなど、睡眠にはさまざまな役割がある。その睡眠が妨げられた結果として、多様な身体的また精神的な問題が生じる。乳幼児期や就学前であっても、睡眠障害は精神面や運動面での発育不良と関係するのだ。つまり、子どもが学校に行き始める年までに、睡眠障害のある子どもたちはすでに同学年の子ども達に遅れを取っているのだ。

 子ども達の約20~30%は何らかの睡眠障害を経験すると考えられている。最も一般的な睡眠障害の一つは睡眠呼吸障害であり、この症状は鼾をかく程度から本格的な閉塞型睡眠時無呼吸症候群(以下、OSA)まで様々である。これは上気道が閉塞されることにより睡眠時に呼吸困難になる疾病である。子どもが鼾をかくからといって、必ずしもOSAが原因であるとは言えない。子ども達の約12%は鼾をかき、約3%だけがOSAを持っている

 OSAを持つ子ども達は、通常は呼吸が苦しくなり、夜間睡眠時に何度も目が覚めてしまう。呼吸が中断することにより、血中酸素濃度が急激に低下することもあり、その結果、脳を含む体内の組織や細胞への酸素運搬を減らしてしまう。

 このような種類の睡眠障害は認知能力の成長を妨げ、子ども達の考える能力、集中力、情報処理能力や記憶力などに影響を及ぼすと報告されている。これまでの研究により、睡眠呼吸障害を持つ子ども達は知能指数(IQ)が低く、学校であまりよく出来ないとも報告されている。

◆熟睡する


 私達は最近の研究において2歳~4歳の44人の子ども達(このうち22人はダウン症候群を持つ)を対象にして、睡眠呼吸障害が認知能力の発達に及ぼす影響に注目した。ダウン症候群を持つ人は、筋緊張が低かったり、気道が細かったり、へんとう腺やアデノイドが大きかったり、というような身体的特徴によりOSAを経験することが多い。彼らは睡眠障害とも関係している可能性がある認知能力の遅れや行動障害も経験する。

 この研究は、睡眠障害が未就学児に及ぼす影響を知ることが目的であった。未就学期の発育段階における能力は、就学準備ができるかどうかや、将来の人生像などをも予測することによく使われる。

 研究対象の子ども達はコベントリー大学に集まり、そこで語学力、運動能力や視覚技能を計測される。子ども達の両親に子どもの語学能力や行動についての質問もおこなう。その後、両親は子ども達の呼吸、心拍や睡眠中の酸素濃度等を計量するための在宅用機器を持ち帰ったのだ。

 その結果、私達が発見したことは、典型的な発展段階のグループにおいて、睡眠時に酸素濃度が最も減少した子ども達が最も低い言語表現能力を持ち、つまり、考えを言葉や文章にすることに最も難易を示したということである。また、睡眠呼吸障害を持つ子ども達は最も態度が悪かった。彼らの両親は、優しい、人を助ける、などといった社会的によいとされる行動よりも、問題行動をより多く報告した。

◆ぐっすり眠る


 研究の対象者に深刻なOSAを経験した子どもは一人もいなかった。このことから、比較的軽度な睡眠呼吸障害であっても、それ以外は至って健康である子ども達に認知能力の遅れを生じさせるに十分であることがわかる。子どもの軽度のOSAは気付かれなかったり認識されない事も多く、現段階ではどの程度のOSAが治療する必要があるのかという一致した意見もないため、これは重要な指摘である。

 また長時間の睡眠を取った子ども達は、恐れ、緊張、不満などの情動性症状がより少ないこともわかった。これまでの研究結果により子どもの睡眠障害の治療は通常、惰動性症状の改善につながるということがわかっていたので、うなずける。子どもの時の睡眠障害は大人になってからの不安障害をも予測可能であるという事までもが明らかになった。

 しかし、ダウン症の子ども達に関する研究結果は食い違ったものであった。このグループでは睡眠呼吸障害を経験する子ども達の方が実際には言語理解能力が良く、より多くの動きやジェスチャーを会話の中に取り入れていることが明らかになった。これらの子ども達は典型的な発展段階の子ども達よりも長い睡眠時間をとっている。つまり、睡眠呼吸障害により生じる悪い影響を、睡眠時間を長く取ることで防ぐことが可能であるのだ。

 これらの調査の結果として、睡眠は子どもの認知能力の成長に影響する一つの要因に過ぎないことがわかる。しかしながら、軽度の睡眠障害も認知能力発達の妨げと関係しうることから、睡眠障害に早期に対応することの重要性が分かる。早期に対応するかしないかが、就学時に達する際に大きな違いをもたらすかもしれない。

This article was originally published on The Conversation. Read the original article.
Translated by Conyac

The Conversation

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