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北芝健が描く「警視庁強行犯捜査官」という小説

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私は元警視庁刑事として、この春、小説の単行本としては、自分史上初の単行本「警視庁強行犯捜査官」を出しました。おかげさまで読者からも好評で、増刷されています。

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実は、私は小説家でもあり以前から小説は何度か発表していましたが、だいたいは月刊雑誌等でしたので、一冊まるごとの仕様は初めてでした。基本的にはエッセイや実用本が多く、多岐にわたるジャンルを制限なくやって来たこともあって、まとまった量の小説を書く機会がなく、何年もフラストレーションにさらされていました。

一方では「こち亀」(こちら葛飾区亀有公園前派出所)も含めマンガの原作を長くやって来たので、ストーリーを作るという作業には慣れています。しかしマンガには作画という行程があり、作成したシナリオつまり「セリフ」と場面説明を絵にしなければ成立しません。

だいたいは出版社の担当編集者の組織内ポジションが良い評価になるように、人気の出るマンガに仕上げて行く事が大命題です。そこが大丈夫という見込みになれば、試験的実施として数回の連載がマンガ週刊誌で許され、毎回行われる人気を測るアンケートで一定の評価を取ったら連載が続きます。

そしてそれがある程度溜ったら、今度は「単行本」としてひとカタマリの実績になります。その途中にはマンガ家や編集者との多数回のミーティングがあり、彼等との関係性つまりチカラの差でストーリーの傾向を変えられたり登場人物の要不要も決まる事が多いのです。

しかし自分の筆で書いた小説には、それがありません。面白い要素や珍しい要素がなければ本は出ないし、実用本と違って表現形式も自分独自のスタイルになります。

そういった中で「警視庁強行犯捜査官」は、刑事マンガや殺し屋マンガ、医療マンガ等をやって来た僕が、スタイルの制限なしに書いた作品で、自分なりに「よし、よし」と頷くストーリーとなりました。

どんな世界にも存在するネガティブな部分にも言及

「警察小説」とも言われる分野には入れられていますが、もともと警察という機構の信者になったこともアンチになったことも無い僕が、大変素直に現実を描写しているので当然どんな世界にも存在する問題点つまりネガティブな部分に言及もする事になりました。

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機構のメンツを守れば公務員つまり組織人としては合格とされる愚かな人口も多い中で、僕は護民官、護命官としての自覚をかたときも忘れた事はなかった為、真の社会貢献をしない連中とはしばしば対立もし、時に有形力の行使まで行ってその世界の道義心を護りました。

「法」と言う社会ルールは人間が作ったもので、必ずしもその執行結果が当事者を幸せにしない場合もあります。医療従事者でなければ生死の瀬戸際にある命を、例えば心臓マッサージや人口呼吸等を施す行為をやってはいけない年月もありました。

それが出来る者がその場に居れば、そしてその行為を正しく行う能力があれば、生命を救うことになります。御当人のイノチだけでなく、家族・友人達の悲しみを回避する事も可能になるのです。

しかし資格の有無が実行行為を拒む場合、果たしてそこを突破するエナジーは出現するのでしょうか。それが出来る能力があり、それが必要とされる時点で目の前の命の火が消えて行くのを見ているのみを強いるルールは果たして「最大公約数」としての役割を全うしているのか、と問う場合があります。

事なかれ主義、責任回避主義と言われようともルールを守ることで「正しさ」がまかり通る。しかし生命は失われる。ここを突破するのは「警視庁強行犯捜査官」に出て来る主人公の人生理念です。

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