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原子力発電のコストは本当に安いのか?

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原発は経済問題である」との主張があるように原発推進の理由としてその低コスト性が挙げられてきた*1。次の図は原子力2010 [コンセンサス]*2における各種電源の発電比較である。



たしかにこの図によれば、原発は低コストに見える。しかし、ほんとうに安いのだろうか?

この疑問に対して、立命館大学の大島堅一教授が社会的費用論の観点から、トータルコストに関する試算を行い、第48回原子力委員会定例会議における「第7回原子力政策大綱の見直しの必要性に関する有識者ヒアリング」の場で報告している。
この資料はよく参照されるが、その妥当性について批判も多い。本エントリでは建設的な議論の叩き台とすべく、なるべく反論も含めて紹介したい。なお、大島教授は福島原発の事故を受けて、国際環境NGOであるFoE JAPANにおいて追補版にあたる次の資料を公開しているので、今後はこちらを参照するほうが良いだろう。

エネルギー政策の費用の考え方



次の表は原子力発電にかかる費用の内訳を記したものだ。上記の報告では①から③について取り扱っているが、福島原発の事故を受けて④の費用についても数兆円単位の数字が報道されているので、本エントリの最後で追加的に取り上げたい。
発電の費用
①発電に直接要する費用(燃料費、減価償却費、保守費用等)





②バックエンド費用使用済燃料再処理費用







放射性廃棄物処理費用低レベル放射性廃棄物処理費用
高レベル放射性廃棄物処理費用
TRU廃棄物処理費用
廃炉費用解体費用
解体廃棄物処理費用
③国家からの資金投入(財政支出:開発費用、立地費用)一般会計、エネルギー特会から
④事故に伴う被害と被害補償費用原子力発電は莫大。料金原価
には不十分にしか反映されて
いない。福島第一原発の被害
費用は数兆円規模といわれる。

原子力に固有の費用としては、バックエンド費用と呼ばれる使用済み核燃料再処理費用、放射性廃棄物処理費用、廃炉費用が挙げられる。これらは料金原価に含まれており、電気料金として毎月徴収されている。

電源ごとの単価実績



次の表は電力各社の有価証券報告書総覧を基礎に算定した電源ごとの発電単価実績である(円/kWh)。冒頭の40年運転の試算コストと実績には当然のことながら乖離が存在する。ここで大島教授は揚水発電は出力調整がコスト上行いにくい原子力発電を補完する設備であるとして、原子力発電のコストは「原子力+揚水」で見るべきだと主張している(表右)。こうしてみると原子力発電のコストは決して他と比べて安くはない。

原子力火力水力一般水力揚水原子力+揚水
1970年代8.857.113.562.7240.8311.55
1980年代10.9813.677.804.4281.5712.90
1990年代8.619.399.324.7750.0210.07
2000年代7.298.907.313.4741.818.44
1970-20078.649.807.083.8851.8710.13

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