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この史実にどう向かい合うのか「731部隊の真実 ~エリート医師と人体実験~」

昨晩のNHKスペシャル「731部隊の真実 ~エリート医師と人体実験~」はショッキングなドキュメンタリー番組だった。軍の要請とはいえ、日本のエリート医師が、「お国のため」と自らを正当化し、多額の研究費を得て、人体実験に関与していたという史実が、実名や写真とともに赤裸々に描かれていたのだ。

この番組を観ながら、すぐに思い出されたのが、ナチスドイツのT4作戦だ。これは、優生学思想に基づいて行われた安楽死政策で、知的障碍者、認知症高齢者、寝たきりの高齢者など7万人が殺害された。ここでガス室の予行演習が行われた。ここに、多数のドイツ人エリート医師が、人体実験に参画していたのだ。後にカトリック教会からの抗議で中止されたが、その後も、医師が自発的に人体実験を行っていたという。

遠く、ナチス・ドイツの出来事と思っていたことが、規模こそ異なるとはいえ、日本軍とエリート医師において起こっていたのだ。また、生物兵器を作り、実践していた。この史実を、日本人の何人が知っていたのだろうか。

さらに、複雑な気持ちにさせたのは、戦後、冷静さを取り戻した社会における彼らの態度だった。何事もなかったのように、大学に戻り、医学研究者として成功していた者の名前が挙げられていた。NHKは番組の中で、東大に取材を申し込んだが、「組織的な関与はなかった」との回答があったと明記していた。

番組の最後で、後悔の言葉を述べ、自殺した医師が紹介されていた。それは、番組制作者の気持ち、つまり、「他の人々も事実に向かい合って、自らを振り返ってほしい」という希望であったと思う。われわれ日本人は、この史実にどう向かい合うべきなのか。「見て見ぬふり」は許されないのではないか。終戦記念日を前に、非常に重い課題が提示された。

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