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仕事への姿勢と働き方変革 その1

当社のマリーナ部門で最近働き始めたT氏はカナダの僻地でのタグボート(曳船)乗船業務で30年以上頑張ってきました。僻地勤務では家族と基本離れ離れで月1回程度だけ家族に会えるという生活です。それでも長く頑張ってきたのですが、歳も歳で、奥様から「そろそろ陸に上がってください」というお願いもあり、一大決心をして当社で働くことになりました。陸といっても浮き桟橋上での仕事ですが。

「陸の仕事はどうだい」と声をかけると「最高だよ。時々ワイフとランチを一緒に取ることもできるし、なんていっても通勤ができるんだ。」と嬉しそうでした。

彼にとっての30年の曳船業務は彼なりに頑張れたのだろうと思います。しかし、今、彼は「二度と曳船業務には戻らない」と断言しています。それは遅かりし発見ですが、二度目の人生を歩むのにもっと良い仕事を見つけたということでしょう。

一方、これとはまったく逆の選択をしたケースもあります。当社の元従業員で30歳そこそこだった日系のN君は「自分はカナダの沿岸警備隊員になる」と志し、その資格が取れる専門の4年制の大学の入学許可をもらいます。「頑張れよ」と送り出し、バンクーバーとは正反対の大西洋岸のその大学で寮生活に入ります。1年に一度、クリスマスの頃、戻ってくるたびに酒を飲み、エールを送り続けました。厳しい訓練と勉強でドロップオフする学生が多いなか、1年留年しながらも晴れて卒業、今は太平洋側の警備隊員でオフィサーとして活躍します。

彼曰く、勤務は1か月間、自由の利かない船上生活、そして一か月休暇という極めて特殊な勤務体系。休暇中はアルバイトでも海外旅行でも何をしても自由だそうです。30代半ばで二つ目の大学を出て、太平洋の荒波にもまれる仕事に意気揚々と取り組む彼のそのパッションは「俺は世話になったカナダのためにすべてを捧げたい」であります。

私はそんな彼が大好きで陸に上がってきたらいつでもビールを御馳走すると約束しています。

北米では仕事を転々とする人が多く、日本的な価値観からすると「粘りがない」「飽きやすい」「うちの会社も腰掛けか」といったネガティブな評価がつきまといます。私も正直当初はそう感じていたのですが、長く人事も手掛けていると雇われる側の目線に立つことができます。その時の気づきとは「人は必死に自分に適性がある仕事を探し、成長を模索するのだ」と。だから仕事が簡単すぎてもだめだし、難しすぎてもだめで、あとはとにかく、コミュニケーションを続けることであります。

それと私は従業員に「辞める」と言われれば「どうぞ」と背中を押します。理由は辞めると決めたその決心は自分の次のステップを見つけたからにほかなりません。なのに「そう言わずに…」と押しとどめても仕事にやらされ感が残るだけです。

以前、このブログでアンジェラ ダックワース氏の「グリット(やり抜く力)」という本をご紹介しました。この中で子供には様々な経験をさせよ、と氏が説いているのですが、実はこの様々な経験は子供だけではなく、何歳になっても同じだと思うのです。自分へのチャレンジは死ぬまで続くのだ、と私は解釈しています。

とすれば日本の会社勤めの方々の「やらされ感」は半端ではありません。かつては「企業戦士」とも言われましたが「生活の糧の企業囚人」となっている方もいらっしゃるのではないでしょうか?

当社の商業不動産部門のテナントにクリーニング店があり、長く務めるアフリカ出身の75歳の店員がいます。彼としばしば雑談するのですが、なぜ、この歳になってまで仕事をするのか、という話になったとき、「俺は小さいときにアフリカから難民でカナダに来た。そして手に職をと思い、クリーニング屋であらゆる修行を積み、どんな仕事もできるようになった。だからその教えてもらった経験は大事にしてそれが生かせる仕事を続けたいんだ」と。

今日は私の周りにいる人々がなぜ、今の仕事をしているのか、ご紹介しました。どの人もパッションと意識を持って仕事をしています。もちろん、生活の糧もあるでしょうが、仕事とは何か、とことん、追及している点で日本とはだいぶ違うスタンスではないでしょうか?

仕事への姿勢と働き方改革、大きなテーマです。この話、明日、もう少し続けてみたいと思います。

では今日はこのぐらいで。

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