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戦闘は一目瞭然ー転機を迎えた国連平和維持活動(PKO)➀

さる5月28日に放映されたNHKスペシャル「変貌するPKO 現場からの報告」は衝撃的だった。南スーダンに派遣された日本の自衛隊PKOが一触即発の危機にあったことが一目瞭然で分る中身だった。これを見たひとは誰しも、よくぞ無事だったと胸をなでおろす一方、日本のPKO部隊が戦闘そのものに直面していたことに疑いを持つはずがないといえよう。

2016年7月8日から10日にかけて自衛隊の宿営地はまさに戦場のさなかにあった。政府軍と反政府軍が各国PKOの宿営地を挟んで、砲弾を打ち合う状況下にあったことを、この番組は見事に捉えていた。これまで、世界各地での紛争を映像で見ることはあっても、日本の自衛隊をその場に発見することは皆無であった。あのイラクやアフガンでも戦場からは遠く離れていたからである。

それが今度ばかりは違った▶2016年6月にジュバに派遣された第10次隊は、いきなり厳しい局面に遭遇した。テレビ取材に防衛省が応じたわけではない。この日の放映は、隊員が自らのスマホで撮った映像や、匿名を条件に音声も換え、顔も見せずに帰国後の取材に応じた姿をもとに報じていた。道路敷設工事などを始めとするインフラ整備に従事するために、彼の地に赴いたのであって、およそ武器を使用するような場面にはぶつからないはずとの発言もなされていた。

しかし、実際は違った。監視塔に銃弾が直撃し、砲弾が頭上を飛び交う事態に直面した。宿営地は文字通りパニックに陥り、死を覚悟した隊員もいた。「今日が私の命日になるかもしれない。これも運命でしょう」と書置きさえも綴っていたことが紹介されていた。こうした隊員の行為の是非や真偽については敢えてここでは問うまい▶こうした出来事が日々の現地での部隊の日報に記されることは当然のはず。

ところが、後にその記録をめぐって大騒ぎになったこと(今も続行中)は周知のとおりだ。自衛隊員がいる場所で、戦闘が起こったとなると、そこから外れなければならない。日本のPKO5原則は、紛争に巻き込まれることを認めてはいないからだ。直ちに撤収する必要がある。「戦闘ではなく、衝突であった」というような、言葉遊びに近い稲田防衛相(当時)の発言があったり、日報そのものが破棄されて存在しない、というような不可思議極まることが次つぎと報じられた。

「政治」によって現場の自衛隊員の直面した事実が消されようとしたのである。

▼日報問題の顛末を追っていると、日本の自衛隊の位置づけの不自然さが際立つ。そもそも本来は「軍隊」でありながら、「戦闘」をすることは憲法のうえから認められていない。「国際貢献」を旗印に、海外に派遣されたPKO部隊において、隊員は身の危険が迫り、撃たねばわが身がやられるという時には、武器の使用は認められる。身近なところで仲間が危機に瀕していても、見て見ぬふりを余儀なくされてきたが、ようやく「駆けつけ警護」の名のもとに、助ける行為が可能になった。

二重三重に縛りを受ける特殊な「軍隊」である自衛隊。万が一の際にはどうすればいいかは、まさに高度な対応力が求められる。その格好のケースが起きた。尤も、映像を見ている限りでは、自衛隊の宿営地を「砲弾」が襲ったのであって、個別の隊員が身を護るために、発砲を余儀なくされる場面であったわけではないように見えた。

つまりひたすら身を隠し、砲弾の通り過ぎるのを避けていればよかった。その点、「戦闘か、衝突か」といった事態認定に曖昧さが入るゆとりが、幸か不幸かあったと言えるかもしれない。だが、そうした事実そのものを隠蔽しようとした自衛隊幹部、防衛省中枢の罪は極めて大きいと言わざるを得ない。結果、認めたくない「戦闘」があったことを証拠づけたようなものだからである。(2017・8・13)

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