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【中日】甲子園は盛り上がっても“野球離れ”は止まらず ドラゴンズにできる対策は? 文春野球コラム ペナントレース2017 - 竹内 茂喜

野球に興味のない子ども増加中

 暦は8月。子どもたちにとっては夏休み真っ最中。多くの宿題を片付けるのはさぞかし頭の痛い話だろうが、この夏しかできない体験をたくさん味わってもらいたいものである。そんな中、ちょいとばかり信じられないというか、がっかりする報せが友人から届いた。

「地域のラジオ体操へ参加者した子どもたちへの土産にドアラが表紙に載っているドラゴンズノートを配布したところ、あまりの不人気の為、余ってしまったので良かったら使わない?」という話だった。

事の詳細を聞けば、どうもドアラやドラゴンズが嫌いというわけではなく、単純な話、野球そのものに興味がない子どもが多いようなのだ。これってよく考えればゾッとする話に聞こえないか。


余ってしまったドアラノート ©竹内茂喜

 先日、テレビで観ていた高校野球の試合で、解説者が『野球人口は減っていると言いますが、高校球児は増えているんです』と話しており、まだまだ野球も安泰だなと安心していたのだが、どうも調べてみると野球競技人口自体は減少しているようだ。

特に小中学生は深刻。この10年間、減少に歯止めが利かない状況となっている。軟式と硬式を合わせ、小学生は約31万から約25万人、中学生は約34万人から約23万に減っているという数字がある(全日本野球協会調べ)。

 私の自宅前に小学校があり、ひと昔前であれば、放課後や休みの時はグラウンドの取り合いで子どもたちが野球や、軟式テニスボールを使って、バットの代わりに手で打つハンドベースボールが盛んに行われていたが、今では野球のクラブチームが使用する程度で開店休業中の時が多い。野球という競技自体、“やる子”“やらない子”がしっかり二極化していることが、競技人口の減少につながっているように見える。

 私のような50歳超える世代は生活の中に野球が普通に溶け込んでいた。知らぬ間にグローブを持ち、学校が終われば近所の仲間と日が暮れるまで野球をし、たまに父親が早く帰宅した時は路上でキャッチボールをしたものだった。誰に教わるということもなく自然にルールも学んだ。そんな幼少時から野球を身近に接していた為、日本の野球文化は発展し、また世界の中でもトップレベルの力を身につけていったに違いない。

 今ではキャッチボールのできない親がいるとも聞く。野球に全く関わらなくて育った世代が親へと成長したわけだ。また、サッカーや水泳といった野球以外のスポーツを学ぶ子どもや、塾に行く為、時間が取れずスポーツをしない子どもが増えたのも野球離れをいっそう加速化させている。ましてや野球をする広いグラウンド、キャッチボールをする場所すら見つからない始末。

野球に興味を持つ子はクラブチームへ、興味のない子は全くしないといったように差は広がるばかり。この事態をプロ野球各球団ともに黙ってみているようではなさそうで、我がドラゴンズも最近では積極的に子どもへアプローチをしているようだ。

未来のためにドラゴンズに望むこと

 昨年球団創設80周年記念事業としてドラゴンズベースボールアカデミーを設立。今年で2年目を迎え、鈴木孝政校長のもと、園児年長〜小学校4年生の男女を対象にこれから野球を始めたい、または未経験者で野球に興味がある子どもを教えるキッズ野球教室を開催し、野球の楽しさを実感してもらおうとするプログラムを用意しているという。誠に結構なことである。

地元のプロ野球チームが率先して地域の子どもたちへ野球の素晴らしさを伝えてもらえるなんて昔では考えられなかったこと。ただ願わくば、野球人口減に歯止めがかからない今、もう少し、いやもっとプロ野球チームの底力を発揮してもらいたいと思う。

 ドラゴンズであれば、親会社は新聞社。各地域に新聞専売店が存在するわけで、今以上に草の根運動が展開できると期待してしまう。もちろん自治体、地元企業、できることならば町内会等からも力を貸してもらい、子どもたちをバックアップしてもらえれば最高だ。何月何日××小学校へ集合! みんなでキャッチボールをしよう! なんて、はじめの一歩のから元選手の指導の下でリスタートしてもらえたら、子どもたちには素晴らしい経験になろう。同じタイミングで大人、親たちにもコーチをしてもらえることができれば有難い。

 子どもにとっては親が一番の先生となるわけで、親子キャッチボールが日常生活に根付くことが野球普及には一番効果が期待できよう。できることならばおじいちゃん、おばあちゃん、お母さんまでもグローブを持ってキャッチボールを楽しんでもらう。考えただけでも素晴らしい光景が目に浮かんできそうだ。某スポーツメーカーが流していた野球好き好きCMのようにみんな笑顔で楽しくボールを追いかけてもらいたい。そして参加した子どもにはドラゴンズ帽をプレゼントし、街中にCDマークを溢れさせようじゃありませんか。

 自分の住む町で野球に興味を覚え、好きなチームの帽子を被り、そしてその子たちがナゴヤドームへ挙ってやってくる。入場者減少で頭を痛めるドーム関係者も願ったり叶ったりの話。まさに相乗効果とならないか。

 野球の楽しさ、面白さという地道な種蒔きを今のうちから一刻でも早く、展開してもらいたい。でなければきっと後悔することになる。言葉を換えれば、ドラゴンズ自体の存亡にも関わってくる話となる。このまま無策のままで時を過ごせば10年後、20年後、きっと今以上に野球は日常生活から遠のき、衰退していよう。それを回避する意味でも野球という愛すべき球技をマイナースポーツにしないよう、ドラゴンズだけでなく他の11球団の力を結集させ、“日本の野球”をいつまでもいつまでも守り続けてもらいたい。

 暑い夏、熱い夏には野球がよく似合う。未来永劫、全国の球場から絶え間なく大歓声が聞こえることを願ってやまない。

◆ ◆ ◆

※「文春野球コラム ペナントレース2017」実施中。この企画は、12人の執筆者がひいきの球団を担当し、野球コラムで戦うペナントレースです。コラムがおもしろいと思ったらオリジナルサイトhttp://bunshun.jp/articles/3775でHITボタンを押してください。

(竹内 茂喜)

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