記事

日本郵政の買収戦略はどう変わるか? トールで4000億円の特別損失計上

「買収価格が高かったかもしれない」。日本郵政の長門正貢社長は5月の会見で、子会社化から2年で約4000億円の特別損失計上に追い込まれた豪州物流会社トール・ホールディングス買収失敗について、反省の弁を述べた。経営環境は厳しい。収益の大半を稼ぐ傘下のゆうちょ銀行、かんぽ生命は低金利の長期化で資金運用難に直面。はがき需要が減り続けている日本郵便も低収益にあえぐ。トール買収は前社長の西室泰三氏(東芝元会長)が主導。2015年11月に日本郵政の上場を控え「成長性を大きく見せようという気持ちがあった」(長門氏)ことが裏目に出た。日本郵政は17年3月期連結決算で連結純損益が赤字転落。07年の民営化以来、初である。


日本郵政社長 長門 正貢氏(時事通信フォト=写真)

長門氏は日本興業銀行出身で、富士重工業に転じ北米事業の拡大に副社長として貢献。その後、マネーロンダリング対策の不備など不祥事に揺れたシティバンク銀行の会長となり、コンプライアンス体制の立て直しに尽力した。長門氏は15年にゆうちょ銀行の社長に就いたが、体調を崩した西室前社長に代わって昨年4月に日本郵政のトップとなった。

今年5月に表面化した野村不動産ホールディングスの買収交渉は、価格などの条件が折り合わず白紙となる見通しとなった。野村買収についてはトールの失敗直後でもあり、「また高値づかみになりそう」(大手証券)といった厳しい見方が大勢で、社内にも懐疑的な意見が多かった。戦略の見直しを迫られる長門氏の次の一手に注目が集まりそうだ。

----------

日本郵政社長 長門正貢(ながと・まさつぐ)
1948年生まれ。一橋大学卒。72年日本興業銀行(現みずほ銀行)入行。シティバンク銀行会長、ゆうちょ銀行社長などを経て2016年4月より現職。

----------

(山下 守 写真=時事通信フォト)

あわせて読みたい

「日本郵政」の記事一覧へ

トピックス

ランキング

  1. 1

    セネガル代表で戦う欧州出身選手

    六辻彰二/MUTSUJI Shoji

  2. 2

    闇の派遣 女性を乗せた車の正体

    NEWSポストセブン

  3. 3

    大地震でホームレスが困ること

    ビッグイシュー・オンライン

  4. 4

    理想の恋愛関係に挿入は要らない

    ニャート

  5. 5

    仮想通貨取引所を規制で潰す日本

    Hayato Ikeda

  6. 6

    オール与党の多選がもたらす弊害

    田中龍作

  7. 7

    サッカー解説に大島優子・待望論

    NEXT MEDIA "Japan In-depth"

  8. 8

    韓国が行う竹島での訓練に疑問も

    NewSphere

  9. 9

    エレカシ宮本「GLAYに心折れた」

    SmartFLASH

  10. 10

    舛添氏 国会ヤジ問題で党に苦言

    舛添要一

ランキング一覧

ログイン

ログインするアカウントをお選びください。
以下のいずれかのアカウントでBLOGOSにログインすることができます。

コメントを書き込むには FacebookID、TwitterID のいずれかで認証を行う必要があります。

※livedoorIDでログインした場合、ご利用できるのはフォロー機能、マイページ機能、支持するボタンのみとなります。