記事

新聞が書かない新聞の闇  新聞奨学生は求人詐欺!?

1/2
 新聞奨学生募集パンフレットと実際の仕事の中身が違う。これでは、求人詐欺ではないか…。新聞社名を使い新聞配達をする学生を募集しているが、そこには、新聞が書かない闇が隠されている。

haitatu

■パンフレットと実際が違うブラック事例

 朝夕の新聞配達などの業務をすることを条件に大学や専門学校の授業料を返済不要の「奨学金」として支給するのが新聞奨学生だ。朝刊と夕刊配達の合間に通学できる時間があることから古くから制度だ。

 新聞奨学生は、朝日新聞、読売新聞、毎日新聞、日本経済新聞、産経新聞など新聞社名がその冠に掲げられており、各新聞社系統の新聞奨学会が授業料を必要とする学生を募集している。

 利用するのは、学費を払えない家庭や授業料は自ら払いたいという学生が中心。筆者も新聞奨学生だったこともあり、社会常識とは異なった世界があるな、とその当時から思っていた。今でも他人事ではないと考えている。

 その新聞奨学生がなぜ、求人詐欺ではないかと問われているのは、募集パンフレットに書かれている内容と実際の労働条件が異なっている例が少なからずあるからだ。

 パンフレットのうたい文句とは異なり、学校に行けない労働環境で働くことで、結果として学校を辞めざるをえなかった。学校に行けないのだから、新聞奨学生を辞めたいと申し出ても、すでに「奨学金」として学費を支給しているのだから、「奨学金」をすべてすぐに返済しないと辞めさせてくれない。もともと学費を出せないから「奨学金」に申し込んだのだから返せるわけがない。学校にも行けず、「奨学金」返済のために新聞配達を続けている。このような例も出てきている。
 
 また、学校のパソコンを使わないとレポートが書けないのに、その時間が業務と重なってできない。新聞代の集金業務では、払わない人の新聞代を代替わりさせられて借金が増えてしまった。有給休暇があると書かれているのに、もらえたことがない。罰金制度があり、何かと理由をつけられて給料が減らされる。パワハラが横行しているなど、ブラックな実例が8月4日に都内で開催されたシンポジウム「新聞奨学性と求人詐欺」で紹介されていた。

 何のために「奨学金」なのか。そもそも「奨学金」と何なのか?

IMG_7463

■法改正が追い風になるか

 このシンポジウムは、日本新聞労働組合連合(新聞労連)と新聞通信合同ユニオンが主催したもの。元新聞奨学生で、今回のような新聞奨学生の問題を以前から提起している村澤潤平さん(新聞奨学生SOSネットワーク)と労働政策に詳しい上西充子法政大学キャリアデザイン学部教授らがパネラーとなり現状の問題の報告と今後についても話し合われた。

 求人詐欺問題に詳しい上西教授は、新聞奨学生の制度は複雑だが、鍵となるのは奨学会だ。特に先の国会で改正職業安定法が成立した(※)ことで、募集時と労働契約締結時の労働条件が違っていてもよかったことが、今後はできなくなる。変更点がある場合は、求職者に明示することが義務付けされることになった。

P2200627

 また、これまで新聞奨学会は、仕事を紹介する事業者なのか労働者を募集しているだけなのか曖昧だったが、法改正に伴いだされた厚生労働省指針(厚生労働省告示第232号)でも明らかになったように職業紹介にあたるだろう。新聞奨学会が紹介事業者として許可を得ていないのであれば取るべきだと話されていた。

 法改正が追い風になり、詐欺といわれないようにすることが新聞奨学会に求められることになる。

■ブラック求人

 仕事を紹介するだけの場合は、何時、どこで、このような仕事を募集しています。申込みと詳細は募集者に直接申し込んでくださいといった情報提供のみのケースだ。その昔によくあったアルバイト情報誌で仕事を見つけ、募集している事業者に直接電話するケースといえる。

 紹介事業者は、仕事内容をサイトなどで宣伝し、募集事業者ではなく紹介事業者に申し込みを行い募集事業者と応募者の仲立ちをする。募集事業者は、人材募集の手間が省け、事務作業や広報費用を削減できるメリットがあるが、そのぶん、一定の紹介料を紹介事業に支払うので仕組みなのが違いだ。

 情報提供であれば、募集者が仕事の中身について責任を持てばいいが、申込みを受けて実際の紹介するのであれば、そこに仕事内容が募集と違うことはあってはならない。人を紹介して利益を上げている以上、そこに異なる仕事の内容を示していれば、求人詐欺といわれても否定できないだろう。

 ところが、改正前までは、異なった内容で募集すると紹介事業者に罰則規定はあったものの募集事業者には罰則がなかった。募集事業者が虚偽の募集をしてはならないのは当然だとしても、紹介事業者が内容が異なった内容で募集しても罰則がなかったのだ。

 そのため、人手不足が背景となり、実際の仕事と異なる内容や給料をより高額で募集し、応募してきた人は実際の条件とは異なる仕事に就いてしまう例が横行し「ブラック求人」として社会問題となっていた。このことが背景となり法改正へ結びついたのだ。

■曖昧な業務内容

 画像は奨学会のウエッブサイトにある現状での業務内容の説明の一部だ。上西教授が指摘していたが、曖昧なことが掲載されている。

 例えば、一日平均6時間程度の業務という表記や(①)、給料は平均とあるが(②)、時給なのか月給なのか分らない。平均と程度という曖昧な表現が二つも重なっている。どこまでの時間なのか地域や販売店によって業務が変わり給料も変わります(③)との表記では、実際の給料や業務は分らないといっているようなものだ。さらに、集金や折り込み広告の準備、営業(新聞拡張)、帳面付けなど事務作業はどの程度あるかも分らない。上西教授は、明確に表記すべきと指摘されていた。

syogakusei1

syogakusei2

 このような記載では仕事をしてみなければ、実際の内容は分らないといえる。しかし、パンフレットと違うと新聞奨学会にクレームを伝えても、実際の雇用契約は新聞販売店と奨学生が結ぶため、奨学会では対応できないとの対応だったと報告されていた。

 複雑な制度が、闇をさらに濃くしている。

あわせて読みたい

「奨学金」の記事一覧へ

トピックス

ランキング

  1. 1

    水原希子「日本人」発言は捏造

    西村博之/ひろゆき

  2. 2

    解散を要求していたのは野党側

    和田政宗

  3. 3

    豊田議員糾弾は大衆によるリンチ

    小林よしのり

  4. 4

    iPhoneXで生活は全く変わらない

    永江一石

  5. 5

    国民に刺さるのは左翼でない野党

    AbemaTIMES

  6. 6

    水原希子ヘイト騒動 本人も問題?

    メディアゴン

  7. 7

    車道ベビーカーなら「日本死ね」

    花水木法律事務所

  8. 8

    都知事 秘書の異常待遇言及せず

    週刊金曜日編集部

  9. 9

    10月解散総選挙なら自民の不戦勝

    NEWSポストセブン

  10. 10

    最低の解散に河野外相賛成するか

    郷原信郎

ランキング一覧

ログイン

ログインするアカウントをお選びください。
以下のいずれかのアカウントでBLOGOSにログインすることができます。

コメントを書き込むには FacebookID、TwitterID のいずれかで認証を行う必要があります。

※livedoorIDでログインした場合、ご利用できるのはフォロー機能、マイページ機能、支持するボタンのみとなります。