記事

高齢者のがん治療 エビデンスは少ないけど妥協点を探す 教科書としての答えはありません

がん拠点病院の治療成績の報告がなされた事で、75歳以上の治療をしない患者の割合が多いことが報告されました。

>例えば27年に早期の状態であるステージIの大腸がんと診断された40~64歳の患者では、9割以上で手術や内視鏡、抗がん剤を組み合わせた治療が行われ、治療が行われなかったのは1・6%だった。しかし、75歳以上では3倍近い4・6%、85歳以上では18・1%で手術や抗がん剤治療が行われず、その割合も年々、増加傾向だった。
それでも4/5以上がなんらかの治療を行われています。それは標準治療なのか、それとも減量治療なのかこの記事ではわかりません。そして正しい緩和治療がなされているかも不明です。

どの治療を行うのかは本当に難しく、私も今までなんども記事に書かせていただいています(最近の記事1)。そして血液疾患というものは他のがん治療と少し違うのですが、本当高齢者のがん治療、緩和の問題含めて大切な問題です。

そんな中バズフィードの岩永さんの記事です。( 高齢がん患者どこまで治療するか 手術も抗がん剤もしない選択  75歳以上は、部位や病期によって体の負担が重い治療をしない傾向が明らかに

>「通常ならば、患者の身体状況や臓器機能を評価して治療方針を決めますが、高齢者の場合は心身状態の個人差が大きく、若い人と同じように決めた場合、問題が起きる可能性があります。元気であれば標準治療が可能な人もいるでしょうが、対症療法だけの方がいい人、減量治療の方がいい人の割合も若い人より多くなります」
この個人差を考えるとオーダーメイドにならざるを得ないんですよね。医学的にはフレイルを定義して治療を行うことがなされてはいるのですが、それこそ社会的問題(介護状況、一人暮らし、通院手段、医療費、本人希望)などをしっかり押さえてからでないと抗がん剤治療を始めてはいけないと個人的には考えています。周りのバックアップがないと本当がん治療が悲惨な状況を生み出します。

>「がん治療の臨床研究はほとんど75歳未満が対象になっており、高齢者のがん治療の科学的根拠(作者追加:エビデンス)はほとんど作られていません。そもそもその治療に医学的なメリットがあるのか、デメリットの方が大きいのか、認知機能の問題や意思決定のサポートをどうするか、明確な基準もないまま現場の医師は悩みながら治療方針を決めているのが現状です」
はい。その通りです。そして繰り返しになりますが、がんの種類、症状などでもパラメーターを変える必要があります。そしてこのようにエビデンスがなくても高齢者のがん治療は行われます。でもエビデンスがないインチキ免疫治療ほど叩かれていないことは事実としての認識が必要です。

>日本臨床腫瘍学会は、高齢者のがん薬物療法のガイドライン作りに着手し、来年早々にも公開される予定だ。また同学会では、医師向けに高齢者のがん治療をどうすべきかの教育プログラムを作成することを決めた。
最終的にはエビデンスを作ることが大切ですが、お金の問題、安全性の問題含めて企業側が臨床試験を行うことはほとんど不可能な状況であることを理解していなければいけません。それを考えると学会はどんなエビデンスをもとにガイドラインを作成し、そして医師たちに教育するのだろう?

>「今回、高齢がん患者が増加している現状が示され、どのように対処していくべきか社会に広く問題提起されたはずです。身体機能や栄養、精神機能や持病への処方状況など、高齢者の心身の機能評価を適切に行うことはもちろんですが、治療方針の決定には本人や家族の死生観や希望も関わります。遅すぎた感はありますが、がん医療に関わる専門家だけでなく、社会全体で高齢者のがん治療をどうするべきか考えていかなければなりません」
ここには死生観、そう尊厳死の問題の議論も必要です。そして広い意味における自治体における社会保障のあり方も。夕張がいいのか東京がいいのか。お金をかけるのかそうでないのか。全てみんなで決めなければいけません。教科書としての答えはありません。

あわせて読みたい

「がん」の記事一覧へ

トピックス

ランキング

  1. 1

    ダム決壊 韓国紙が東電に難癖

    tenten99

  2. 2

    那覇市長選 与党が敗北した要因

    田中龍作

  3. 3

    堀江氏「もう一度東大受ける」

    MAG2 NEWS

  4. 4

    AI無人店舗は万引きの概念変える

    赤木智弘

  5. 5

    サウジ皇太子の脅威だった記者

    六辻彰二/MUTSUJI Shoji

  6. 6

    「考え方が甘い」時差Bizに指摘

    NEXT MEDIA "Japan In-depth"

  7. 7

    銀座ママ 好き嫌いで仕事すべき

    MONEY VOICE

  8. 8

    有休義務化 日本はやせ我慢社会

    自由人

  9. 9

    北の法王招請に能天気すぎる韓国

    高英起

  10. 10

    誰もが美人? ハーフが苦しむ偏見

    ビデオニュース・ドットコム

ランキング一覧

ログイン

ログインするアカウントをお選びください。
以下のいずれかのアカウントでBLOGOSにログインすることができます。

コメントを書き込むには FacebookID、TwitterID のいずれかで認証を行う必要があります。

※livedoorIDでログインした場合、ご利用できるのはフォロー機能、マイページ機能、支持するボタンのみとなります。