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「核兵器は絶対悪」から「戦争は絶対悪」へ

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 8月の日本には、平和への祈りの風景がある。広島に原爆が落とされてから、すでに72年が経過した。直接の体験者たちは、すでに2世代以上過去の人になった。それでも語り継ぐ人たちがいて、世界から話を聞きに来る政府代表者が80人も集まったとのことだ。ここでは誰もが核兵器は二度と使われてはならないと言う。平和な未来をつくろうと言う。

 今年になって、世界はようやく「核兵器を使ってはならない」ことで合意した。核を持たない中小国が先頭に立って、国連の場で禁止の条約を採択させたのだ。ところがこの条約には、核を保有する大国は参加しないし、安倍政権下の日本も参加しなかった。そして参加しない国には、条約の効果は及ばない。

 その一方で、世界の大国は核兵器が使われないことを前提にして国づくりを進めている。大都市の社会インフラも生活空間も、核戦争から市民を守るようには作られていない。核兵器は手放せないと言いながらも、自国が核で攻められるとは思っていないのだ。それならなぜ核兵器が必要かというと、抑止力として必要という理屈が返ってくる。

 でも、これはおかしい。抑止力という考え方は、結局は、自分だけが武装して他を圧倒していれば安心だという「力による支配」に帰結するからだ。対等でない力関係は、安定的に長く続くことはできない。弱者は必死になって、一点でも勝てるようにと努力するから、いくら監視していても終りが見えないのだ。

 そうではなくて、ここは「核兵器が絶対悪」ならば、「戦争そのものが絶対悪」だという、単純明快な真実に立ち返るべきなのだ。戦争は人間の文明史とともに歩んできたが、その役割は20世紀までで終了した。どんな意味でも、戦争は人類の未来のために有益ではなくなったのだ。

 そのことに気づいた日本国の憲法は、やはり先進的だった。この憲法を「みっともない」と貶めようとする総理大臣は、それこそ「みっともない」存在と断ずるほかはない。

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