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「休息負債」を招く「山の日」

■「山の日」は「ハッピーマンデー制度」の拡大バージョン

 昨年(2016)から、お盆前の8月11日が国民の祝日「山の日」として施行されたことによって、お盆休みが1日多くなった。連休日が1日増えたことは、海外旅行に出かける人や遠方の実家に帰る人にとっては有り難いことなのだろうけれど、実際に年間休日数が増えたわけではないという人(私も含む)は大勢いるのではないかと思う。

 祝祭日を除いた完全週休2日制を採用している企業であれば、年間休日数も1日増えるのかもしれないが、そうでない多くの企業(変形労働時間制を採用している企業)では別の日(例えば5日や19日の土曜日)が出勤日になるので、実質的な年間休日数は増えない。年間休日数が増えないのに祝日を増やしても、休日の先取りか休日の後取りになるだけであり、これは言うなれば、「ハッピーマンデー制度」の拡大バージョン的な代物だとも言える。

■「睡眠負債」と「休息負債」

 お盆休みが、本来、5連休のところが6連休になったとしても、別の週の休日が出勤日になるのであれば、定期的に身体を休めたい労働者にとっては有難迷惑な話であり、余計にストレスが溜まることになる。

 最近は「睡眠負債」という言葉もある通り、休日にしても、まとめて取ればいいというものではない。平日は寝不足でも休日にまとめて眠れば疲労が癒されるというわけではなく、なるべく規則正しく睡眠を取るのがベストだということは誰もが肉体的な実感として認識していると思う。休日にしてもこれと同じで、まとめて取るよりも、定期的に取る方が、睡眠と同様、肉体的にも精神的にもベターだと言える。

 「日本の労働者は、お国柄、有給休暇を取得しづらい」、そういった無言の訴えを忖度する意味で「祝祭日を増やせばよい」と考えられたのかもしれないが、先程、述べた通り、企業人全ての休日が増えるわけではない。単に連休が増えるだけで、休日日数は変わらない場合が多い。そういった制度を決めている人々の休日は純増するのだろうけれど、世間一般の多くの労働者にとっては「休息負債」を招く有難迷惑な制度になっていることも考えていただきたいと思う。

 逆に、パートタイム(時間給)で働いている人は、休日が増える分、給料も下がることになる。そう考えると、どんぶり勘定的な正社員の月給制度こそが「休息負債」を招く元凶なのかもしれない。

 なんにせよ、こういった問題の根源には、労働時間に囚われている日本の労働観が重く横たわっている。「正社員(月給制)であるからには、何時間働かなくてはならない」 仕事の質や量には目もくれず、時間だけに縛られた時代遅れな労働観が「睡眠負債」や「休息負債」を招く遠因となってもなんら不思議ではない。

 政府も「働き方改革」を標榜しているのであれば、労働時間に囚われない制度作りをすることが重要だと思われるのだが、実際に行われるのは、表面的な制度を弄くる(見せかけの休日を増やす)のみ。先進国であるにも拘らず日本人の幸福感が滅法低いのは、こういった時代遅れな労働観にも大いに原因があると思われる。

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