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相続の種類別トクする処理、大損する処理

(フリーライター 山口 雅之)

■資産2000万円家庭は要注意!

2015年1月に相続税の改正が行われ、基礎控除額がこれまでの5000万円+1000万円×法定相続人の数から3000万円+600万円×法定相続人の数と4割も引き下げられた。それでも相続税の申告が必要なのは全体のわずか6%。ほとんどの人は相続税など関係ないのである。

だが、ウチは相続税を支払わなければならないほど資産家じゃないからと高をくくっていると、あとで泣きを見ることになるかもしれない。相続の実務に詳しい新月税理士法人代表社員の佐野明彦氏によれば、相続で本当に大変なのは、節税や税金対策よりも、誰が何をもらうかで当事者どうしが感情的にぶつかり合う「争続」のほうだという。

「相続税の支払い対象になるような資産家は、たいてい事前に準備をしっかりしているので、本人の死後に『争続』が起こるケースは、実はそれほど多くないのです。いちばん頻発するのは、資産2000万~3000万円の家庭。これくらいだと親も子供も『あとは適当にやってくれ』『まあなんとかなるだろう』と思っているので、日ごろ相続について話し合うようなことはまずありません。

それで親が亡くなると、途端に『この土地だけはどうしても自分がほしい』『ろくに介護もしなかったあいつにはできるだけ渡したくない』といった一人ひとりの気持ちが、露骨に表に出てくるのです。さらに、そこに息子の嫁や娘の夫など、相続の当事者でない第三者が『もっととってきなさいよ』『そんな土地より現金をもらってこい』と口をはさんでくる。そうなると人間関係は壊れ、それまで仲がよかった兄弟姉妹が、何年にもわたって口をきかなくなるような事態になってしまうのです」

ほかにも、親が自分の財産について子供にきちんと話をしていないと、死後、整理や手続きをする段になって、どこに通帳や株券があるかわからなくて、あたふたするということもよくあるそうだ。そんなのはまだいいほうで、なかには家族の知らない隠れ借金が出てきたり、愛人や隠し子を名乗る人たちが弁護士を引き連れて突然現れ、遺産相続の権利を主張したりといったことも、決して珍しくないという。


(図1)アンケート調査概要:「実家の親の問題」について 編集部とアイブリッジで実施。40歳以上の男女100人より回答を得た。調査日: 2016年7月25日
(図2)出典:日本生命保険相互会社が行った「敬老の日と老後・相続」についてのアンケート調査より。回答者1万610名。調査日は2015年8月1~20日。

しかし、あの世の人に事の真相や本当の気持ちを確認するわけにはいかない。だから、家の財産や自分が死んだら何をどうしたいかといった話は、親がまだ健在なうちにきちんと聞いておくべきなのである。たとえいまは健康でも、高齢になると認知症のリスクは確実に高まるということも忘れてはならない。

親や兄弟姉妹が集まるこのお盆に、相続について家族みんなで腹を割って話をしてみたらどうだろう。

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