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「タワマン節税」どこまで許されるか

板村 和俊 税理士法人エスネットワークス常務理事/税理士 板村 和俊

■人気の「タワーマンション」節税目的は要注意

マイナンバー制度の導入で、税務署は個人の財産内容を簡単に把握できるようになります。そうなれば税務調査はより厳しくなり、現在は「グレーゾーン」にある節税策も無効になるかもしれません。そのひとつとして考えられるのが脚光を浴びている「タワーマンション節税」です。

これは高額なタワーマンションを購入することで相続税を減らす方法です。現金や預金、有価証券と異なり、マンションのような不動産では、一定の計算式で評価額を算定し、それに対して相続税が課税されます。この評価額が往々にして「売却時の時価」とは異なる点がポイントです。

マンションの相続税は、土地を「路線価」、建物を「固定資産税評価額」で評価します。路線価は時価の約80%、固定資産税評価額は時価の40~60%くらいなので、この時点で現金よりも有利です。

さらにタワーマンションは、時価に占める建物の割合が大きく、一戸あたりの土地の持ち分が小さいため、より評価が低くなります。とりわけ「節税効果が大きい」とされているのは、高層階の超高級住戸です。同じ棟内であれば、相続税の評価額は住戸のある階数や方角などに関係なく、専有面積に応じて一律に決まります。タワーマンションでは高層階になるほど面積当たりの価格が高くなる傾向があるため、高額な住戸ほど節税効果は大きいとされます。

具体的には、1億円程度の都心のタワーマンション物件なら、評価額は3000万円程度になると考えられます。相続税法上の特例などを使えば、課税価格はさらに少なくなり1500万円程度にまで圧縮できます。つまり1億円の現金を相続するのに比べて、相続税額は85%減の1500万円分で済むわけです。

ただし、こうした「節税策」が税務署に認められるかどうかはわかりません。タワーマンションの建設が相次ぐようになったのは最近のことです。国税庁の財産評価の通達には「著しく不適当と認められる評価額は国税庁長官の指示を受けて評価する」との例外項目があります。またこれまでにも売買価格などを評価額として課税された例があります。また裁判でも売買価格と評価額の格差が2.2倍だったケースでは、東京高裁が売買価格に基づく課税を正当として「節税」を認めませんでした。

■即時売却をしない「ストーリー」が重要

メディアで相次いで取り上げられたタワーマンション節税に対し、2015年11月、国税庁が課税を強化する方針だと、新聞各紙が報じました。相続開始直前の購入や居住実態がないようなケースでは厳しいチェックを受けることになります。

私の事務所にもタワーマンション節税についての相談がたびたび持ち込まれています。私は「相続税の圧縮が目的の場合にはおすすめできない」と話しています。言い換えれば、中長期の財産運用の一環としてタワーマンションを購入するのであれば、特に問題はないということです。

私は「ストーリーが重要です」と説明しています。購入の目的はなにか。誰が住むのか。使用頻度はどれぐらいなのか。こうした事実関係があいまいなままに相続目的で購入し、被相続人が亡くなり次第売却するようでは、「いきすぎた節税」とみられてしまう可能性が高いでしょう。

国税庁は現場での運用を「方針」という形で、税制調査会の議論に応じて変えることがあります。しかし法律が変わったわけではありません。説得力のあるストーリーがあれば、法律に則った適用が受けられます。自分だけで勝手に判断せず、ぜひ専門家に相談してください。

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板村和俊
税理士法人エスネットワークス常務理事。税理士。富裕層や企業オーナーの相続・事業承継コンサルティング、組織再編にかかわる税務アドバイザリーなどを手がける。編著に『税務からみた会社議事録作成のポイントと文例』『Q&A会社税務のポイント』。

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(税理士法人エスネットワークス常務理事/税理士 板村 和俊 構成=大山くまお)

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