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進行していたのは政治の私物化だった

 内閣改造などの話題のかげに隠れてしまったが、森友・加計学園問題の解明を忘れてはならない。この問題は籠池夫妻の逮捕という形で幕引きが図られているが、この逮捕は「補助金適正化法」に違反する行為を、「詐欺罪」に仕立てた無理な立件だと、郷原信郎弁護士は述べている。
http://www.huffingtonpost.jp/nobuo-gohara/why-kagoike-arrest_b_17645492.html

 つまり問題にされたのは学園建設費にかかる公的補助金の不正受給だけであって、もっと大きな金額の「国有地の値引き払い下げ」は不問にされているというのだ。問題の国有地には、「ゴミが埋まっているのでその除去費用を控除する」などの名目で、大幅な減額が行われた。そこにはまた、学園の右翼的な性格と、そこに親和性を示す総理大臣夫人の顔が出てきたりする。もし順調に進んでいれば、関係者すべてが満足する結果が得られたことだろう。

 では、これが「事件」として注目されるようになったきっかけは何だったのか、ちょっと気になって調べてみた。すると1枚のポスターに行き当たった。

加計ポスター20170325143433

 このポスターを街頭で見かけたのは、豊中市議の木村真(まこと)氏だった。靖国神社や教育勅語がでてくるポスターの構成から、特異な右翼思想の学校ができるのかと思い、その背景を調べてみる気になった。そして国有地が不自然な価格で払い下げられた事実をつかみ、それをビラ配りで訴えつづけて、新聞社が取り上げるまでに漕ぎつけたというのだ。

 もしこの告発がなかったら、国有地の払い下げが問題にされることはなく、籠池氏夫妻は「教育勅語」を尊ぶ奇特な教育事業家として首相夫妻の「お気に入り」に列せられ、安心して事業の拡大にまい進することができたに違いない。籠池氏としたら、すべて順調に行っていたのに、最後に自分だけが悪者にされて切られたという憤懣を隠すことができないだろう。

 つまり想定外の告発者さえ出てこなければ、国有地の値引き払い下げなどに興味を持つ者はいなかったろうし、国策?に適応した右翼教育小学校は無事に開校して、首相夫妻以下、すべての関係者が満足する結果になったに違いないと思われるのだ。もし批判がマスコミから出るにしても、朝日新聞が小学校教育の右傾化を憂える記事を書くぐらいのところだったろう。

 この問題に、もし「巨悪」があるとしたら、それは「政治の私物化」ということだろう。政治的な目的と、個人的な利益とが相乗するときは、世にも幸せな蜜月が出現するものだ。戦時中の軍部と、巨大工業の経営者の関係がそうだった。教育の世界にだって、それはあり得る。今回は不運にして夢破れたが、似たようなことは、形を変えてこれからも起こる可能性がある。

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