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蓮舫の政治センスのなさはすべて「日刊スポーツ」が教えてくれた 「なんだかなぁ」という紙面づくりの妙味 - プチ鹿島

 昨年の夏に、初の女性都知事が誕生してから1年が経った。

 都知事は最初から「大本命」として出馬し、下馬評通りに地盤の東京で圧勝した。

 自民党が担いだ増田寛也氏は大差の2位に離された。当時は安倍1強と呼ばれていたが、このときに民進党は東京から反攻の機運を高めたともいえる。今年の都議選で民進党は都議会の第1党に躍り出た。

 蓮舫都知事は現在の勢いに乗り、いつ国政復帰を仕掛け、初の女性総理を目指すのか。週刊誌の格好のネタである。


©三宅史郎/文藝春秋

蓮舫都知事、の可能性はあった1年前

 ……こんなことを書いてみたが、思えば都知事が「小池百合子」ではなく「蓮舫」になっている可能性は確かにあった。政治家の旬という意味でも。

 先週の「蓮舫氏、民進党代表を辞任」という一報を聞いたとき、政治とはタイミングなのかとつくづく思ったのである。

 では、いかに蓮舫氏が1年前の都知事選で本命だったか、当時の空気をみてみよう。

「民進党 蓮舫氏『国政で』 都知事選候補練り直し」(毎日新聞WEB 2016年6月18日 )

《都連国会議員は「今まで蓮舫氏一択だった。説得は続ける」と話した。しかし、参院選公示が迫るなか、蓮舫氏の翻意は困難とみられる。他に有力候補は見当たらず、選考は難航が必至だ。》


©田中茂/文藝春秋

 このとき蓮舫氏は、

《「私の(女性の社会進出を阻む)『ガラスの天井』は国政にある」とも述べた。「ガラスの天井」は米大統領選でヒラリー・クリントン前国務長官が使う言葉だ。9月までに実施される民進党代表選への意欲が背景にあるとの見方もある。》

 都知事ではなく、民進党の党代表を狙うことを宣言したのである。

「強敵」の蓮舫氏が都知事選の出馬を見送ったことで、このあと小池百合子氏が手を挙げた形となった。

 蓮舫氏を擁立できなかった民進党は元ニュースキャスターに飛びつき、惨敗。小池劇場に手を貸した。

蓮舫が「センスない」理由

 今年7月の都議選では小池人気の前にさらに埋没した民進党。結果的にそれが「蓮舫代表辞任」の要因のひとつになったのだから皮肉というか、政治ドラマの怖さというか。もしあのとき蓮舫氏が決断していたら今日の小池ブームもなかったかもしれない。そう考えると日本の政治史でもかなり重要な分岐点だった。

 去年の都知事選から1年弱で民進党代表を辞任すると表明したした蓮舫氏について「日刊スポーツ」はこう伝えた。

「ガッカリ 蓮舫代表 『センスない』党内の声」(7月28日)

 ちなみに隣の見出しは「いまさら 稲田防衛相」。


日刊スポーツ7月28日付より

 蓮舫&稲田の真ん中には大きく「辞任」という文字が。二人セットで記事を合わせ技にすることで「なんだかなぁ」という空気が紙面からうまく出ていたのである。

 ちなみに蓮舫氏が「センスない」というくだりはここ。

《昨年9月、党で初の女性代表に就任してまだ10カ月だ。今は安倍政権が揺らぎ、野党第1党として攻め時。都議選直後の辞任なら新体制の構築は早かった。党内の空気と向き合わなかったツケが党にも及び、「センスがない」との嘆きも出る。》

 もしかしたら蓮舫氏が「センスがない」のは、昨年の都知事選で証明されていたのかもしれない。

嗅覚がなくて、「ワル」にもなれなかった人

 もちろん蓮舫氏が都知事選ではなく民進党の党代表を目指したことは何も悪くない。「将来、総理になりたい私がなぜ都知事に?」と正論をまっすぐ言われたら誰も言葉を返せない。

 しかし世の中には「将来、総理になりたいから都知事選に出る」という人だっているのである。たぶん。

 そういう狡猾な選択のほうが政治家としての嗅覚を見せつけられる場合もある。周囲も我々も「おぬしもワルよのぉ」ぐらいしか言えなくなるのだ。「劇場」をたっぷり見せられながら。


©志水隆/文藝春秋

 それに比べると蓮舫氏は普通だった。それが「センスがない(=嗅覚がない)」にもつながるのではないか。

 たとえば今回の代表辞任もそうだ。都知事選の翌日にすぐさま辞任表明すれば、

「悪いのは蓮舫代表だけなのか」「蓮舫の潔さにくらべて稲田ときたら……」という論調が出たであろう。

 そんな判断を見せつけたら「おぬしもワルよのぉ」感が蓮舫氏にも出たはずだ。

 しかし現実は「あの」稲田氏と同じ日に辞任。結果的によくないイメージを割り勘してしまった。勝負勘がないと言われても仕方がない。

 政治とはタイミングも重要……。そう感じたこの1年の蓮舫氏の振り返りでした。

(プチ鹿島)

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