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異例、意表だらけの世の中

日曜日の日経電子版。トップ見出しが「北朝鮮ICBM、意表突く発射の背景」その後に「中国、異例ずくめの軍事パレード 習氏の掌握映す」とありました。異例も意表も「想定外」ということかと思います。世の中、そんな過去の慣習から外れたことはいくらでも並んでいます。

トランプ大統領が選ばれたのも異例と言えば異例。韓国で朴槿恵元大統領の弾劾であんなに国民が強く反応したのも異例。そういえば少し古いですが、日銀は異次元の金融緩和を行いました。

株の世界でも同様。想定外がおきると株価は強く反応します。株の世界で想定外とはアナリストなどの事前予想と実際の決算発表が大きくずれ込んだ時、ポジティブサプライズとか失望といった反応を示します。それ以外にアナリストの予想をもっと上回るだろうと市場が勝手に期待している時に想定通りの決算着地すると株価は大きく下げます。理由は「利益確定」つまり、これ以上目先材料がないとみるわけです。そう考えると投資家とはなんとあまのじゃくなのでしょうか?

なぜこうなるのか、といえば一言でいえば情報化がもたらしたという一言で結論づけられてしまうのでもう少し考えてみたいと思います。

戦後、72年たったわけですが、第二次世界大戦終了時は日本だけでなく世界中が疲弊し、リセットされた時期でありました。その中で本土が戦場と化すことがなかったアメリカが主導権を握り、経済復興を進めます。合わせてベビーブーマーは世界で大きな労働力となります。つまり、「よーいドン」がそこにあったわけです。

私は当時、世界のベクトルが同じ方向を示していたと解釈しています。その間、工業を推進し、消費財を生み出し、人々は持ち家を模索します。企業と従業員と家族は完全一体化しています。ところがこれが崩れたのが日本の場合、バブル崩壊でした。

あのバブル崩壊がもたらしたものを単なる経済的クラックとすると判断を誤ると思います。一番注目しているのは人々の好みが90年代以降、多様化したことです。「多品種少量」という言葉が出るのもそのころ。「個の時代」が芽生え始めるのもその頃です。

つまり、戦後同じ向きだったベクトルがバラバラになり始めたと考えています。それを後押ししたひとつが「地球の歩き方」だったと思います。いわゆる海外旅行が団体から個人に、そして学生の卒業旅行となり、若者が世界を見て歩くようになります。それまでの王道であったハワイ、香港、グアムからインドにはまる若者が急増します。東南アジア、北アフリカあたりは日本人若者旅行のメッカとなります。これは若者に大きな刺激を与えたといってよいでしょう。

言い換えれば管理されていた社会から解放され、個がそれぞれの道を歩む自由を手に入れたとも言えます。就職もそうでした。終身雇用が崩れ、転職を受け入れる企業が増えます。かつては30代前半が転職の限界だったのがどんどん年齢は上がり、今では明白な制限はあまり聞こえてきません。能力さえあれば企業は採用してくれます。

これは日本に限らず、世界中で同時進行で起きている「人間の解放運動」のようなもので自己表現の自由を手に入れたということでしょう。趣味の世界を覗いてみましょう。スポーツはかつてはプロレス、そして野球でした。それがサッカーの登場とともにマラソン、テニスといった伝統的スポーツからボルダリングまでならわかります。テックボール、ビーチテニス、ドローンサッカーとなれば想像がつきません。

これは我々の常識は刻々と変化し、時として覆されるものなのだ、と置き換えたほうがよいのでしょう。金正恩氏が何を考えているかわからない、とメディアは報じます。習近平氏は自己の権力固めのために敵対するライバルを捕らえ、どこかに連れ去ります。日本でも安倍首相は自分の首相在任可能期間を延ばせるように党のルールを変えました。これは権力を持つ者がよりエキストリームになってきているといってもよいでしょう。

アメリカのテスラの創業者、イーロン マスク氏がワシントンDCとNYを結ぶ地下超高速移動車両の構想をぶち上げました。これなども新幹線やリニアなどそれまで培ってきたノウハウや技術を根底から崩す発想です。(もちろん、これが実現可能かどうかは別問題ですが。)あるいは英国やフランスが2040年には通常のガソリン車やディーゼル車の販売は許可しなくなります。異例ずくめです。

これにどう立ち向かうのか、ここが最も難関なところです。例えば日本はそれでも伝統と過去を重んじるという保守派が聞けば泣いて喜ぶ姿勢を見せるかもしれません。しかし、日本は鎖国をしているわけではなく、世界の中の一つの国でしかありません。日本が日本だけで自立できるという意見もあります。しかし、実際問題としては企業の稼ぎの半分は海外です。多くの外国人労働者が日本の単純労働を支えます。政府は訪日外国人4000万人を目標にしています。否が応でも影響は受けてしまいます。

これから先は何が起きてもおかしくないという気持ちを持つべきではないでしょうか?日本は幸いにして天変地異で突如の問題に直面することがしばしば発生します。そしてそれを何度となく乗り越えてきています。つまり一番コンサバである日本人がありえない事態に最も冷静沈着に対応してきたという事実は見逃してはいけないでしょう。

今後も異例、意表は起こり続けます。しかし、それに踊らされることなく、慌てずに対応できる国民性にもっと自信を持つべきだと考えます。

では今日はこのぐらいで。

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