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そういうあなたが「使えない上司」でしょう? - 吉田典史 (ジャーナリスト・記者・ライター)

 今回は、企業や団体、公的な機関などの社員教育を手掛ける株式会社新規開拓の管理部長・阿部由里さんを取材した。人材教育支援会社などを経て、同社の人事・総務などの部長を務める。新卒や中途採用試験にも面接官として参加し、日々の仕事では部下の育成などもする。

 阿部さんの目に映る「使えない上司、使えない部下」とは…。

「使えない」と言っている上司が「使えない管理職」

 「使える、使えない」という言葉を見たとき、「仕事ができる、できない」よりも、まず「好き、嫌い」をイメージしました。女性の場合は、特に上司のことを「好き、嫌い」で判断する人は、多いでしょうね。

 私もかつては、そのように上司を見ていました。30歳の頃に仕えた50歳くらいの男性の上司は仕事はできる方でしたが、話がまわりくどいのです。周囲に気を配っていたのでしょうが、何が言いたいのか、わからないことがありました。当時、私はまだ若かったこともあり、「だから、何なの?」と思っていました。

 本来は、相性がよくなくとも、仕事の中身や実績で判断するべきなのですが、それができていなかったのだと思います。今は管理職となり、部下もいます。部下を評価するときに、「好き、嫌い」で判断することはさすがにないですね。部下にも、「好き・嫌いで上司や周囲の人を見るべきではない」と言っています。「相性が合う、合わない」は、あなたの思いでしかない。組織に所属している以上、まずは目の前の仕事をきちんとしなさい、と。
 
 上司も部下も互いにコミュニケーションの取り方などを勉強しないといけないですね。若くて経験が浅いときは、ちょっとしたことで「自分はできる」と勘違いし、天狗になる人もいます。それが横柄な物言いとして現れたときには、上司として注意をします。当社では、社長もぴしっと厳しく言います。「口を慎みなさい」と。

 私が部下を見ている限りですが、女性よりも男性のほうが愚痴は多いのかもしれません。人事部門の管理職ですから、関係書類に承認のサインをします。そのとき、駄目なところを「これは、どういうこと?」と聞くと、ぶつぶつと不満を言ってくることがあります。

 それが許容範囲を超えると、腹が立つことはありますよ。ここ1年くらいは、部下の言動に不満を私が感じたとしても、全部のんでいますが…。修行僧みたいなものです。だから、気持ちの中で沸点がここまで来ているんです。あと、ミリ単位で上に上がったら、ボンと爆発するかもしれませんね(苦笑)。

 実は、「使えない社員」なんていないと思うんです。「使えない人材」と判断していたならば、採用試験で雇いませんよね。私も肩書をいただいている立場ですから、育成する責任があるのです。上司ならば、部下をみて「どうすれば、使える人材になるか」と考え、最大限に活用できるようにするべきなのだと思います。

実は、あなたが「使えない上司」でしょう?


阿部由里さん

 上司も部下も感情の処理の仕方を知らないままならば、いずれ、職場で困った人になります。本来は、人生のいろいろな出来事の中で感情の処理を学んだうえで社会人になるべきなのです。感情のコントロールができないと、組織の中で人の上に立つことはできないだろうと私は思います。起伏が激しい人には、大きな仕事をきっと任せられないはずです。

 組織の上のほうへ上がっていきたいならば、その意味でのコミュニケーションスキルが必要です。課長や部長までは、仕事の成果や実力があれば、なることができるのかもしれませんが、それより上へ行く人には人徳が求められるように私には見えます。上司や同僚、ほかの部署などの人から「あの人はいいよね」と言われるような人にならないと、皆がついていかないでしょうね。ここが、たぶん分かれ目なのだと思います。

 会社員が実力だけで認められると信じているならば、誤りではないでしょうか。上司に意見を言うときにも、自分の正義や価値観をぶつけるだけでは聞き入れてもらえないでしょう。上司も感情があるわけですから…。「そんな物言いならば、君はもういい。ここにはいらない」となるかもしれません。

 その意味でいえば、上司に媚びない人は賢くない、と私は思います。少なくとも接し方や言葉の使い方などには、きちんと気を使うべきです。上司から何か言われ、気に入らなかったとき、「はあ?」と小ばかにして対応しているようでは、駄目ですね。「ああそうか、そうですよね。さすが、○○部長!」くらいは言わなきゃいけないときもあります。

 ときには、上司のご機嫌をとったりして、自分がいい仕事ができる環境をつくるのが、本当の意味で賢い人です。そんなことを絶対にしたくないと思うならば、会社を辞めて、ひとりでやってみたらいいのではないでしょうか…。ここで、会社として「部下は、上司にゴマをするものだよ」と教えるのか、「会社員として当たり前の礼儀」として教育するのでは、意味合いがまったく違うはずです。

 教育にはやはり、愛が必要なのです。愛があるからこそ、どんなことを言っても部下たちはついていきます。愛情を本能で感じるわけです。厳しいだけならば、人の心は離れていきます。

 上司が「こいつはここまで」と思ったら、部下はそれ以上、絶対伸びません。厳しい言葉でも、愛情を持ち、繰り返し伝えていけば、ほとんどの人は受け入れて伸びていきます。結局、上司次第と思いますね。「使えない部下」をいっぱい抱えているんだったら、あなたが使えない上司でしょう? といえるのではないでしょうか。

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