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細かすぎて伝わらない「国税局あるある」

(お笑い芸人 さんきゅう 倉田)

税金を徴収する「税務署」。その税務署を取りまとめているのが全国12の「国税局」だ。「元国税局芸人」のさんきゅう倉田氏は、国税局のなかでも最大最強の「東京国税局」の税務調査官として、数々の脱税を摘発した経験をもつ。渾身の「国税局あるある」でその内実をお伝えしよう――。

元・国税局職員、現在芸人のさんきゅう倉田です。好きな言葉は『増税』です。

今まで多くの国税局OB・OGが、現役時代の知識と経験から本を出したり、テレビに出演したりしています。そこで当時のエピソードが語られるケースも散見されます(といっても、国税庁が発表している報道用資料を広げた程度の、オブラートより薄い情報で作られていますが)。その中で自分が書ける、国税局について理解を深めていただけるような内容とは何か、と考えました。結果、僕にできるのは、「国税局あるある」をディスクローズして、興味を持っていただくことだと思いました。

「国税局あるある」は数多ありますが、一般の納税者に伝わるものと、内部の職員や税に明るい方にしか伝わらないものがあります。お笑いのライブなどでは、税に興味のないお客さんばかりなので、誰にでもわかる「あるある」のみを披露しています。今回は、せっかくなので、ほんの少し難しいものも紹介したいと思います。

「土木関係の会社、領収証ぐちゃぐちゃ」

帳簿や領収証の保管には、厳格なルールがありません。皆さんそれぞれに、オリジナルの保管方法でやっていただいております。帳簿も、穴を開けて分厚い表紙や裏表紙と一緒にひもで綴じる方もいますし、パソコンのデータのみの方もおります。領収証は、丁寧にノートに貼る方もいれば、ひと月ごとにクリアファイルに入れる方、スーパーの袋に1年分まとめて入れるようなストロングスタイルの方もいらっしゃいます。帳簿や領収証の保管方法で、その会社や個人事業者の性格がわかるものです。いい加減な人は会計処理もでたらめ、きちんとした方は丁寧、といった具合です。

もちろん、会社の規模が大きくなり、税理士さんや経理担当者の関与が強くなれば、みなさん丁寧に保管して会計処理されています。ただやはり、規模の小さな会社となると、代表者自ら現場に出向いて労働しており、経理にまで手が回りません。そうなると結局、「土木関係の会社、領収証ぐちゃぐちゃ」になってしまいます。税務調査に時間がかかってしまいますので、可能な限り整理していただけると良いでしょう。また、類似のあるあるで、「運送会社の受付の女性、髪の毛茶髪」というのもあります。

「たまに泥棒が確定申告しにくる」

納税は、不正な方法で所得を得ている場合でも免れるものではありません。広く一般的に、あるいは倫理的に職業として認められていない場合も、確定申告をして所得税を納める必要があります。2月16日から3月15日の確定申告期間中には、さまざまな納税者が税務署に来ます。



僕が申告書作成コーナーで申告の補助を手伝っていたとき、不審な男性がいらっしゃいました。あたりをキョロキョロと見回して、申告書の作成にもやたら時間がかかるのです。声をかけると、どうやら初めての確定申告の様子。仕事の内容を確認すると、「あー、他人の物を運んだり、他人からもらった物を売ったり……とかそんな感じです」などと言います。「古物商の方ですか?」と聞いても「いや、そういうんじゃないんだけど、確定申告したほうがいいかなって」と、要領を得ません。

やりとりを繰り返すうちに、どうやらこの男性は、「たまにやってくる」と噂に聞いていた「泥棒」だということがわかりました。さすがに職業欄に「泥棒」とは書いていません。「アスリート」と記入していました。自分では、同じ区分だと思っていたのかもしれません。

「テレビを差し押さえしようとすると、『友達から借りてる』ってみんな言う」

夕方のニュースやゴールデンタイムの番組で、差し押さえの現場の映像が流れることがあります。あれは、国税ではなく地方自治体の都道府県税事務所に密着しています。主に滞納者の自宅に行って、「いきなり来るな」と言われれば「督促状を何度も送っている」と言い、「令状はあるのか」と聞かれれば「国税徴収法があるので令状は必要ない」と伝え、「今は忙しいからまた今度」と言われれば無視して闖入し、「このテレビは友達から借りてるから、持っていったらダメ」と言われれば鼻で笑ってあざける。

そんな場面に何度も遭遇してきましたが、テレビを友人から借りたという主張を毎回信じることができません。どうして多くの滞納者が、テレビに限ってそうのたまうのでしょうか。どういった経緯で「借りる」のでしょうか。そんな嘘を、海千山千の徴収官が信じると思っているのでしょうか。姑息な嘘はむなしく宙を舞い、結局は押収されることになります。

「法律を作るとき、条文のカッコは二重カッコまで」

六法全書や税務六法を開き、条文を読んでいると、カッコ書きがそこかしこに出てきます。法律に明るい方には共感していただけると思うのですが、なんとも読みづらく、理解するのに時間がかかってしまいます。実は、財務省内では法律を作るときのルールがあって、条文のカッコの中にもう1つカッコを入れるのは許容されるが、さらにもう1つ加えて三重にするのは良くないとされています。理由は、読みづらいから。シンプルな理由は説得力がありますね。

国税局への理解を深め、仕事ぶりを知れば、みなさんが負担した税金がどのように集められ、どのように使われているかが見えてきます。あるあるはまだまだありますので、機会を改めて再び紹介させていただきます。最後におちゃめなあるあるをひとつ。「職員みんなが、携帯の着メロをマルサの女のテーマ『♪ルールルルールルルール』にするので、誰のが鳴っているのか全然わからない」

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