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杉良太郎が「報ステ」で訴えた「国民一番の不幸」

保科省吾[コラムニスト]

***

7月28日金曜の夜10時、「あ、もう報道ステーションが始まっている」と思ってテレビをつけてびっくりした。コメンテーター席に小沢一郎が座っている。この日は、稲田朋美防衛大臣が辞めたことが最大のニュースである。

小沢一郎というキャスティングはなかなかのクロウト好みだ。「話を聞いてみたい」と思ってテレビに近づいてまたびっくりした。小沢一郎だと思ったのは早とちりでそこにいたのが俳優の杉良太郎だったからである。最近、視力の弱ってきたせいか、こういう間違いが起こってしまうのである。

さて、稲田大臣辞任の日の杉良太郎起用の理由は何か。コメントに注目した。富川キャスターが次のようなことを問い、杉が答える。

富川「これで日報問題の調査を終わりにしていいのかという気がしますが、杉さん」

杉「何しろ、長く引っ張りすぎた印象がある。そうすれば、国民が不幸だし。政権も不幸だという感じがします」

富川「早ければ、こんなに支持率も下がらなかったという話もあります」

杉「大臣の自覚、職責を再認識して、総理大臣に(悪い影響が)及ばないように、また、国民に失望感を与えないようにしっかりした政治をやっていかないと、ますますなんかこう、疑いのまま終わってしまう。それが国民にとって一番の不幸じゃないかと思う」

可もなく不可もなくといった、新聞を読んでいる大人なら、多くの人が言えるようなコメントである。しかし、杉が自民党寄り、政権寄り、安倍総理寄りであることがそこはかとなく分かってくるコメントでそれなりに興味深い。

【参考】露骨なステマで崩れ落ちた「報道ステーション」の信頼感http://mediagong.jp/?p=19902

さて、杉良太郎は、この日「厚労省 肝炎対策特別参与」の肩書きでの登場である。あとで頭からVTRを見直して分かったが、この日は「世界肝炎デー」だったのである。

杉良太郎は様々な公的性格を帯びた肩書を持っている。曰く、法務省特別矯正監、外務省日本ベトナム特別大使、ベトナム社会主義共和国ベトナム日本特別大使、厚生労働省肝炎総合対策推進国民運動特別参与、ハワイ州ホノルル市名誉市長、シンガポール日本文化協会名誉会長、麻薬追放協会会長などである。

外務省日本ベトナム特別大使、ベトナム社会主義共和国ベトナム日本特別大使としては、今年2月28日からの天皇、皇后両陛下のベトナム訪問に伴い、訪越している。ただし、同行ではない。日時を合わせて独自に訪越したのである。天皇、皇后両陛下が招かれた晩餐会には、日越どちらからの招待かは、分からなかったが、杉良太郎も出席している。

杉良太郎のような功成り名遂げた人が、人生の後半で慈善活動、ボランティア活動に精力を傾けることに筆者は大賛成である。所得の再分配機能、トリクルダウン(貧しい者にも自然に富が滴り落ちる)があるからだ。ノブレス・オブリージュ(一般的に財産、権力、社会的地位を保持する者は社会にも責任を持つべきであるという考え)を感じさせる点も重要だ。

こういうことがない強欲資本主義、市場絶対主義の日本になってしまっては「それが国民にとって一番の不幸じゃないか」と筆者は思う。

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