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【新聞チェック】日経の特ダネは幻に終わるのか? 「日立・三菱重工統合へ」の雲行きが怪しくなってきた

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「さすが日経」と思っていたら



 8月4日朝、寝ぼけまなこでJRの売店に立ち寄ると、日経の見出しが目に飛び込んできた。「日立・三菱重工統合へ」とデカデカと書いてある。日立と言えば、日本最大の総合電機メーカー。「この木なんの木」の歌とともに、延々とグループ企業名が流れるCMでお馴染みだ。三菱重工と言えば、戦車からロケットまで何でも作る機械産業の大手。日本を代表する超一流企業同士がくっつくのだから、世紀の大合併だ。「さすが日経。経済ネタでは他紙の追随を許さないな」と感心したのだが、話はそこで終わらなかった。
 
 同日夕方に行う予定だった正式発表は、なぜか中止に。翌日の各紙の朝刊は“「名門縁談」思惑にズレ”、“日立との交渉、困難に”と、何だか雲行きが怪しくなってきた。一体、これはどういうことなのか。紙面を比較して、真相を探ってみた。(BLOGOS編集部・安藤)

「断固抗議する」と三菱重工



 日経のスクープ記事は、「日立・三菱重工統合へ」は、こんな書き出しで書かれていた。
日立製作所と三菱重工業経営統合へ向け協議を始めることで基本合意した。2013年春に新会社を設立、両社の主力である社会インフラ事業などを統合する。原子力などの発電プラントから鉄道システム、産業機械、IT(情報技術)までを網羅する世界最大規模の総合インフラ企業が誕生する。両社の売上高は単純合計で12兆円を上回る。両社の経営資源を結集し、新興国を中心に社会基盤事業の受注拡大を狙う。基幹産業である電機と機械それぞれの最大手である両社が統合しグローバル展開に挑むことで、日本の製造業が競争力を取り戻す転換点となりそうだ。
 そして、「3日までに両社首脳が会談し、基本合意した。4日午後に発表する」として、正式発表まぎわであることを伝えていた。日立の中西宏明社長も朝の時点では、発表に前向きだった。
「今は言えないが、夕方発表する」日立の中西宏明社長は四日午前六時前、横浜市内の自宅前に詰め掛けた報道陣に統合協議の事実を認めた上で、「(発表場所は)三時に連絡する」と言い残し黒塗りの乗用車で本社に向かった。(略)中西社長の報道陣とのやりとりはテレビニュースでも流され、「大型報道の実現か」と報道各社に緊張が走った。(『東京新聞』8月5日朝刊)
 ところが、このあと事態は一転する。午前9時に三菱重工が「本日の一部報道について」と同日中に発表したのだ。
本日、当社と株式会社日立製作所との統合に関して、一部報道がありましたが、これは当社の発表に基づくものではありません。また、報道された統合について、当社が決定した事実もありませんし、合意する予定もありません。
 それでも飽き足らなかったのか、「当社に関する一連の報道について」を続けて発表する念の入れようだった。
統合について合意する予定があるかのような誤った報道がなされることは、当社及び関係者にとって極めて遺憾であります。当社としては、これら一連の報道が当社の発表に基づく正確なものではないことをあらためてお知らせいたしますと共に、このような報道については、断固抗議してまいります。
 日経の会心の大スクープは、三菱重工によって、完全否定されてしまった。

日立もトーンダウン



 これと同時に、前のめりだったはずの日立もトーンダウンした。「本日の一部報道について」というプレスリリースの中で、
当社と三菱重工業株式会社の事業統合に関する記事が掲載されましたが、そのような事実はありません。
と、火消しに回らざるを得なくなった。予定されていた記者発表は立ち消えた。

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