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「メディアには何をやられても、メディアでやり返せばいい。」石川知裕氏と佐藤優氏が緊急対談(前編)

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対談を終えた佐藤優氏と石川知裕氏(撮影:野原誠治)
対談を終えた佐藤優氏と石川知裕氏(撮影:野原誠治) 写真一覧

平成の『悪党』はこう作られた〜マスメディアと東京地検特捜部〜


長年秘書として仕えた小沢一郎氏の素顔を明かした著書「悪党―小沢一郎に仕えて」(朝日新聞出版)が発売5日目で3刷が決まり、政治家本としては異例のヒットを記録している石川知裕・衆議院議員。

石川氏は小沢氏の政治資金管理団体「陸山会」の土地取引をめぐる事件で逮捕・起訴され、7月20日の公判では検察が禁錮2年を求刑。

一方で東京地裁は検察側が自白であるとした調書の一部について証拠採用しないことを決定しており、公判の行方に注目が集まっている。

今回、BLOGOSではそんな渦中の石川氏と、また自らも東京地検に逮捕・起訴された経験を持つ元外交官で作家の佐藤優氏を迎え、「平成の『悪党』はこう作られた〜マスメディアと東京地検特捜部〜」と題した対談を行っていただいた。

知られざる小沢氏の姿や拘置所での生活、そして現在の政治が抱える問題点まで、様々な話題が飛び出した対談の模様をお送りする。

■ 出演者プロフィール


石川知裕(いしかわ ともひろ)
1973年生まれ。衆議院議員(民主党所属)。大学卒業後、小沢一郎氏の秘書を経て、2007年、衆議院議員に繰り上げ当選。2009年8月に行われた第45回衆議院議員総選挙で再選、現在二期目を務める。
2010年1月、小沢氏の秘書時代における「陸山会」土地購入問題で東京地検特捜部に公設第一秘書の大久保隆規氏や元私設秘書らと共に逮捕・起訴され、現在公判中。
2011年7月に小沢一郎氏について明かした初の著書「悪党―小沢一郎に仕えて」(朝日新聞出版)を発表、同書が現在ベストセラーとなっている。

■ 石川ともひろ ウェブサイト ■



佐藤優(さとう まさる)
1960年生まれ。作家。1985年に外務省に入省後、在ロシア日本大使館勤務などを経て、1998年、国際情報局分析第一課主任分析官に就任。
2002年、鈴木宗男衆議院議員を巡る事件に絡む背任容疑で逮捕・起訴。捜査の過程や拘留中の模様を記録した著書「国家の罠―外務省のラスプーチンと呼ばれて」(新潮社、第59回毎日出版文化賞特別賞受賞)、「獄中記」(岩波書店)が話題を呼んだ。
2009年、懲役2年6ヶ月・執行猶予4年の有罪判決が確定し外務省を失職。現在は作家として、日本の政治・外交問題について講演・著作活動を通じ、幅広く提言を行っている。近著に「3.11 クライシス!」(マガジンハウス)がある。



■アーカイブ映像




「禁錮2年」の求刑は検察のシグナル


石川知裕(以下、石川):こんばんは。衆議院議員無所属の石川知裕です。7月20日、検察側からの論告求刑において、禁固2年が下されました。この2年間、西松事件から始まった陸山会事件、この中で検察とマスメディアが、どのような動きをしてきたのか。先日、『悪党ー小沢一郎に仕えて』を出版しましたので、佐藤優さんと『平成の悪党はこうして作られた』をテーマに、対談を行ないたいと思います。

佐藤優(以下、佐藤):私は6月30日に折り返し地点を超えましたよ。というのも、私は最高裁で懲役2年6カ月が確定しまして、2013年6月30日に執行猶予が切れるんです。それまでは本籍地は刑務所にあって、今ここにおりますのは仮の姿です。今回、石川さんは禁固2年を求刑されたわけですが、実は業界的に、「禁固」は面白いんですよ。

石川:面白いというと?

佐藤:検察が『ムショにぶち込んでやる!』という時は、3年以上を求刑してくるんです。つまり、2年というのは『執行猶予でもいい』ということ。シグナルなんですよね。つまり、思ったよりも検察は腰が引けているというのが、石川さんの論告求刑に関する私の印象です。

石川:大久保隆規さん(小沢氏の元公設第一秘書。石川氏と共に逮捕・起訴された。)は、3年6カ月だから......。

佐藤:それは『お務めに行ってくれ』ということ。実は3年というのが、大きな分かれ目なんです。業界内の目安なんですよ。禁固2年が、懲役1年に値します。禁固はあまりないんですよ。例えば皆さんでも、禁固刑を科された方はあまりいないはず。禁固刑で刑務所に行くのは、だいたい交通事故関係。交通事故を2度と起さないための講習が中心で、懲役の労働がないんです。

使い心地が良い「刑務所の石鹸」

石川:実際に禁固を科されても、懲役に変えてくれと頼む人がいるようですが。

佐藤:正確に言うと、誓願労働というのがあります。つまりお願いして、仕事をさせてもらう。東京拘置所に入った時、部屋にマニュアルがあったでしょう?

石川:ありました。

佐藤::あのマニュアルには誓願作業という項目があって、そこに書いてありますよ。私はあのマニュアルをコピーして、外に出したいと思ったんです。そうしたら拘置所の職員の人が『駄目だ』というんで、ノートに全部写した.。

石川:獄中記」で、そのことを書かれていましたよね。

佐藤:「獄中記」の岩波現代文庫版には、私が書き写してきた『獄中での生活の手引き』が付いてます。そこに、この誓願作業の説明も書きました。実は、私は刑務所で作られた製品を愛用しているんです。例えばノートならば、『府中ノート』なんてものがあります。これは通販で買えるんですが、懐かしくて今も使ってるんですよ。
実は今探しているのが石鹸なんです。洗濯用の石鹸は、通販や共生店で買えるんですが、あの中で使っていた『横須賀』って書いてある石鹸が欲しい。おそらく横須賀刑務所で作られているはずなんですが。どこにないか、探しています。

石川:私なんか、拘置所から持ち帰った石鹸なんて、なくなってホッとしましたけれどね(笑)。

佐藤:拘置所は差し入れがあるでしょう。中で配られている石鹸は使いましたか?

石川:そうですね、差し入れでもらった花王とか使っていたかな。

佐藤:差し入れが入らない人のために、白い石鹸があるんです。これが横須賀石鹸。最初の数日間使っていたんですけれど、使い心地が良い。だから、『一切石鹸は差し入れするな』って言って(笑)。
それからもうひとつ、『熱海』という石鹸もあるんです。熱海には刑務所はないはずなんですが、これは灰色の洗濯用でした。......おっとこんな話を続けていて、肝心の政治の話ができていませんでしたね(笑)。

石川:拘置所に入る予定の方は、よく読んで準備して下さい。

ロシアでの小沢一郎


佐藤:今回、『悪党』を読みましたが、本当に正直に書けていますね。

石川:比較的、小沢さんに遠慮せずに書けましたし、自分の気持ちをそのまま表せたと思っています。

佐藤:小沢さんは読んでいますかね?

石川:あまり本を読まない人なんで、読んでいないと思います。

佐藤:もし読んだら、どんな反応をすると思います?

石川:以前、AERAの記事を持って行って、『本を書きます』と言ったんですが、その時もほとんど読んでいなかった。例え読んだとしても、『う〜ん......』と黙ってるんじゃないかな。

佐藤:黙っていると思うんだよね。実はこの本の中で、私と小沢さんの関係について、今まで私が話していなかったことが書かれているんです。
それは1994年5月、小沢さんが奥様と一緒にモスクワに立ち寄られた時のことです。私はアテンド係を担当していて、その後しばらく、小沢さんの所にモスクワから連絡を入れる仕事もやっていたんです。

石川:ロシアのミハイル・ザドルノフ元財務大臣が来日した時、画家の村山さんから、小沢さんに会って欲しいと言われたんです。それで『ザドルノフがどんな人か、佐藤優君に聞きなさい』と言われたのが、最初に佐藤さんとコンタクトを取った経緯ですね。

佐藤:電話頂いて、出向いてくると言われたんですけれど、その必要はないと。『ザドルノフは有望な人で、ロシアの中ではヤブリンスキーブロックに属している。ボリス・エリツィン氏とは距離があるが、実務家として高く評価されている。自民党の桜井(新)との関係が深い』。そんな情報を、ファックスで石川さんに送った記憶があります。

石川:以来、私が逮捕される直前まではご縁がなかった訳ですが。

佐藤:外交官や官僚は、どうしても時の政権与党と付き合います。私の場合は北方領土の件を進めるとなると、どうしても自民党との関係が中心でした。ただ、小沢さんの所にも96年までは行っていたなぁ......。96年のロシアの大統領選挙の結果報告をした記憶がありますから。

石川:当時、私はまだ書生です。96年は新進党になってからですね。

佐藤:モスクワで、小沢さんとシベリア餃子(水餃子)を食べたんです。奥様もいて、『あまり油強くないですか?』って聞かれて。ウォッカもかなり飲みました。大使館の連中もいたけれど、小沢先生はボトル2/3くらいは飲んでましたよ。

石川:あまり洋酒を飲むイメージはないですね。

佐藤:『これは美味い』とおっしゃって、ロシアにいる時は、ずっとウォッカで通してましたよ。

石川:郷に居れば郷に従えで、現地のお酒を飲んでいたんですね。

佐藤:その時、こう言われたんです。『ロシア人は約束を守るか?』と。これはポイントの質問なんです。私は『なかなか約束しないが、した約束は守る』と答えました。そして、『ゲンナジー・ブルブリスは頭がいいな......』と。
ブルブリスはロシアの国務長官をやっていて、北方領土返還をロシアで最初に主張した人なんです。『北方領土はスターリンが日本から奪い取ったものだ。現在のロシアの課題はスターリン主義的なソ連の負の遺産から脱却すること。それが国内における民主化であり、市場経済化だ。かつてソ連がやっていたような、大国主義外交や侵略外交を自発的に克服することが、ロシアの国益に貢献する。あんな過疎の島は、日本人がいらないと言っても、ロシアは返さないといけない。それによって国際的な地位は向上する』。
そんな話をブルブリスはしていました。

石川:ロシア高官がそのような発言をするのは、珍しいですよね。

佐藤:彼が天才的に頭が良かったからでしょう。来日した時に、彼は小沢さんにも会っています。小沢さんも、『あの男は実に頭がいい。ロシアの国益をよく分かってる』と言っていたことが印象に残っています。だから私は期待していたんです。当時は羽田(孜)政権の時でした。小沢さんの流れで行けば、北方領土は相当動くだろうと。


鈴木宗男と小沢一郎


佐藤:面白かったのは、小沢さんは鈴木宗男さんの話もしていたんですよ。
『鈴木宗男氏は自民党の人だけれど、地元として本当に一所懸命この問題に取り組んでいる』と。
その後、7月くらいに自民党の代表団がロシアに来たら、『小沢の野郎ぶっ飛ばしてやる。モスクワで何をしていたのか。誰なんだ担当したのは?』って言われたんですけれどね(笑)。大使館の連中も、私(佐藤)がやっていたなんて、口は割らない。
その後、鈴木さんがロシアに来た時も、小沢さんの話をしていました。『小沢さんたちと、自分がやろうとしていることは、方向性は同じ。ただ、問題はスピードなんだ。小沢さんは速過ぎる』って。

石川:北方領土の問題だけでなく?

佐藤:政治改革も含めてですね。『今の自民党のままでは駄目なんだ。だから、村山富一には票を入れなかった』と、鈴木さんは言っていた。2回とも首班指名で海部(俊樹)に入れたのは、実は小沢さんのやっている方向性が、基本的に正しいと思っていたからだった。

石川:鈴木さんが、海部さんに投票した事実は、あまり知られていませんね。

佐藤:2回も票を入れた人は鈴木さんだけだった。その時に、ある外務官僚から鈴木さんの所に手紙が届いたんです。『感動しました。素晴らしいです。これが政治家のありかたです』と。
これを送ったのが、丹波という人で、私は、彼と戦争しているんです(笑)。最近、彼が『我が外交』という、『人生には悔いはあるが、恥はない』という、恥の固まりみたいな本を書いて(笑)。でも、鈴木宗男に関する記述はまったくなかった。

石川:私も購入しましたが、まったく記述はありませんでした。

佐藤:小沢さんとの関係も、『私は小沢に近いと言われて迷惑だ』と。手を擦り足を擦り近づいてね。本の宣伝になるのはよくないけれど、マスコミ操作術とか、色々書いてあるんですよ。

石川:小沢さんに関しては、『いつも怒鳴る人だ』と書いていましたね。

佐藤:『NHKの記者を上手く使え』なんて書いてあるんですけれど、私はその現場を知ってるんです。『小沢が私を利用したんですよ。野中(広務)先生にちゃんとつないで下さい!』なんて、鈴木さんに言ってる。『君からも言ってくれ』なんて私にも言われたりしてね。それでNHKの記者に頼んで、アポを取付けてもらった。それで『自分は反小沢だ』と散々アピールしていた。

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