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「残業代ゼロ」問題で「連合」内部が大混乱 - 「週刊文春」編集部


棚ボタで2期目の神津会長 ©文藝春秋

 7月19日夜。日本で最大の労働組合中央組織・連合の本部前では、約100人のデモ隊が「残業を勝手に売るな!」と声をあげた。労組幹部は「こちらがデモすることはあっても、デモをかけられるとは……」と衝撃を隠せない。

 発端は、専門職で年収の高い層を労働時間規制から外す「高度プロフェッショナル制度(高プロ)」。連合は、「残業代ゼロ法案」と批判してきたが、一転して首相官邸と頭越しで話をつけ、条件付きながら容認に転換したのだ(注:その後、再び容認撤回の方針に転じた)。

 それを主導したのが逢見(おうみ)直人事務局長(63)だ。逢見氏は事務局長になる直前の2015年6月に安倍晋三首相と極秘に面会。「高プロ」修正の過程でも秘密裡に政府サイドと接触を続け、合意にこぎつけた。自民党幹部は「支持率低下で危機にある安倍首相に助け舟を出したのが逢見氏だ」と解説する。

 ところが、これが連合内で強い反発を招いた。当初は神津(こうづ)里季生会長(61)が10月に1期2年で退任し、逢見氏が後を襲うはずだったが白紙になり、続投することになった。

 連合の歴史を振り返れば、初代会長の山岸章氏が日本電信電話、6代目の古賀伸明氏が松下電器、神津氏が新日鉄と、強力な基盤を持つ単組出身者が強い発言権を持つ。労働者の味方のはずの労組だが、「官公労では市役所より県庁出身者が評価されるなど、ものすごく格を気にする」(関係筋)。

 逢見氏は一橋大を出てゼンセン同盟の書記局に入局、単組の経験がない。連合内で引き立てられたのは、ゼンセン出身で5代目の会長を務めた高木剛氏のひきだった。

「神津会長が2期やれば、定年で逢見氏が会長になれなくなる。そのため高木氏が動いて、神津氏は1期で退任する予定だった」(連合幹部)

 事務局出身者は「プロパー」と呼ばれるが、単組の後ろ盾のない逢見氏の重用に組織内では不満が鬱積していた。

 また、連合は官公労と民間労組、社会党支持の旧総評と民社党支持の旧同盟、製造業と非製造業などの複雑なバランスを考えなければならない巨大組織。いきおい、手続き、根回しを重視しなければ合意ができない。だが、プロパーの逢見氏は、手続き軽視が目立ったという。

「もともと労働貴族と批判を浴びる労組幹部だが、中でもプロパーは現場を知らない」(同前)

 連合が守ろうとしているのは、幹部か、それとも労働者か。

(「週刊文春」編集部)

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