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JT(日本たばこ)戦略ミスの本質

JT(日本たばこ)が日本の加熱式たばこ市場で出遅れました。市場で先行したのはフィリップモリスの「アイコス」で2014年から販売を開始しています。また、ブリティッシュアメリカンタバコ(BAT)もJTの先を行きます。一方、JTのプルームテックはようやく東京で販売が始まったところです。優良国際企業とされるJTが戦略ミスを犯したのは今後、どこの日本企業にもあり得る大きな問題を秘めています。たばこに興味ない人も「んっ?」と思うかもしれません。

JTは世界のたばこ会社を次々買収し、世界のたばこメーカーでは第3位につけ(除く中国)、業界では台風の目であります。その戦略は何処で行っているかと言えば日本のJTではなく、スイスにある子会社のJTインターナショナルが担っています。つまりたばこというビジネスを地球儀目線で捉えているはずです。

そんな中、JTインターナショナルは普通の紙巻たばこそのものにこだわりを持ち続けていた感があります。JTインターナショナルも本社がスイスにあることで欧州市場の匂いが強く影響していることは間違いなく、遠いアジアの日本市場を見誤ったというのが今回の戦略ミスです。これは小泉光臣社長も認めています。

事実、日本で急速に伸びている加熱式タバコですが、世界の加熱式たばこの96%の市場を日本が占めるというあまりにも異常な市場のゆがみがある点をグローバルな目から判断ミスしたのでしょう。その間にフィリップモリスが着々と敵陣で成果を上げていたというのが今回の顛末であります。

日経新聞には加熱式タバコプルームテックの増産で500億円投資すると記事がありますが、そんな積極的な話ではなく、完全な出遅れ勝負になっています。出遅れ理由は会社の経営判断ミス以外にいろいろ取り沙汰されていますが、個人的にはJTがその出自の財務省との関係で税金に配慮したとされる点に極めて信憑性がありそうな気がします。

紙巻きたばこ一箱20本分の税金は約245円。一方、プルームテックにすると紙巻きたばこ30本換算で34円だけです。つまり、一気に税収は1本あたり14分の1以下になるため、それこそJTが財務省に忖度したか、財務省がプルームテックはそんなに力を入れるなよ、とささやいた可能性はありそうです。

ではなぜ、日本だけが加熱式タバコという特殊市場を形成しているのでしょうか?世界で普及している「電子タバコ」(=ベイブ)の必需品である液体ニコチンが日本では薬事法で規制されて障壁があるからでしょう。そこを突いたのが日本市場にあう加熱式タバコということかと思います。

では、ここからが考察なのですが、分煙や飲食店での全面禁煙が進まない日本は世界のガラパゴスだった可能性はあります。JTがもうひとつ検討したとすれば電子タバコ(ベイブ)は仮にニコチンの問題を別にしてもあの煙(ミスト)を非喫煙者は受け付けないと思ったかもしれません。それぐらいモクモクです。

各種規制の中で世界基準の電子タバコは日本で普及しないとJTがPassingした結果、世界の強豪を相手に自陣で戦わねばならない顛末が見て取れます。

私は日本市場は世界の中ではユニークということをこの10年、ほぼ一貫して書き続けてきました。その間、日本のガラパゴスは数多く生まれました。面白いものを開発する能力は素晴らしいのですが、あまりにもエキストリームな感じがありました。

今回のJTの例はその真逆で日本市場が世界の主流や潮流から外れていて、市場評価を見誤ったのでしょう。ここは日本のすべての企業が危惧すべき問題点だと思います。かつてはGDP世界2位、消費大国日本へはどんな世界企業もその目を向けていました。

正直、外国企業からすると日本企業とはビジネスをしたくないという声はあります。理由は「うるさい」「細かい」「完璧主義」「期日の厳密さ」などなど欧米のスタッフレベルでは異次元の要求をされることばかりでした。それでも日本市場を重視したのは「儲かったから」であります。

今、消費市場を地球儀レベルでみるとアジア=中国です。これは中国のバブルが弾けようが政治がどうなろうがそこに13億の人がいることには変わりなく、市場は存続しつづけるという意味であります。

驕っていたのは自民党だけではなく、我々日本の産業界全般にもその傾向があったことには留意すべきでしょう。ならば、いま、気持ちを新たにしてどうやって世界市場に打って出るのか、一度リセットするぐらいのスタンスを持たないと厳しいかもしれません。

では今日はこのぐらいで。

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