記事

【新聞チェック】イタリア国営TVの露骨な選挙妨害、原発めぐる国民投票日に「海へ行こう」とアナウンス

 原発再開の是非を問うイタリアの国民投票は、13日に投票率が50%を超えて成立した。原発反対派は約94%を占めて圧勝。今回の国民投票は福島第一原発事故の前から決まっていたが、事故を受けて原発推進派が劣勢なことが確実に。原発再開派であるベルルスコーニ首相は傘下のメディアを露骨にコントロールして、投票に行かないように国民に訴えていた。投票率を低くして成立ラインを割る狙いだったのだが、失敗に終わった。首相は「原発にさよならと言わねばならない」と敗戦の弁を述べた。

 イタリアでは、1986年のチェルノブイリ原発事故を契機に、国内に4基あった原発を全廃していたが、ベルルスコーニ首相は原発推進路線に転換。「電力を輸入に頼る状況を変えたい」として、09年に原発の建設計画を盛り込んだ原発関連法を成立させていた。 

国営放送までがボイコット示唆



 ベルルスコーニ首相は、民放の3大ネットワークを支配下に置き、国内最大の出版社を保有するメディア王。国営放送へも強い影響力を持っている。しかし、今回の投票では、政治力をフル回転させてボイコットを呼びかけたことが裏目に出た。14日付けの東京新聞は「メディア支配 首相に反発!?」という記事で、興味深いことを書いている。
「今日は海で過ごされるのが良いでしょう」。ローマ市内のホテル従業員アントニオさん(29)は、十二日朝の国営テレビの天気予報番組にあぜんとした。最高気温二七度の晴天だがら「海へ」は分かるが、いつもなら「投票を済ませてから」と呼び掛けるのが番組の通例。アントニオさんは「ベルルスコーニ首相に遠慮した」としか思えなかった。
 本来は中立であるべきはずの国営放送までが、首相に配慮していたとは驚いてしまう。傘下の民放に至っては、国民投票を実施すること自体を「ほぼ黙殺した」という。同日付けの毎日新聞も次のように報じている。
 メディア王のベルルスコーニ首相の影響からか、民放と国営テレビも直前まで国民投票の話題を大きく伝えなかった。すでに夏休みを取ったり週末は海に行く人が多いため、ローマのメッサジェーロ紙など一部メディアは「夏の国民投票は過半数に至らない」とみていた。
 しかし、既存メディアが国民投票を無視する中で、大きな役割を果たしたのが口コミとネットだった。それらを使って、「緑の党」や中道左派野党が、投票を呼びかけた結果、予想を上回る投票率になったという。

日本にも波及するのか



 ドイツに続いてイタリアでも脱原発が確実になった。福島第一原発の事故が欧州各国に決定的な影響を与えたわけだが、これが日本国内にもはね返ってくる可能性がある。毎日新聞では「日本へ波及も 運転再開 知事判断に影響か」の見出しで以下のように書いている。
定期点検などで止まった原発の運転再開の前提となる立地自治体知事の同意が必要だが、欧州での脱原発の広がりが、原発への不安を高め、知事の判断にも影響を与える可能性がある。

わが道を行く産経



 14日付けの主要各紙は、どこもイタリアの国民投票の話題を一面で大きく扱い多数の関連記事を載せていたのに、一紙だけ例外があった。産経新聞だ。震災後も原発擁護の論陣を社説やコラムで主張していただけあって、今回の記事も2面に押しやられていた。関連記事も一切なしという寂しい扱い。「伊、原発再開を断念」という残念そうな見出しで、投票結果への懸念を表明していた。
独やイタリアは脱原発に伴う電力の不足分を、仏などの原発大国からの輸入に頼ることになる。産業用の電気料金の高騰も不可避で、欧州経済への影響も懸念されている。
 脱原発が世界的な流れになる情勢だが、その一方で代替エネルギーをどうするのか。そもそも、本当に代替エネルギーがあるのか?など議論は絶えない。イタリアの電力も、結局フランスの原発に頼ることになりそうで、本当の意味での「脱原発」にはほど遠いのが実態だ。

【BLOGOS】



脱原発、各国の反応は
ヨーロッパの「脱原発」の動きをめぐって様々な意見が出ています。
【ローマ発】 「東電福島」と共に崩れ去ったイタリア原発政策の虚構
フリージャーナリスト・田中龍作氏が見たイタリアと日本の類似性とは。
「原発か自然エネルギーか」というナンセンス
経済学者の池田信夫氏は、今回の投票結果を受けて「化石燃料を再評価して地球温暖化対策を見直すこと」こそが重要と訴えています。

関連リンク



原子力撤廃 - livedoorキーワード
イタリア、脱原発を選択=福島事故後で世界初−国民投票 - 時事通信(2011年06月13日)
自然エネルギーに関する「総理・有識者オープン懇談会」について - 首相官邸(2011年06月10日)
震災3カ月、各地で脱原発デモ 福島・新宿・フランス… - asahi.com(2011年6月11日)
ドイツ 原発撤退法案決定/22年までに17基全廃/エネルギー政策を転換へ - しんぶん赤旗(2011年6月07日)

トピックス

ランキング

  1. 1

    「安倍ヤメロ」を煽る朝日新聞

    深沢明人

  2. 2

    宮崎勤死刑囚から処刑直前の手紙

    篠田博之

  3. 3

    小池氏にとどめ 進次郎氏の正論

    新潮社フォーサイト

  4. 4

    性暴行訴える詩織さん 手記出版

    文春オンライン

  5. 5

    イシグロ氏へ勲章は国の恥さらし

    清谷信一

  6. 6

    よしのり氏「1に立憲、2に共産」

    小林よしのり

  7. 7

    堀江氏「保育士は誰でもできる」

    キャリコネニュース

  8. 8

    安倍ヤメロ隊阻止する最強応援団

    NEWSポストセブン

  9. 9

    橋下氏「公約は事後評価が重要」

    橋下徹

  10. 10

    ハゲに不倫…お騒がせ議員当落は

    田野幸伸

ランキング一覧

ログイン

ログインするアカウントをお選びください。
以下のいずれかのアカウントでBLOGOSにログインすることができます。

コメントを書き込むには FacebookID、TwitterID のいずれかで認証を行う必要があります。

※livedoorIDでログインした場合、ご利用できるのはフォロー機能、マイページ機能、支持するボタンのみとなります。