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よくわからない人のための蓮舫氏の二重国籍問題Q&A(上)

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 未だによくわかっていないまま発言している人がいるようなので、こんなものを書いてみた。

Q:蓮舫さんは二重国籍だったの?

A:そうだよ。日本と台湾の2つの国籍をもっていたことがわかったんだ。

Q:台湾国籍って何? 台湾は国じゃなくて地域じゃないの?

A:ここで中国の近現代史を詳しく説明する余裕はないけれど、辛亥革命で清朝が倒れて中華民国ができたことは知ってるよね。

 第2次世界大戦後の中華民国で、政権党である国民党と、共産党との間で内戦が再発した。共産党が勝利して中華人民共和国を建国して大陸を支配し、敗れた国民党は台湾に逃げ延びて中華民国を維持した。

 当時は東西冷戦の時代だったから、米国や日本や西欧諸国といった西側は中華民国を、ソ連など共産党政権の東側は中華人民共和国を、それぞれ中国を代表する正統な政府と認めた。国際連合が創設されたときは中華民国がそのメンバーだったから、台湾に逃げ延びた後も国連の代表権を維持し、中華人民共和国は国連に参加できなかった。

 しかし、やがてソ連と対立するようになった中華人民共和国は西側に接近し、米国や日本は中華人民共和国と国交を結んで中華民国とは断交した。国連の代表権も中華人民共和国に移った。日本では「中華民国」という言葉は使われなくなり、単に地域名である「台湾」と呼ぶようになったんだ。

 国籍としては、「中華民国国籍」と呼ぶのが正確だろうけど、この蓮舫さんの報道では、一般に「台湾国籍」の語が使われているから、ここでもそれに合わせておくね。

Q:蓮舫さんはどうして台湾国籍をもっていたの?

A:お父さんが台湾国籍だったから、その娘である蓮舫さんも台湾国籍になったんだ。台湾は血統主義といって、親の国籍が子に引き継がれるからね。日本もそう。米国のように、その国で生まれたことによって国籍を取得できる、出生地主義の国もあるね。

Q:お母さんは台湾国籍じゃなかったの?

A:お母さんは日本国籍だね。結婚と国籍の変更は別のことだから、結婚していても互いの国籍が別々であることはあるよ。

Q:蓮舫さんは生まれたときから日本と台湾の二つの国籍をもっていたの?

A:いや、生まれたときには台湾の国籍しかなかった。今は違うけど、昔の日本の国籍法は、血統主義でも父系優先で、父親が外国国籍、母親が日本国籍なら、自動的に外国国籍だけをもつとされていたからね。

Q:蓮舫さんは、台湾で生まれ育ったの?

A:いや、日本で生まれ育ったそうだよ。

Q:片方の親が日本国民で、本人が日本で生まれ育っているのに、外国籍しかもてないなんて、変な話だね。

A:そうだね。だから、昭和59年5月25日法律第45号の「国籍法及び戸籍法の一部を改正する法律」で、国籍法の父系優先が父母平等に改められて、母親の国籍も子に引き継がれることになったんだ。
 同じ血統主義を採るヨーロッパの国々でも、父系優先は男女差別であるという観点から、父母平等へ改める国が相次いでいたことや、1979年に国連総会で採択された女子差別撤廃条約に日本も参加するために国内法の整備が必要だったこともあって、改正されたそうだよ。

Q:でも、蓮舫さんが生まれたのは、その国籍法の改正前でしょ? 後から国籍を取得するなんてことができたの?

A:それができたんだ。昭和59年5月25日法律第45号の附則第5条第1項に、国籍の取得の特例を認める条文があるんだ。
《(国籍の取得の特例)

第五条  昭和四十年一月一日からこの法律の施行の日(以下「施行日」という。〔引用者註:昭和六十年一月一日〕)の前日までに生まれた者(日本国民であつた者を除く。)でその出生の時に母が日本国民であつたものは、母が現に日本国民であるとき、又はその死亡の時に日本国民であつたときは、施行日から三年以内に、法務省令で定めるところにより法務大臣に届け出ることによつて、日本の国籍を取得することができる。 》
 蓮舫さんは1967年生まれ、つまり昭和42年生まれだから、この対象者に該当するんだ。それで法務大臣に届け出て、日本国籍を取得したんだね。

Q:日本国籍を取得したら、台湾国籍はどうなるの?

A:国によっては、国民が他国の国籍を取得したら、自動的に自国の国籍を失うと定めているところもあるけど、台湾はそうじゃない。日本国籍を取得しても、台湾国籍をそのままにしておいたら、二重国籍ということになるね。

Q:日本は二重国籍を認めていないってよく聞くけど、具体的にはどういう法律に違反するの?

A:日本の国籍法では、二重国籍を認めないと明言しているわけではない。ただ、国籍単一の原則をとっていて、できるだけ日本国民が二重国籍にならないようにしている。

 例えば、蓮舫さんは違うけど、日本国民を両親に持たない、一般の外国人が日本国籍を取ろうとしたら、国籍法第4条に定められた帰化の手続きをとって、法務大臣の許可を受けなければならない。

 帰化の条件は第5条第1項に定められていて、その中に
《五  国籍を有せず、又は日本の国籍の取得によつてその国籍を失うべきこと。 》
というのがある。

 「日本の国籍の取得によつてその国籍を失うべきこと」というのは、さっき言った、自国民が他国の国籍を取得したら、自動的に自国の国籍を失うと定めている場合だね。
 でも、台湾のようにそうでない国もある。そういう場合に、ある国の政策がそうだからといって、その責任を個人に負わせて、一律に帰化を認めないのは酷だよね。
 だから、第5条第2項で、
《2  法務大臣は、外国人がその意思にかかわらずその国籍を失うことができない場合において、日本国民との親族関係又は境遇につき特別の事情があると認めるときは、その者が前項第五号に掲げる条件を備えないときでも、帰化を許可することができる。 》
と定められているんだ。これで実際に帰化を許可されている人は多いんじゃないかな。

Q:それで帰化を許可したら、その人は二重国籍になっちゃうけど、それはどうやって解消するの?

A:第14条に「国籍の選択」という制度があって、一定期限内にどちらかの国籍を選択することになっているね。
《(国籍の選択)
第十四条  外国の国籍を有する日本国民は、外国及び日本の国籍を有することとなつた時が二十歳に達する以前であるときは二十二歳に達するまでに、その時が二十歳に達した後であるときはその時から二年以内に、いずれかの国籍を選択しなければならない。

2  日本の国籍の選択は、外国の国籍を離脱することによるほかは、戸籍法 の定めるところにより、日本の国籍を選択し、かつ、外国の国籍を放棄する旨の宣言(以下「選択の宣言」という。)をすることによつてする。》

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