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「三流」文科省は、宿命的に不登校を見捨てる

■三流

前回、不登校とひきこもりのふたつの問題を切り離す時が来たと僕は書き、不登校が「高止まり」常態を維持している原因は、戦後70年の制度疲労が大元にあるのでは、と書いた(「不登校」と「ひきこもり」が別れる時がやってきた)。

そうした考えをするようになったきっかけは、不登校の「高止まり」を維持し続ける教育行政への疑いであり、その大元は当然文科省だ。

些細なことであるが、池田信夫さんによるこのエッセイ(前川喜平氏は安倍政権の「ブラック・スワン」)に出てくる「三流」というさりげない表現が、僕のレーダーを刺激した。

池田氏の文章とは、このような一節だ。

【文科省のような三流官庁がさからっても、警察がマスコミに下ネタを流して脅せば官僚は黙る、と官邸は考えたのだろう。】

これは、例の「前川証言」に付随したエッセイだが、前川氏が所属してきた文科省のあり方を池田氏流に皮肉った表現だ。

僕は自分の仕事が不登校やひきこもり、貧困や虐待支援がメインだから、そのメイン所轄のひとつである文科省を「三流」と皮肉るのは、池田氏一流の暴論だと受け流した。

が、文科省出身の寺脇研氏なども、文科省の「三流ぶり」について著作があるようだ(文部科学省 - 「三流官庁」の知られざる素顔)。

哲学ばかりというか、ネットのエッセイしかここ1~2年僕は読んでいなかったので、完全な勉強不足だった。池田氏の暴論というよりは、文科省や教育委員会が「三流」というのは、東京権力層+アカデミズムでは当たり前みたいだった。

■あまりに昭和的、あるいは高度成長・バブル期システム

そうか、文科省や教育委員会や学校は「三流」か。

だから、教育委員会の部屋はあんなに「昭和」っぽくて(各担当者のデスクが異常に接近しており、担当も極端に縦割り)、ゴミゴミしているのか。

だから、「学校」という組織は、校長に権限(予算と人事)があまりなく、組織もフラット(せいぜい少数の管理職とあとはフラット)で、「不登校の高止まり」常態にシステムとしてブレーキをかけることができないのか。

が、このシステム事態は、高度成長からバブル時代の頃までは有効に機能し、団塊の世代を中心とした有能でマジメな労働者層を大量に生み出してきた。

このシステムのおかげで、「日本の現場」は強くなることができたというのは、事実だと思う。

そうした「システム」とは、以下のようなもの。

・準「パノプティコン」(M.フーコー『監獄の誕生』参照)的な校舎建築、

・40人程度のクラス、
・厳密な時間割、
・厳密な校則、
・テストと出席による管理
・一人の価値の狭い管理者=教員(大学新卒者中心)による担任
・企業的に組織化されない教員構造、
・予算をもたないトップ(校長)、
・前例主義と権力の統括組織(教育委員会)、
・「三流」と呼ばれ硬直的だが、平和な時代と安定した世界構造(戦後数十年ほど)のなかでは有効に機能した中央官僚、

あげはじめるとキリがないほど、これらはあまりに昭和的、あるいは高度成長・バブル期システムだ。

■教育システムと、雇用側が分断された社会

いまや労働者の4割が非正規雇用であり、それらは世界の労働者(東南アジアや南アジア)と代替がきく。残された6割の正社員も安住はできず、だからこそ、非正規雇用の一部(契約社員等)に社会保険をつけたり、正社員の一部の給与を下げながらも労働日数を週4日あるいは週30時間程度等のくふうが模索されている。

こうした労働条件の模索期には、高度成長・バブル期の労働環境へと送り出す旧来の教育システムは、労働者を受け入れる側(企業ほか)にとっては、まあどちらでもいい。

東大法学部を出ても中央官庁を敬遠するようになっているし、早稲田の政経を出ても朝日新聞には入らない。

教育システムと、雇用側がかなり分断された社会、それが10年代以降の日本社会だ。

不登校が13万人で高止まりしていても実は誰も気にしない。それは、制度のエアポケットであり、旧来の三流官庁からすれば旧来システムの脱線組ではあるものの、三流官庁は旧来システムを変えようという気ももたない。

最前線の雇用を受け入れる企業ほかの組織にとっては、13万人の不登校の高止まりが続こうが70万人の(正確には54万人のひきこもり+16万人の40代以上の高齢ひきこもり)ひきこもりが存在しようが関係ない。

バブル期以来という人手不足を解消するためには、たぶん「学校」は頼りない。

雇用を受け入れるサービス業の現場にとっては、硬直した「三流」教育システムにはそこそこ目を配るものの、それはすべてではない。そのルート(学校から流れてくる若者労働者)を無視はできないが、それ以外の可能性も常に考える必要がある。

■三流官庁には思いつかない

「学校の人材育成システム」が、企業現場にとっては二次的なものになった。現場労働者は、海外と再雇用で賄う。総合職はエリートとして囲い込む。経済状況によって足りない時期は(いま)、アルバイトを懸命に確保しようとする。

こうした経済状況にとっては、「学校」はあまり関係ない。

少子高齢社会となり、次世代を担う子ども若者に「投資する社会」になるべきだと僕は思うが、管轄官庁は昭和ただよう「三流」官庁で、グローバリゼーションに巻き込まれた企業側にとっては教育システムはそのすべては必要なくなってきている。

つまりは、学校にまつわる細かな問題(たとえば不登校)は、教育システムとしてはどうでもいい。まずは自分たちが昭和のままなので、システムからこぼれおちた子どもたちが産業の補完機能的として再チャレンジする仕組みはつくらないまま放置する。

だから、13万人という「不登校の高止まり現象」はしばらくは続くと僕は予想する。

この13万人をどう活用するかという視点は、三流官庁には思いつかないようだ、宿命的に。★

※Yahoo!ニュースからの転載

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