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高学歴女性が卵子を凍結する本当の理由 学歴・仕事のためではなく……

 高学歴の女性が未婚だったり晩婚だったりする理由は一般的に、教育やキャリアを優先するから、と思われがちだ。しかしこのほど発表された研究で、ショッキングな「本当の理由」が明らかになった。

◆卵子を凍結する女性たち

 女性が卵子を凍結する理由について、NHKは2016年の「クローズアップ現代」で「仕事に打ち込みたい」という思いと「でもいつかは子供が欲しい」という思いのはざまで下した決断、と伝えていた。しかし世界に目を向けると、卵子を凍結する理由は必ずしも日本女性と同じではないようだ。

 米イェール大学のマーシャ・インホーン教授は、2014年6月~2016年8月の間にアメリカまたはイスラエルの8ヶ所のクリニックで卵子を凍結した女性150人(30代後半~40代前半)を対象に聞き取り調査を行った。

 ニューヨーク・ポストによると、この150人のうち80人以上が学士号(4年制大学卒業)以上の学位を保有していた。アメリカでインホーン教授の調査を受けた114人のうち修士号保有者は47%、医学博士号(MD)や博士号(PhD)、または同等の学位を有する人は34%だった。

 卵子を凍結した理由について、150人のうち90%が「適切な相手が見つからなかったから」と答えたとBBCは伝えている。ガーディアンは、メディアではこうした女性たちが学歴やキャリアを追うために子供を産むのを意図的に遅らせているかのように報じられることが多いが、実際は家庭を築くのに適切な相手が見つからないからであり、彼女たちはこうして卵子を凍結して「時間稼ぎ」をしているのだ、と指摘している。

 この研究結果は、7月2日~5日にスイスのジュネーブで開催された欧州ヒト生殖医学会で発表された。学会でインホーン教授は、「大卒の男性が足りない。簡単に言ってしまえば、教育水準の高い女性が(男性と比べ)多すぎる」と訴えた。ニューヨーク・ポストは、2014年秋のデータでは全米の4年制大学に入学した生徒のうち55%が女性だったと伝えている。

◆子供を産むための選択肢を求めて

 状況は、大西洋の反対側でも似ているようだ。BBCによるとイギリスでは、2015年度の大学生の男女比は、女性56%、男性44%だった。前述のガーディアンの記事は、英ロンドン・ウィメンズ・クリニックやケンブリッジ大学の家族調査センターで研究員をしているジーナップ・ガーティン氏によるものだ。同氏は現在、インホーン教授が行ったものと似た調査をしているといい、イギリスでもますます多くの30代40代の女性が、子供を産むための選択肢を求めてクリニックの扉を叩くのだと書いている。

 ガーティン氏は、独身女性に向けてロンドンのクリニックで定期的にセミナーを行っており、そこで出会う女性を3つのタイプに分類している。まず1つは、「母親になる決意は固いが理想の男性に出会うことは諦めている女性」。

彼女たちはドナーから精子の提供を受けてシングルマザーとして育てることを考えており、より詳しい情報を求めているという。2つ目のグループは、「30代前半で、不確かな未来に備えて卵子の凍結をする」という女性たち。彼女たちは年齢的に手遅れになる前に、そしてキャリアが本格的に動き出す前に、手を打っておくという人たちだ。そして最後が、インホーン教授の調査で浮き彫りになった、「いつかは誰かと家庭を持つことを望み、その時のために卵子を保存しておきたい30代後半~40代前半の女性」だ。

 ガーティン氏は、3つ目のグループに属する女性が急速に増えている、と指摘する。彼女たちは押しなべて高学歴で、自分が選んだ職業で成功しており、20代30代の時に複数の国で学んだり働いたりした経験を持つ国際人という特徴があるという。そして、自分の友人たちが達成した人生のマイルストーン(結婚・出産)を自分が経験しなかったのは、何がダメだったんだろう、と疑問を口にするとガーティン氏は述べている。さらに、相手を見つける努力をしているのに、限定的な選択肢しかないことにフラストレーションを感じているという。

 当然ながら、単純に学歴の男女比だけの話ではないだろう。一般的に男性はどういう女性を好むか、など、複雑な事情が絡んでいるはずだが、高学歴の女性が相手を見つけるのに苦労している、という事実は否めないだろう。今回発表されたのはアメリカでの調査だが、日本の場合はどうだろうか。現状は、冒頭で紹介した「クローズアップ現代」が伝えたようなものかもしれない。

 内閣府が発表した日本の大学進学率(平成28年度)は、女性が48.2%、男性55.6%と、女性の方が少なかった。しかしこれがいつ逆転するかは、誰にも分からない。日本の場合、女性の社会進出が欧米諸国よりも遅いことを考えると、日本の社会で女性が欧米並みに活躍できる時代になった頃に、インホーン教授の調査のような状況が、日本にも時差でやってくるのかもしれない。

Text by 松丸さとみ

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