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「不登校」と「ひきこもり」が別れる時がやってきた

■ようやく別れる時がやってきた

長らくセットで語られてきた「不登校」と「ひきこもり」が、ようやく別れる時がやってきたように感じる。

不登校は、相変わらず続くその「高止まり現象」によって、教育制度の制度疲労であることが明らかになってきた。ひきこもりは、その高齢化現象によって、少子高齢化時代の「新しい波」として位置づけられるように思う。

長らく日本の不登校現象の延長としてひきこもりは語られてきたが、ここにきてこの2つは違うジャンルで論じたほうがむしろわかりやすくなるだろう。

不登校は、まずは「教育制度」の問題として。ひきこもりは、まずは「高齢化社会」の新現象として。

たとえば最近のこんな記事(ひきこもりでよかったことはありますか? 経験者が回答)を読むと、不登校とひきこもりは地続きであることは一応確認できる。

だが、それはこれまでの事態であって、これからはこの両者は徐々に「別れていく」だろう。

■ひきこもりは高齢化し、不登校は高止まりしている

ひきこもりは、団塊ジュニアの「脱若者化」(40代への突入)とともに、若者定義から外れていっている。実際、ひきこもりの数が70万人から54万人に減ったとされているが(引きこもり54万人 15~39歳、長期・高年齢に 内閣府調査)、これは単にこの16万人が40代になっただけにすぎない。

若者としてのひきこもりは確かに減っているが、中年ひきこもりも含めた全体数は変わらない。総体として70万人程度のひきこもりたちが、ゆっくりと年をとっている。それが実態だろう。

また、(小中の)不登校は13万人前後でまったく減少していない(小中学生の不登校の割合が過去最多、中学生は35人に1人)。子どもの数は毎年少しずつ減少しているから、相対的には不登校の割合は増加している。

ひきこもりは高齢化し、不登校は高止まりしている。言い換えると、ひきこもりは高齢社会問題に吸収されつつあり、不登校は教育制度の制度疲労として定着しつつある。両者は、「40代の生き方」の問題と、「ティーンエイジと学校の関係性」の問題という、まったく別の問題として位置づけられつつある。

■教育システムが経済システムを支えてきた時代が終わった

だがそもそもひきこもりは不登校の延長として生まれてきただけに、このふたつはこれまで一緒に論じられてきた。僕も、不登校がまだ登校拒否と呼ばれていた時代からこれらの問題を追ってきたが、90年代後半になって斎藤環さんによって名付けられたひきこもり出現とそれ以降の問題の連続性を振り返ると、この2つがくっつけて論じられるのも仕方ないと思う。

が、そろそろ2つは別れるべきだ。

1つ(不登校)は、教育制度の問題だ。戦後70年続いた現在の教育システムは制度疲労を起こしており、その一現象が「不登校の高止まり」という事態だと僕は捉えている。

これは大きな枠で考えると、教育システムが経済システムを支えてきた高度経済成長時代(言い換えると団塊世代が10代から社会人になっていった時代)が終わったということだと思う。

もはや企業が日本国内でガツガツと労働者を探す時は過ぎ去り、世界中のどの国でも労働者は探してよい時代となった。言い換えると、経済システムと教育システムは乖離し、前者は自国で労働者を見つけなくてもよくなった。

経済システムは変わってしまったのに、教育システムは大阪万博の時代から45年変わらない。その象徴である教育委員会も、全役所中かなり「遅れている」セクションだと僕は捉えている。教育委員会の事務所のあり方は実際かなり「昭和」しており(ゴミゴミしている)、縦割り中の縦割り組織だ。

これまで有効に機能してきたシステムなだけに、それが自助変化するのは難しい。

■まったく違う地平

1つ(高齢ひきこもり)は、少子高齢社会の「新しい波」だ。ひきこもりの中核世代である団塊ジュニア(現在40才前後)は上述したように統計上「若者」ではなくなった。

これから40代を彼女ら彼らは生きていくが、やがて50代になり、高齢者となった親が亡くなり、自身も65才になるだろう。

高齢親の年金でしばらくは生活していくが、その高齢親が亡くなると、親の残してくれた貯金で数年は生活する(中流世帯の場合)、たとえ1,000万円残してくれたとしても、7~8年でそれはなくなる、

その後、生活保護の申請をせざるをえない。亡くなった親が国民年金を払ってくれて月7万弱の年金が入っていたとしても、老人(元ひきこもり)は食べていけない。そのフォローを、生活保護がしてくれる。

そんな人々が、団塊ジュニア中心に膨大な数にのぼる。現在の生活保護予算は4兆円あたりだが、その頃になると倍以上になっていると僕は予想している。

不登校とは、教育システムの根本的組み換えのための尖兵的現象だ。

ひきこもりとは、少子高齢社会の新しい波だ。

こう考えると、両者はいつのまにかまったく違う地平に位置づけられている。

だから、「不登校・ひきこもり」と一緒に括る時代は過ぎてしまったと僕は思う。★

※Yahoo!ニュースからの転載

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