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AIやIoTの技術で実現される新しい社会“Society5.0”は人々の生き方や社会制度をまるきり変える可能性を持つ - 「賢人論。」第42回村上憲郎氏(中編)

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前編「新人時代、月に200時間も残業し“プチプチ”にくるまって寝ていた。“やりがい”や“大義名分”以前に食べていくことで精一杯だった」で、新人時代の苦労話をまじえ、現代の豊かさを当たり前に享受する若者へ“明日の食べ物がない”状況を一度は想像しておくことを奨めた、元Google日本法人代表・村上憲郎氏。中編では、黎明期から人工知能に携わり現在も政府の委員を務める氏の知見から、近い将来訪れるであろう第四次産業革命後の世界について語ってもらった。

取材・文/佐藤 舜(編集部) 撮影/公家勇人

要求を満たす表現から身につけていくことが英語学習の基本

みんなの介護 IT技術の普及によりグローバル化が進むこれからの時代、英語が喋れない人は生き残れないだろうと村上さんは主張されています。村上さんご自身、外資系コンピューター企業「DEC」に転職された31歳から勉強を本格的に始めて、3年間かけて英語をマスターされたそうですね。

村上 英語がまったくできないのに外資のコンピューター会社に転職してしまいましたから、必死にやりましたね。

みんなの介護 ご著書「村上式シンプル英語勉強法」に書かれている勉強法は独学で編み出されたとか。

村上 まずは、生きていく中で最低限必要な言葉だけを覚えるんです。「何か食べたい」「これをくれ」などの“要求”が人間の発話の基本でしょう。だから英語教室に来た生徒にはまず今やりたいことを日本語で言わせて、その英語での言い方を教えていく。お互いに要求を満たし合うような表現を最初に身につけていくと成長が早いと思います。

みんなの介護 ビジネスの場面も、基本は“要求”の積み重ねですものね。

村上 自分の身から湧き出る表現欲を満たすための表現から入るんです。そういうことを疎かにして「This is a pen.」みたいな文を教えているからダメなんですよ。英語の教育産業は当時にもありましたし、今でも廃れていません。なぜ廃れていないかというと、“ぜんぜん成功していないから”です。

私は英語学校の先生に会うとこう言うんです。「あなたたちの目標はなんだと思いますか?それは、あなたたちが失業することです」。そうでしょ?「英語教室なんか開いたって誰も来ないよ。だってみんなペラペラだもん」というところが英語教育の最終ゴールなんですからね。

第四次産業革命が、生産と流通の仕組みを根本的に変える

みんなの介護 最近の村上さんは、どのようなお仕事をなさっているんですか?

村上 第四次産業革命に関連する政府の委員などが活動の中心ですね。先の3月には、株式会社エナリス代表としての最後の仕事で、安倍総理や世耕経産大臣などと一緒にドイツへ行きました。ハノーバーという街で開催されたITの万博「CeBIT」に参加し、「ハノーバー宣言」の発表に立ち会うためです。「ハノーバー宣言」では、日本とドイツで手を取り合い第四次産業革命を推進していくための方針が打ち出されました。

みんなの介護 第四次産業革命というのは、蒸気機関による第一次、電気による第二次、ITによる第三次産業革命に続く、第四の産業革命のことだそうですね。実現すると、具体的にどのように社会は変わるんでしょうか?

村上 IoT、ビッグデータ、人工知能を使って、製品のデザインや製造、流通といった一連の産業構造が一気に効率化されます。例えばスーツをつくるなら、現段階では一種類のデザインを大量生産するという方法が最も安上がりですよね。しかし、第四次産業革命後はオーダーメードの製品さえ大量生産と同じ低コストでつくることが可能になります。

みんなの介護 IoTは家電や工場の機械などあらゆるものをインターネットに繋げて情報をやりとりする技術のことで、介護業界でも、安否の見守り機能を搭載したベッドなど様々な用途への活用が期待されています。

村上 スーツをつくるならば、例えばある人を真っ裸にしてスキャナーの間をスッと通すことで、体型や色などを検出する。それにその人の好みなどのデータを加えて、つくるべきデザインを人工知能が瞬時に割り出す。そうしてできたデザインデータが工場へ送られると、インターネットに繋がったIoTの生産マシンが自動的運転でスーツをつくり始める。

こんな具合で、自分に合った唯一無二のスーツが安く、早く生産されるようになるんです。ひょっとしたら、スキャナーを出てきたときにはもうスーツを着ているかもしれないですよ!というのは冗談ですが(笑)。

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