記事

教員の長時間労働を本気で止めないとまずい

教職員の時間外労働にも上限規制を設けるように呼びかける署名運動が注目され、すでに3万7000筆を超える署名が集まっています。

●教職員の時間外労働にも上限規制を設けて下さい!!

上記署名サイトに書かれている教員の長時間労働の実態は下記の通り。

“現在政府がすすめている「働き方改革」では、民間労働者には、時間外労働の上限規制(罰則付き)が設けられます。しかし、教職員は時間外労働の上限規制の「例外」としました。

すでにマスメディアで報道されたように、国際調査(14年TALIS)では、日本の教員の労働時間は、調査に参加した国・地域で最長でした。また、文科省勤務実態調査でも、この10年間で時間外労働が急増していることがわかりました。過労死基準である月100時間以上働く教員は、小学校55.1%、中学校79.8%、高校46.4%(15年連合総研)でした。民間労働者のうち過労死基準以上働く人の割合がもっとも高い情報関連29.6%(16年過労死白書)と比較すると、ずばぬけて高くなっています。

なぜ国は、教職員の時間外労働を上限規制の「例外」にするのでしょうか?教員は、どれだけ働いても「残業代」は0円。その代わりに給料の4%にあたる給料(残業手当に換算すると月7~8時間分)が支給されます。この制度がはじまった1971年頃と比べ、時間外労働は5倍に増えています。教員に残業代を支払う必要がないため、いくらでも仕事を増やすことができます。学校現場では勤務時間が適切に把握されず、過労死基準に当たる100時間以上働くのが「常識」となっているのです。“

なぜこんなことになるのか。2014年に私が著した『オバタリアン教師から息子を守れ』(中公新書ラクレ)でもこの問題を取り上げました。女性が多い職場であり、育休制度も整備されているにもかかわらず、育休復帰後は異常なほどの長時間労働の中で仕事と家庭の両立に追われ精神を病んでいく女性教員が多いというメカニズムを描きました。教員は世間一般と比較して異常なまでの長時間労働環境にさらされているだけでなく、おそらくはそれにともない、世間一般と比較して精神疾患を患う割合も多いのです。以下は、そのときに取材した長時間労働の原因と考えられる事項の要点です。

OECD(経済協力開発機構)が2011年に発表した資料によれば、日本の教師は授業以外のことに時間をとられている割合が高いとのこと。

英語教育やプログラミング、道徳教育、食育、環境教育など、教育のあれもこれもを学校が抱え込み、箸の上げ下ろしまで学校で教えなければいけないような風潮も教員の負担を増やしている原因の1つでしょう。

部活の問題も挙げられます。最近では長時間練習が日常化している「ブラック部活」が話題になっていますが、それにともない「部活未亡人」などという言葉も登場しました。部活の顧問が、放課後も週末も部活に時間を取られ、家族と過ごす時間がほとんどない状況を表現した言葉です。

保護者対応の増加という問題もあるでしょう。教育をサービス業と見なす風潮から、自分を「お客様」だと勘違いして、教員に対し、過度な要求をする保護者も増えているのです。

人事考課制度の運用や教育施策成果の把握のために、教育委員会などの役所から送られてくる事務書類が激増しているという現場の声もあります。教育委員会職員の査定のために、子供たちのために使うべき教師の業務時間が奪われているケースも多いようです。

そんな状況での、「大量退職・大量採用に伴うOJT」。世代的に、ベテランが一気に抜ける一方で、大学を卒業したばかりの教師たちが毎年大量に学校にやってくる。「彼らを早く一人前の教師に育てるのがベテランの役割。今のベテランの先生たちは児童だけでなく、後輩も育てなければいけない」とある小学校校長は言います。

わが子を預けているわけですから、学校や先生に多くのことを求めたくなってしまう気持ちはわかります。しかし先生だってスーパーマンではありません。先生と家庭と協力して、子供を育てているのだという意識を忘れずにいたいですね。先生が疲弊してしまって困るのはほかでもないわが子たちなのですから。先生たちを守ることは、子供たちを守ることでもあるのです。子供たちを守ることは未来の社会を守ることにほかなりません。

※全国のFMラジオネットワークJFNの「OH! HAPPY MORNING」7月20日に放送した内容を掲載しています。

あわせて読みたい

「教員」の記事一覧へ

トピックス

ランキング

  1. 1

    パチンコ団体の無茶な主張に呆れ

    宇佐美典也

  2. 2

    議員秘書が明かす蓮舫氏の悪評

    fujipon

  3. 3

    発言捏造? 水原希子の動画を検証

    西村博之/ひろゆき

  4. 4

    橋下氏「北対策はヤクザに聞け」

    PRESIDENT Online

  5. 5

    解散を要求していたのは野党側

    和田政宗

  6. 6

    キンコン西野「素人の演出迷惑」

    メディアゴン

  7. 7

    よしのり氏「山尾氏は謝罪不要」

    小林よしのり

  8. 8

    民進・岡田氏 解散の違憲性指摘

    岡田克也

  9. 9

    豊田議員糾弾は大衆によるリンチ

    小林よしのり

  10. 10

    姜尚中氏語る「戦争回避」の道筋

    亀松太郎

ランキング一覧

ログイン

ログインするアカウントをお選びください。
以下のいずれかのアカウントでBLOGOSにログインすることができます。

コメントを書き込むには FacebookID、TwitterID のいずれかで認証を行う必要があります。

※livedoorIDでログインした場合、ご利用できるのはフォロー機能、マイページ機能、支持するボタンのみとなります。