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【特別寄稿】津田大介氏「Gov 2.0 Expo」速報レポート1日目

米国時間5月25日から27日にかけて米ワシントンDC、WACHINGTON CONVENTION CENTERで「Gov 2.0 Expo」が開催されている。

「Gov 2.0」とは、「Web 2.0」という概念を提唱したオライリー・メディアの創業者であるティム・オライリーによって新たに提唱された概念。オライリーは「政府はユーザーの求めに応じてサービスを提供するプラットフォームになるべきだ」という考えの下、各種のIT技術を使って政府の持つデータをオープンにし、ソーシャル・メディアの持つインタラクティブ性を政策決定に活かすような各種サービスを進めていくべきだとしている。

オバマ大統領は、選挙期間中から各種のIT技術やソーシャル・メディアを駆使し、多額の献金を集めたことで知られているが、大統領に就任したあとも選挙中に構築したさまざまなITプラットフォームを新政権のシステムに転用し、政府のオープン化・プラットフォーム化を進めている(こうした一連の動きは「オープンガバメント化」とも称される)。「Gov 2.0 Expo」は、米国を中心に盛り上がりつつある各種のプラットフォーム化の試みをショーケース的に紹介するイベントだ。

このレポート記事では、筆者が訪れたセッションの中から興味深いケースを紹介していく。

●Navigating the Maze / Carolyn Lawson

カリフォルニア州のChief Information Officerの下で、電子サービスのディレクターとして、ソーシャル・メディアの活用やウェブポリシー周りを取り仕切っているCarolyn Lawson氏の講演は具体例が多く、非常に明快で、筆者が見た中でこの日一番の講演であった。

カリフォルニア州は米国内でもデータのオープン化については先進的な試みを行っている州である。行政府が抱える各種のデータや知事が発令するデータなどが加工しやすいCSV形式で3万ファイル、Excel形式では4万ファイルが公開されている。一方、公開されているファイルをどう市民にわかりやすく見せるかということが目下の課題になっているそうだ。

Lawson氏は冒頭、政府や行政府の人たちに向け「TwitterやFacebookの盛り上がりは現実的に起きていることだから、背を向けても仕方がない。今の状況から逃げることの方がマイナスになる。みんな誤解しているが、ソーシャル・メディアの変革というのは単なる技術的な変革ではない。社会的な変容なのだ」とソーシャル・メディアの隆盛に対して前向きに捉えることを提案。実際にカリフォルニア州で起きた事例を引き合いに出し、ソーシャル・メディアが行政府の効率化に果たした役割を解説した。

カリフォルニア州のシュワルツェネッガー知事は、Twitterがブームになった早いタイミングでTwitterを開始し、個人としての言葉をたくさんツイートし始めた。しかし、知事がTwitterを開始した当初、セキュリティポリシーの問題もあり、カリフォルニアの行政府内のパソコンからはTwitterが閲覧できないようになっていたという。知事は政策についてもTwitterで多くツイートしており、CIOは「政策について知事が発言していることを行政府の人間は知るべきだ」と判断し、Twitterのブロックを解除すべくセキュリティ部門と交渉し、解禁させた。実際に解禁したあとは、職員と知事の意思の疎通もやりやすくなり、Twitterを通じて州職員と一般の人がインタラクションできるようになり、多くのメリットがもたらされたそうだ。

Twitterを解禁し、情報提供や市民とのコミュニケーションの場とすることには、より具体的な効能もあった。カリフォルニア州は長らく財政難が続いており、失業保険を申請する人が少なくない。しかし、従来はウェブの情報がアクセスしづらく、失業保険をうまく申請できない人が多かったという。そこで、失業保険事務所のTwitterアカウントを開設し、各種の情報提供や、申請したい市民からの質問に答えるようにしたら、開設から半年間で申請数がそれまでの100万件から180万件に増えた。短い文字数かつオープンな場所でQ&Aを行うことで、閲覧者に知識が溜まっていくというTwitterの特性が活かされたわかりやすい事例と言える。

もう1つ、財政難をソーシャル・メディアでフォローした事例として挙げられたのが、州のドライビングトレーニングだ。それまで州が実施していた運転免許所有者向けのドライビングトレーニングが財政難によって「仕分け」対象となったため、州はYouTubeに「California DMV」という公式チャンネルを作成し、ドライビングトレーニング用のビデオをYouTubeにアップロードした。チャンネルにアップされた動画再生回数は合計で現在900万再生を超え、ドライバーのためのインフラとして機能している。Lawson氏は「こういう発想を州レベルだけでなく、政府も自分たちのDNAに取り入れていかなければいけない」と強調した。

この事例に対しては聴衆から「YouTubeにアクセスできないお年寄りや、デジタルデバイドの問題をどうするんだ」という厳しい質問が浴びせられた。Lawson氏はこれに「徐々にそうした層も取り込んでいくしかない。私はSNSのアクティビストになってこうした事例を広めているのもそのため。ただ、最近は確実にその層は広がっている。Facebookでは孫の写真や、孫が今何どうしているのかを確認するため、老人の女性層のユーザーが増えている。今後は、社会全体がソーシャル・メディアを鍵に文化的に動いていくだろう」と答えた。

質疑応答では「行政府の職員がTwitterやFacebookを利用する際、私生活と役人としての生活をどこまで分けるべきか?」という質問も出た。Lawson氏はこれに対し、「ソーシャル・メディアだからといって特別に考えることはない。自分の仕事で楽しかったことを個人の時間にTwitterに書くのはOK。でも、仕事上知り得た機密を漏らしたり、みんなが見てる前でネガティブなことを言うのはNG。現実社会でダメとされることはダメ。現実社会と同じモラルを持ってください」と、行政府の職員がソーシャル・メディアを利用する際の心構えを示した。

Lawson氏はFacebookと比較してTwitterのオープン性からもたらされるトラブルにも言及。「TwitterはFacebookよりパブリックなメディアだから、発言がきっかけで叩かれることはあります。それは政府だろうが個人だろうが同じこと。これは避けられない問題で、こういう世の中になってきているのだから、より政府をオープンにしていかなければならない」と、改めてオープンガバメント化の必要性を強調した。

カリフォルニア州CIOでは、職員のTwitterがいつ「炎上」してもわかるよう、職員が作っているアカウントは、できるだけ把握するための努力をしているそうだ。「今後職員のTwitterのツイートが原因で訴訟になることもあるだろう。ただ、それは良い悪いという問題ではなく、法廷が判断すべき問題」と、職員がTwitterをやることによる法的リスクについては明言を避けた。

会場からは、公務員がTwitter上の発言でトラブルを起こした事例として、オークランドの警察官のTwitter情報漏洩“事件”が紹介された。Twitter上で警察官が「次の水曜日は売春婦の手入れをやらないようにしよう」という話を仲間に話しかけ、それを見た売春婦たちは大手を振って街に繰り出し、街に売春婦があふれたということがあったそうだ。Lawson氏はこのケースを「このケースはソーシャル・メディアの活用に失敗した事例とは思わない」とした上で「政府が持っているデータは元々市民に属するもの。データをオープンにすること自体は良いこと。実際に売春婦の取締りを行うかどうか、その運用は個別に考えればいい話」と、ポジティブに捉えた。

Lawson氏は最後に行政府がデータのオープン化やソーシャル・メディアを通じて市民との対話を促進する必要性を強調。「2005年に我々はサンフランシスコ市全体に無料で利用できるパブリックWiFiを整備する計画を発表した。住民への行政サービスの一環で、整備すれば住民は喜んでくれると思ったら、自分たちの行動が政府に筒抜けになることを恐れたプライバシー監視団体やメディアなどから猛烈な反発が起きた。こうした対話を促進することで、政策にフィードバックしていくことが重要だ」と、講演を締めくくった。


●Creating a Social Media Strategy: The Data Shows Why It's Important / Dan Zarrella(HubSpot)

インターネットのトラフィックを分析するマーケティングソフトを開発するHubSpotのDan Zarrella氏によるソーシャルメディア戦略作りに関する講演では、様々な興味深いデータが示された。

Zarrella氏はソーシャル・メディアで情報を伝える際重要なのは、「Exposure(情報の種をまき、情報を提供する)→Awareness(人々に認識を植え付ける)→Motivation(大衆にモチベーションを与える)という一連のプロセスにある」と指摘。良いアイデアや質の高い情報であれば、広まりやすいというのは幻想で、ソーシャル・メディアでは情報が広まりやすいインフルエンサーを探してターゲティングすることが重要であることを様々なデータを元に解説した。

行政府がソーシャル・メディアを使って情報を市民に伝えていく際の具体的ノウハウも解説。

「データを元に誰かと何か情報を共有する頻度が高いのはFacebookよりもTwitter」

「パーソナライズ戦略が重要。オバマが選挙戦でやったように行政府からメールを出すときはFROM欄を行政府の名前にするわけではなく、担当者の個人名にした方がいい」

「Twitterで1時間に1回の頻度でリンクを張ったURLを投稿する場合と、リンクを貼ったURLを短い時間に複数投稿する場合、前者の方がクリック率が高くなる」

「Facebookの情報共有は金曜日と土曜日に上がる(米国では職場からのFacebook利用が禁じられているところが多く、平日は情報が多すぎて疲れる人が多いので週末に増えるのではという分析が示された)。広めたい情報は週末に投稿する」

「一見他人が興味を示しそうにない情報でも、ほかの情報と組み合わせることで聞き手を増やすことができる」

「多くの人に伝えたい情報は“読みやすさ”が大切。FacebookもTwitterもちょっと複雑な文章を使うとそれだけ読まれる人が減ってしまうというデータがある。新聞のヘッドラインぐらい明解な文章を心がける」

といったノウハウが明らかにされた。

Zarrella氏は、ソーシャルメディア上で共有されやすい情報についても解説を行った。ソーシャルメディアには「Communal Reaction」という効果があり、「他人にとってはまったく興味のない情報が対象となる本人を知っていることで楽しめる情報に変化し、これによってセンチメンタルな情報ほど共有されやすい」と指摘。実際にソーシャル・メディア上で共有されている情報を分析すると、1番多いのは「自分に関係ある情報」で、2番目がユーモアコンテンツ、3番目がハウツーなどお役立ち情報であるであるというデータを示した。

Zarrella氏はソーシャル・メディアの情報共有戦略を語る一方で、ソーシャル・メディアの情報共有に潜む問題点も指摘した。

「ソーシャル・メディア上では情報は少なければ少ないほど流通する。タイガー・ウッズの浮気問題が良い例。人間には誰か一番最初に飛びついた人の後に考えなしについて行く追随心理というものがあり、TwitterやFacebookにもそうした傾向が強く見られる。いわゆる恐ろしい都市伝説の類は広まりやすいので、この点は政府機関は特に政府機関は気をつけなければいけない」

加えて、「ゴリアテ効果」と呼ばれるバイアスが政府や官公庁にはかかりやすいので、情報を提供する際はその点を踏まえた上で丁寧かつ真摯にふるまうことが重要であるとした。

質疑応答では官公庁の人から「政府機関から発信される情報はどうしてもネガティブな話題も含まれる。災害などは良い例だ。そういう情報発信をする際の工夫は?」という質問が出た。Zarrella氏はこれに対し、「例えば災害が起きたら、その情報を流すのと同時に『この災害に対してこんなチャリティーが行われています』といった情報や『この場所でこういう救援活動がされています』といった情報も一緒に流せばいい。ネガティブな情報一辺倒にならず、ネガティブな情報の中にポジティブな情報を入れていくことが重要」と具体的なアドバイスで返した。


●How Online Collaborative Games are Improving Policy Making / Michael Bean (Forio Simulations)

MIT出身で、ビジネス向けシミュレーションツールをSaaSで提供するテクノロジーベンチャー・Forio社の代表Michael Bean氏の講演はシミュレーションゲームの歴史と成り立ちから、政策決定への転用の可能性について語られるユニークなものとなった。

元々シミュレーションゲームは、第2次世界大戦の頃に米国で始まったもの。50年代から60年代あたりに本格的な実験が始まったが、当時のコンピュータベースじゃないシミュレーションゲームには「1つの答えを作り出せない」という問題を抱えていた。

その後、現代になってコンピュータと人の頭脳を組み合わせる形のシミュレーションゲームが開発された。コンピュータは計算ができるが、計算した結果の中から問題を見つけるのは人間の方が優れており、これにより政策を決定するためのアジェンダ・セッティング(議題設定)がシミュレーションゲームを通じてできるようになった。

Forio社はグリーンガス排出と温度上昇のシミュレーションゲームや、米国の社会保険制度と国民の健康の度合いをシミュレーションするゲーム、対象とする州を選んで、新築のビルにエネルギー関係の条件を選んで、前提を変えていくと燃料に対する需要が変わるエネルギー政策シミュレーションゲームなど、政策決定とそれに伴う結果を算出するさまざまなシミュレーションゲームを開発している。

その中でも、社会保険制度と国民の健康に関するシミュレーションゲームは、疾病管理に関するデータの世界的権威と言われるアメリカ疾病予防管理センター(CDC)のサイト上で正式なコンテンツとして採用されているほどだ。

これらの政策シミュレーションゲームを開発するBean氏は「これらはあくまでも実験。シミュレーションゲームをやることの目標は人間たちだけでは見えない洞察にたどりつくことができるかもしれないから」と、謙虚にシミュレーションゲームが持つ意義を語ったが、こうしたテクノロジーベンチャーのリアルタイムコンテンツが行政機関の一コンテンツとして採用されるあたりはさすが米国と言うべきか。お抱えのシンクタンクに文書形式の調査しか依頼しない日本の官公庁との間に大きな差を感じた。

最後の質疑応答で気になった部分があったので「実際にこうしたシミュレーションゲームは行政機関でどのくらい現実的な政策決定ツールとして使われているのか。また、シミュレーションが市民の投票システムなどと連動するなどの可能性は?」という質問をしてみた。

Bean氏は「公開されている明確なデータがあるわけではないが、現時点で州や地方自治体レベルでこうしたシミュレーションゲームを使う機会が増えているというのは、自分の会社を運営している実感としてとても増えていると思うし、実際にシミュレーション制作の依頼も増えている。プランニングツールとしての使われ方も幅広くなっており、組織内のディスカッションツールや官公庁以外の組織とのコミュニケーションに使われているケースもあるそうだ。今まで省庁がウェブで情報を公開する際、テキストや動画を使って告知していた。そのオルタナティブとしてシミュレーションゲームのようなコンテンツが使われるようになってきている」と答えてくれた。

この分野日本がもっとも弱いところ。日本でもForio社のようなテクノロジーベンチャーが積極的に行政にコミットできるようになり、こうした研究を行っている大学の研究室が地元の官公庁とつながる仕組み作りが求められる。


●Building Online Communities for Citizen Engagement / Judith Freeman (New Organizing Institute), Cammie Croft (Department of Energy)

「オンラインコミュニティに市民を参加させる」ということをテーマにした講演。登壇者の1人、Cammie Croft氏は現オバマ政権のニューメディアディレクターとしてオンラインコミュニティを活用した様々なプロジェクトに関わっている。

講演ではまず最初に彼らが考えるオンラインコミュニティの定義からスタートした。彼らの考えるオンラインコミュニティの定義は下記の3つだ。

「縦にも横にも参加を促進する」

「特定のトピックやイニシアチブ、目標についてユーザー同士の関係を促進する」

「一度コミュニティを離れても、(会社などとは異なり)いつでもまた戻ることができて、さらに深い参加が可能になる」

その上で政府機関としてオンラインコミュニティを作ることのゴールを「メッセージを伝える」「(情報の)透明性を獲得する」「市民に対してサービスを提供する」と設定した。

彼女たちはオンラインコミュニティでコミュニケーションを行っている層はWikipediaに記載されている5つのクラスに分かれることを指摘した上で、それを踏まえた上で以下の7原則に従ってコミュニティを構築する必要があるとした。

原則1:enpowerment(ユーザーにパワーを与える)
→Twitterで質問を投げかけたり、コメントフォームで意見を求める。ユーザーから意見を聞くなら形式だけでなく本気で受け止め、ユーザーにその機能が意味があるとわからせる。

原則2:narrative/story(連続したストーリー性を持たせる)
→単独のイベントをバラバラにやるのではなく、オンラインコミュニティの活動にストーリー性を持たせることが重要。

原則3:authenticity(内容に信頼性を持たせる)
→情報に信頼性があることが大事。中国のエネルギー政策についてなど、自分がよく知らない、わからない話は書いてはいけない。

原則4:transparency(透明性を確保する)
→データを公開するなら、ユーザーがコメントを残せるようにしなければいけない。中途半端に公開することはやめ、徹底して透明性を獲得することを心がけなければいけない。

原則5:moments(瞬間的な対応)
→オンラインコミュニティ上では瞬間的な対応が求められる。何か問題が起きたときにすぐに対応できるよう用意しておかなければならない。

原則6:Measurable and strategic Goals(計測可能で戦略的なゴールを設定する)
→わかりやすく達成しやすい目標をコミュニティ全体で立てておく。

原則7:Try things, Pilot projects, Build capacity(試行錯誤で能力を拡張する)
→いろいろなことを試し、パイロット版のプロジェクトを立ち上げ、自分たちのキャパシティを上げていく。

このあたりの原則、方法論はオバマ大統領がオンラインコミュニティを駆使して成功したノウハウを完全に踏襲したものであり、もっと細かい話は『Yes We Did!』(邦訳『「オバマ」のつくり方』)という書籍で解説されているので、興味のある向きはそちらもご参照いただきたい。

Croft氏はこの原則に従い、現在ホワイトハウスで行われているオンラインコミュニティを活かした2つの事例を紹介した。1つは「Save Award」。これは、ホワイトハウスが連邦職員に対して予算の削減プランを募集し、優れたプランを採用し、ウェブ上で公開するというもの。もう1つは「GreenGov Challenge」。こちらはホワイトハウスが政府の環境政策についてプランを募集するというもの。まだ継続中のプロジェクトだが、このプロジェクトを通じて各職場でリサイクルを促進するためにどうするか具体的なアイデアが上がり、進行しているプロジェクトもあるそうだ。

どちらの事例もオンラインコミュニティを通じて一定の成果を上げることに成功したが、Croft氏は両方に共通する欠点としてコンテストが一時的なものになったことを挙げた。
「最終的に勝ったアイデアは採用されるが、オンラインコミュニティの活動を通じていろいろ出てきたアイデアの中でムダになってしまったものも多い。こういう活動を通じて出てきたアイデアをどうほかの場所に活かせるか。それを効率よく行うことが今後の課題」

質疑応答では「オバマは選挙を勝つという目的があったから、素晴らしいコミュニティ作れたが、選挙に勝ったあと政権ではそれを生かし切れてないのでは」という厳しくも本質を突く質問が飛んだ。これに対しCroft氏は「確かにオバマのオンラインコミュニティはロングタームにおいては弱い。オンラインコミュニティを長期間同じテンションで続けていくのは難しい」と苦しい内部事情をストレートに吐露。その一方で「国務省が世界中の交換留学生のために作っているSNSは非常に評価が高い。また、国防総省はFacebookのシステムを転用したmilBookという軍人専用のSNSを開発し、こちらも高い評価を得ている。地方でも教育委員会のSNS化など様々な事例が出てきており、政策決定現場におけるオンラインコミュニティの存在感は確実に高まっている」と、セグメント分けされたSNSの可能性に言及した。


●キーノートでプレゼンされた注目事例

○Apps for the Army
米軍に広まっているソーシャルアプリの紹介。80年代は部隊や空軍海軍が情報共有。90年代はどう協力するか。00年代はそれをどうコーディネートしていくか。10年代はそれをどうコラボレートしていくかが課題となっている。現在はGPSやMTSといった位置情報システムから武器や諜報など、過去の行動のログを統合して使いこなしていくかを重視しており、スマートフォンはiPhoneに統一するなど、米軍職員が持つデバイスを統一しようとしている。

○CiviGuard
http://www.civiguard.com/
テキストメッセージ、GPS、モバイルアプリケーションを組み合わせることで、地域ごとの安全情報を共有するシステム。

○Webcitizen
http://www.webcitizen.com.br/
ブラジルのネット企業。法律は普通の一般市民がわからないようにできており、それが民意と投票行為のギャップを生んでいる。有権者は1つのことを望んでいるのに、実際の投票行動では逆のことをしたりする。そうしたギャップを埋めるため、有権者同士が交流して参加型公共民主主義を目指す。

○Go.USA.gov
http://go.usa.gov/
政府機関専門のURL短縮サービス。公共機関がツイートする際、bit.lyなどの民間サービスを使う場合、RTなどの段階でデータが改ざんされる危険性がある。そこで政府機関が専門的に利用できるURL短縮サービスが用意された。これを使えばセキュリティ的にも安全で、クリック率のトラッキングも行える。

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「Gov 2.0 Expo」速報レポート2日目

津田大介

メディアジャーナリスト。大学在学中からIT・ネットサービスやネットカルチャーをフィールドに新聞、雑誌など多数の媒体に原稿を執筆。現在、早稲田大学大学院政治学研究科ジャーナリズムコース非常勤講師、情報通信政策フォーラム(ICPF)副理事長、(財)デジタルコンテンツ協会発行「デジタルコンテンツ白書2010」編集委員。著書に、「Twitter社会論 ~新たなリアルタイム・ウェブの潮流 (新書y)」など。
津田大介 (tsuda) - Twitter
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