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金融政策を「決められるFRB」と「決められない日銀」との大きな差

「セントラルバンカーの発言はなぜ理解しにくいのでしょうか。わざと真意をつかみにくいことを言って市場参加者の関心を集め、存在感を高めようとしているのでしょうか。その可能性も否定はできませんが、もっと大きな理由があります。重要なのは、中銀の情報発信のわかりにくさは、経済・物価情勢が不透明なことの反映であるという点です」(16日付日経電子版「イエレン、黒田… 中銀トップ発言なぜ曖昧?」
イエレンFRB議長の発言が理解し難いのは、一般人のほとんどが金融政を理解していないからである。さらに量的緩和を行ってきたことでFRBを含めて誰も経験したことのない金融状況になっており、金融政策の影響を正しく見積もることは極めて難しくなっている。

こうしたことを理解したうえでイエレンFRB議長の発言を見てみると、極めて慎重に未知の局面に対応しようとする謙虚な姿勢が伝わってくる。これまで曲がりなりにも世界経済が回復傾向を辿れたのもイエレンFRB議長の慎重な金融政策のおかげだともいえる。

これに対して黒田日銀総裁の発言が理解しにくいのは、金融政策とそれに関する発言が現実の経済と辻褄が合わなくなってきているからだ。

金融、経済状況を正見すれば、異次元の金融緩和の継続が唯一絶対の選択肢ではないことは明らかだ。経済は生き物であり、常に変化するものであることを考えれば4年以上も同じ政策を続けること自体が異常なことだといえる。異次元の金融緩和の効果で景気が回復していると主張しているのであればなおさらだ。

残念ながら黒田日銀は金融経済状況に応じた金融政策を期待されて誕生したものではない。安倍政権と日銀の間で結ばれた「2%の物価安定目標を達成するまで金融緩和を続ける」という政策協定を実行するためだけに誕生し存在している。

金融、経済状況がどんなに変化しても、黒田日銀がこの目標が達成できるまで手段を変えることは事実上出来ない。黒田日銀がこの目標を達成する前に金融政策を変えるということは、黒田体制の存在意義自体を否定することになるからだ。日銀総裁が政府によって決められた結論を正当化する発言を続ける以外に選択肢がないことが黒田日銀総裁の発言が分かりにくい最大の理由になっている。

イエレンFRB議長の発言は「未知との遭遇」という現実を正見した結果分かりにくくなっているのに対して、黒田日銀総裁の発言が分かりにくいのは現実を正見していない、することが許されないために現実と金融政策の間に整合性がないからだ。

同じ「理解しにくい」ものであっても、FRBと日銀の間では天と地ほどの差がある。

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