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どうしても雇用の回復を「ウソ」と言いたい人達

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世の中には強い政治的な色眼鏡でしか経済状況を見ない人達がいる。アンチ安倍政権の立場で極度の色眼鏡をかけている人達にとっては、失業率の低下や有効求人倍率が示す雇用の回復、人手不足も「ウソ」「だまし」と見えるらしい。

そんな事例を幾つか拾って、彼らが「ウソ」という内容がいかに根拠のないトンデモ論であるか確認しておこう。

トンデモ論その1:失業率の低下は団塊の世代など退職による生産年齢人口の減少による見せかけの改善に過ぎない。 http://www.mag2.com/p/money/167311 by 三橋貴明

引用:「日本の完全失業率が3%を切ったのは、アベノミクスのおかげではありません。人口構造の変化により雇用環境が改善している風に「見える」としか説明のしようがありません。

日本の失業率の下落について、安倍政権の経済政策の「おかげ」と、懸命に印象操作を図っている論客が少なくありませんが、もし本当にそうであったとしたら、就業者数が増えるはずです。ところが、現実には就業者数はすでに頭打ちになり、下落を始めています。」

この方は、多少統計データなども引用(ただし極めて恣意的に解釈)しながら、ひどく歪めた主張をするので要注意だ。

ここで同氏があげている就業者数のデータは、2015年11月から17年2月までの極めて短い期間のもので、しかも就業者の減少が始まっているとして上げられているのは、17年1月~2月のデータだけだ。

季節調整していない就業者データは、毎年1-3月に減少して4-6月期に増える季節的な変動をする。これは日本の年度が3月期末、4月期初になっているから、退職する場合は1-3月が多く、就職する場合は4-6月が多くなるからに過ぎない。

したがって、1-3月のデータで減少しているから就業者数の減少が始まっているというのは、このデータの季節的な変動の特性を知らないのか、あるいは知っていてもわざと無視しているかのどちらかである。

さらに重要なのは、生産年齢人口の減少を見るならば、日本の段階の世代が65歳になったのは2013年前後であるから、2013年を含んだもっと長期のデータで推移を見る必要がある。図1が2002年まで遡った就業者数と雇用者数の推移である。

安倍政権下での失業率の低下が主に生産年齢人口の減少によるものであるならば、総就業者数、総雇用者数は2013年以降減少、あるいは少なくとも横ばいであるはずだが、双方とも2012年を底に増加しているのがわかるだろう。

すなわち2013年以降の失業率の低下が雇用、就業の増加を伴ったものであることは明瞭だ。また前述の通り、就業者数、雇用者数が毎年1-3月に減少し、4-6月に増加する季節的な変動でのこぎりの歯のような形で推移していることも明瞭だ。

また、以前から強調しているように、正規雇用者数は2013年には減少したが、2015年からは目立って前年同期比で増加し続けていることを示すデータも図2で掲載しておこう。

トンデモ論その2:有効求人倍率の上昇は、景気回復の結果ではなく、労働力人口の減少などを反映したものである。 by 野口悠紀雄
http://diamond.jp/articles/-/92727
http://diamond.jp/articles/-/72636?page=5

引用1:「第1に注目すべきは、求職者の減少の影響が大きいことだ。 有効求人倍率は、(分子である)求人数の増加(つまり、雇用条件の改善)だけでなく、(分母である)求職者の減少(つまり、人手不足の深刻化)によっても上昇する。長期的に見ても有効求人倍率は上昇している。それは、求人数が増えたことにもよるが、労働力人口の減少によって求職者が減ったことの影響もある。」

引用2:「有効求人倍率が上昇しており、失業率が低下している。また、大卒就職率も高い。これらは、景気が回復したためだと解釈されることが多い。 しかし、実はそうではない。有効求人倍率の上昇は、求職者数の減少によって引き起こされている側面も強いのである。つまり、人手不足、労働力不足が深刻化しつつあると解釈することができる。この状況をやや詳しく見よう。」

野口氏は、アンチリフレ派の立場であり、私のような「条件付きリフレ派」の視点からは賛成できない政策主張も多いのだが、データに基づいた議論のできるエコノミストだと思っていた。ところが、上記の主張は「アベノミクス憎し」で目が曇ったとしか思えない。

同氏の認識の歪みは、やはりもっと長期のデータで有効求職者数と失業率の関係を見ると明瞭だ。それが図3と4である。

2003年からの図3の推移を見ると、失業率の変化と有効求職者数の変化がぴったりと連動して変化していることがわかる。2003年から07年までの景気回復期には求職者数は増え、08-09年の不況期に減少し、10年の景気回復期からまた減少トレンドを辿っている。この変化は生産年齢人口の変化とはほとんど関係がない。

図4はそれを散布図にしたものであり、双方の関係性の高さを示す決定係数R2は0.87、相関係数は0.935(最大値1.0)である。これは失業率の変化で有効求職者数の変化の87%を説明できることを意味する。

景気が回復局面では当然失業率は下がるわけだが、有効求職者数も連動して下がる。なぜなら仕事を見つけやすくなり、しかも失業中の人間が減るのだから、ハローワークに職を求めてくる人の数も当然減るのだ。 逆に不況下では、失業者が増えるだけでなく、仕事が見つけ難くなるので、何度もハローワークに来る人が増える。必然的に求職者数は増える。

もちろん、長期的に労働力人口が減れば求職者数の数は減るのは当然なのだが、短期、中期では景気の動向を反映して求職者数が増減する程度の方が遥かに大きいのだ。そして求職者数の減少自体が景気の回復、雇用の回復の結果なのである。

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