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松居一代と自民党 「死の棘」夫婦と「茨城の棘」 「週刊文春」7月20日号 最新レビュー - urbansea

「『死の棘』を読んだことがある人は、今回の松居一代さんを見て、ミホのことを思い出したに違いない」

 文春今週号の林真理子連載コラム「夜ふけのなわとび」の一節である。「死の棘」とは島尾敏雄の小説で、妻のミホが夫の日記を見たことから浮気の証拠をつかんで狂乱し、夫を責めたてることから物語は始まる。

 松居一代もまた、夫・船越英一郎のスケジュール帳やノートから浮気を確信して、憎悪に突き動かされるかのように、YouTubeなどでそれを訴えている。見事なシンクロ具合だ。


長門裕之通夜での松居一代、船越英一郎 ©山田真実/文藝春秋

政界でも起きている「長年のパートナーの仲たがい」

 長年のパートナーの仲たがい。そんな事態が政界でも起きている。自民党と公明党の不和である。

「ざまあみろだな」。今週の特集記事「自民党内、地方、公明から同時多発で噴出 安倍にNO!」によれば、自民党が喫した都議選での歴史的大敗をうけて、創価学会幹部はこう言い放ったという。(創価学会広報室はそのような事実はないと発言を否定) 

 これは公明党が都民ファーストと都議選で選挙協力をすることを受けての、安倍首相の「公明党抜きで勝利するいい機会だ」発言への意趣返しと言える。

 この二党の関係は松居・船越の夫婦関係よりも長い。その最初期を形づくったのは野中広務だと言って間違いあるまい。

まるで自らが生み出した怪物に襲われる博士

 かつて梶山静六は、自民党総裁選で小渕恵三に敗れた後、側近議員たちにこう言う。「小渕内閣は必ず公明と組むぞ。その窓口には野中がなる。あいつがみんな牛耳るんだ。公明票がなければ当選できないから、みんな野中に頭を下げなきゃならなくなる。

だからこれから野中が政界を支配する時代がつづく。そうなったら自民党は国民から見放されてしまう」(魚住昭『野中広務 差別と権力』講談社文庫)


野中広務(左)と梶山静六(右) ©深野未季/文藝春秋、雑誌協会代表

 この予言の前段は当たる。違うのは野中の支配はさほど続くことはなかったことだ。そのうえ自民党は公明党の集票力を借りながら、公明党が理念とする平和主義とは反対の方向へ突き進んでいく。そして今、野中は戦争経験者として安倍政権を批判する。

しかしこの十数年の政局を俯瞰でみれば、野中が始めた自公協力の延長線上に今の安倍内閣があるのであって、まるで自らが生み出した怪物に襲われる博士、そんなSF映画でよくあるような話ではないか。今になって自らが咲かせた花の棘に苦渋の顔をしたところで、その罪は誰にあるのか。

保守王国・茨城が安倍内閣に突きつけるもの

 安倍内閣に対し、地方から反旗を翻す動きもある。文春記事によれば、自民党茨城県連が退陣を迫る動きがあるという。茨城県は自民党の党員数が東京都、神奈川県、愛知県に次ぐ4位の保守王国だが、8月に控えた県知事選では擁立した候補が苦戦中だという差し迫った事情がある。

 その茨城県連内では、安倍総裁に対して「首相自らの出処進退を含めた抜本的な党体制の見直し」「森友・加計問題の真相究明」などを盛りこんだ“建白書”を提出する計画が持ち上がっているというのだ。

 この茨城県連の会長が梶山弘志で、前述の梶山静六の長男であり後継者だ。彼が野中の生んだ怪物を倒しにかかれば講談のような面白い話となるところだが、実際は煮え切らない態度を取り続けていると記事にはある。なんせ入閣適齢期なのである。

 それをおもえば、なりふり構うことなく、おのれの主張を世に問う松居一代の姿を見る目が変わりはしないか。……しないか。


©共同通信社

(urbansea)

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