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「こんな人たち」という言葉にご用心

 東京秋葉原での安倍総理の演説の一部

 「…こんな人たちに皆さん、私たちは負けるわけにはいかないんです…」

 このシーンをテレビで初めて観た時、「なかなかユーモアのあるアドリブだな…」と思ったが、なぜか世間ではそうは感じない(ジョークが通じない)生真面目な人もいるらしく、「安倍総理の看過できない暴言」とのことで「秋葉原発言」(秋葉原事件のもじり)と称して批判している人もいるらしい。

 「原因あれば結果あり」と言って、他人の話を邪魔立てするような悪因を作りたる者は、結果として誰からも話を聞いてもらえなくなるという結果を招く。その因果法則が正しく機能しているのならば、演説の最中に「安倍、辞めろ!」「安倍、帰れ!」などという罵声を大声で浴びせるような非常識な輩こそが、批判されて黙るべきところだが、どういうわけか、この国では、因果関係(常識)が逆転しており、悪因を作りたる者が正しいというような扱いになっている。

 「人の話を聞かず、公然と邪魔をするような人たち」に対して、聴衆の笑いをとる目的で簡略化されて発せられた「こんな人たち」という言葉。確かに1国の総理大臣が「そんな人たち」を逆利用して笑いを取ろうとした行いは軽はずみだったと言えなくはないだろうが、それでも、ここまで問題視されるような発言とは思えない。

■ステレオタイプ化された「こんな人たち」

 例えば、3野党の政治家が演説中、同じように「○○、辞めろ!」「○○、帰れ!」などという罵声を浴びせられた場合、その政治家が「こんな人たちに皆さん、私たちは負けるわけにはいかないんです」と言えば、どうなるのだろうか?
 その場合も、「政治家○○の看過できない暴言」と批判されるのだろうか? おそらく、その演説の場では、罵声にも屈しなかった勇気ある政治家として拍手・賞賛されるのではないだろうか? 今回の安倍総理の発言にしても、マスコミが批判的に報じなければ、これほど大きな騒ぎにはなっていなかったはずだ。

 その政治家の発言をどう捉えるかはマスコミの報道の仕方次第で如何様にも変えられる。そもそも、マスコミが政治家に忖度して報道しなければ、そんな出来事が有ったことさえ無しにできるのだから、内閣支持率などはマスコミの匙加減1つで如何様にも操れる。

 今回の一件からは、図らずも政治家はマスコミよりも低い立場にいることが分かる。
 以前、ある言論人が「政治家がマスコミを懐柔している」というような陰謀説を唱えていたが、実際のところ、日本では、第4権力であるマスコミの方が政治家よりも強い権力を有しているので、政治家がマスコミを懐柔するようなことはほとんどできない。同じ政治思想を持った者同士が協力し合うことはあるかもしれないが、それは懐柔ではない。

 政治家の話すことは全て国民に伝わっているわけではなく、どの部分を伝え、どの部分をカットするかは、マスコミによって取捨選択(コントロール)されていることは、今回の報道を見てもよく分かる。
 「こんな人たち」の為した悪因を無視し、安倍総理の「こんな人たち」という言葉以外を捨象し、恰も“弱者を威圧する権力者”の如く単純化されたイメージが作り出される。そのステレオタイプ化された分かり易いイメージだけで多くの国民は物事(善悪)を判断するようになる。これぞ、まさに洗脳である。

 「こんな人たち」という言葉に騙されないように注意しよう。

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