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実は他県でも…岡山県を震撼させる「人食い用水路」の正体とは!?

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岡山県で多発する用水路への落下事故

「人食い用水路」ってご存知ですか?いかにもB級映画丸出しのフレーズですが映画ではありません。現実で問題となっている用水路の話でニュースでも大きく取り上げられています。
岡山県で人々が用水路に落ちる事故が相次いでいる。自転車やバイク走行中の転落死は、過去3年間で31件。県内の交通事故死者数の1割を超える。なぜこうも危ないのか。
http://www.asahi.com/articles/ASJ6X5J5HJ6XUTIL04G.html
全国の至るところにある用水路ですが、なぜか岡山県で用水路への落下事故が相次ぎ、亡くなっているケースもあるといいます。まるで吸い込まれるように落ちていくことから付いた異名が「人食い用水路」。インターネット上で囁かれるようになったそうですが、ネット民のネーミングセンスには本当に頭が下がります。

岡山県の用水路は、岡山市で総延長約4000キロ、倉敷市に限ると約2100キロ。総延長なので用水路を1本に繋いだ場合の長さですが、4000キロというのはとても長い。というか用水路が多い。単純計算ですが、北海道稚内市から沖縄県那覇市を直線で結んでも約3500キロ。これだけ聞くと岡山市は用水路だけで足の踏み場がないように思えるほどです。

岡山県で用水路への転落事故で亡くなった人数ですが、発表されている資料をみると、2013年に13人、2015年には12人といずれも全国ワースト1位。

なぜ岡山県では用水路に転落死する事故が多いのでしょうか。岡山県警交通企画課に聞いてみたところ「用水路の多くに柵がないのが問題」だと言います。確かに柵が無ければ落ちる人も出てくるでしょうが、そうはいっても用水路。死亡事故にまで発展してしまうのは不思議ですが、理由がありました。岡山県の用水路は幅が広くて深いのです。2016年6月29日の朝日新聞にはこうあります。
4月12日午前8時ごろ、岡山市東区の用水路に男性が落ちていると、119番通報があった。県警によると、近くに住む男性(70)で、溺死だった。現場は、住宅街の市道沿いにある深さ約2メートルの用水路。幅2.1メートル、長さ3.2メートルの柵のない短い橋から、自転車ごと落ちたとみられる。
http://www.asahi.com/articles/ASJ6X5J5HJ6XUTIL04G.html
幅2.1メートル、長さ3.2メートルというのは想像よりもかなり大きな用水路でした。子供がまたげる程度の幅ではないどころかザリガニ釣りなどをして遊べるようなものではありません。川といっても大げさではないでしょう。

柵を作ればいいわけですが、作るにはお金がかかります。その予算がなかなか取れないというわけです。岡山市道路港湾管理課に聞いたところ「鉄製の転落防止の柵を設置するには1メートルで1万円かかります」との返答。

先ほどの長さ3.2メートルの用水路なら3万円弱の予算が必要で、約4000キロという岡山市の用水路全てに鉄製の柵を設置すると仮定した場合にかかる費用は400億円!人の命にかかわるとはいえ、この時代に地方自治体が400億もの出費をするのが難しいというのは容易に想像がつきます。

そのため岡山市では、事故が起こりそうな危険な場所を優先して、路肩に白線を引くなどして転落事故が起きないよう対策を取っているのが現状です。

事故多発でも用水路をなくせない背景

もう1つ問題があります。用水路は県道、国道などを管理をする自治体がバラバラで何か対策を打とうと思ってもスムーズにいかないのだといいます。縦割り行政の弊害か、管理が違うために作業が進まないという話はよく聞きますね。

このように落下防止の柵を作るなどの整備に時間とお金が必要だということですが、そもそも岡山県に用水路が多くなければこうした問題も発生しません。なぜ岡山県に用水路が多いのでしょうか。

県によると、岡山県は古くから田んぼや畑を耕して生活する農耕文化が発達していたそうです。特に県南部に広がる平野では、米作りが盛んでした。ご存知のように米作りには多くの水が必要不可欠です。

しかし、岡山県は別名「晴れの国」と呼ばれるほど降水量が少ないことで有名。岡山県のホームページにはこうあります。
県の南部の岡山市では一年間に1150mm程度しか雨が降りません。これは、全国平均の1750mmと比べると3割以上も少なく、降った雨だけではお米作りは出来ません。
http://www.pref.okayama.jp/page/detail-85542.html
それだけ雨の少ない地域のため、人々が目をつけたのが岡山の南北に流れる高梁川、旭川、吉井川の3つの河川。岡山県は雨が少なくても河川の水が無くなることはありません。岡山県北部に広がる山々に降った雨が地面に吸い込まれて谷に集まり川になるからです。その山から川へ流れた水を工夫して使ったことで米作りを盛んに行うことが出来ました。

つまり岡山県の用水路は、稲作文化のために必要不可欠だったというわけです。そうなると事故が多いからといっても無くすわけにはいきません。

蓋をすればいいのでは?と思いますが、岡山市道路港湾管理課に伺ったところ「蓋をするにも用水路を管理している管理者の同意が必要」だと言います。

はい、すぐ連絡。用水路を管理している岡山市の農村整備課に伺うと「蓋をすると泥が溜まり管理をするのが難しくなります」とのこと。農業用水を管理するためには蓋は邪魔ということですね。

昔は農業用地だったのが、時代の変化でその場所にも人が住むようになり、住宅と用水路が共存する町になったわけです。今後、こうした町をどう整備していくかが重要となってきます。

そうした中、対策に乗り出す民間業者も出ています。その1つが岡山市にある株式会社リプロ。再生プラスチックで作った杭やプレートの製造販売などを行っているリプロが光る路面材「測蓄光くん」を開発しました。

ほんのり蓄光標識体「測蓄光くん」

路面材「測蓄光くん」は、樹脂に光る材料を混ぜて作られ、はがれにくい専用の接着剤で路面に設置。昼間に太陽の光を吸収し、暗くなると自然に光を放ち、日が落ちてから約6時間は効果が持続するそうです。

用水路の脇に等間隔で設置すれば、地面と用水路の境界線を確認する目印になります。

用水路の転落防止のために鉄製の柵を設置するには、1mで1万円の費用がかかりますが、こちらは円形と四角形の2タイプがあり、価格は1個当たり150〜2500円になります。

サイズは円形のものが直径2.7cm、四角形のものが縦6cm、横8cm。狭い場所でも設置が可能で施工もしやすいうえに、メンテナンスの必要はほとんどないというメリットも大きいようです。

株式会社リプロが転落防止用の光る路面材を作った背景には、本社が岡山にあるのはもちろんのこと、リプロの近くでも高齢者が用水路に転落する事故が相次いだこと。

何度も試作を重ねて商品化し、すでに岡山市と倉敷市の3ヶ所の用水路に試験的に設置しています。今後は地元の声も聞きながら見やすい光の色や設置する間隔を探っていくそうです。

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