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蓮舫代表の戸籍提示と「戸籍意識」

 民進党の蓮舫代表が、自身の二重国籍問題の説明不足を補足するために、近々戸籍を提示して説明をするとの報道があった。

 丁度、秋に出版予定の戸籍に関する新著の執筆中でもあり、蓮舫氏の決断に対しての各所からの反応を興味深くみている。

 「自分が誰か」をどう証明するか。日本では「個人記録管理」の意識が低いため、例えば国籍と言った個人のアイデンティに関わる問題でも、その手続きについて個人で記録を残しておく人はごく少数であろう。(『個人が行う記録管理 : 東日本大震災からの教訓』 2016年 小形美樹)

 蓮舫氏もそうであった。だからこそ「記憶」に頼らざるを得なくなる。二転三転する説明は、個人ばかりか、代表をつとめる民進党への信頼度・支持とも関連し、選挙の結果や今後の政局とも絡んでくると見られている。個人所有の記録や記憶だけではその説明や疑念の払拭にまで至らなかったからこそ、指摘されるような「戸籍提示への圧力」もさることながら、真摯に対応しようと思えば公的書類・戸籍に頼らざるを得なくなったというのが実際のところなのだろうと思う。

 「戸籍を開示すべき」という人々の中には、「戸籍こそが日本人としての正統性の証」「戸籍がなければ日本人にはあらず」と思っている人もいるだろうが、実際にはそうとも言えない。
 戸籍のバグに関して言えば、近年では「幽霊老人」や「無戸籍問題」等、戸籍の杜撰な管理が社会問題化もしている。グローバル化他にも対応できておらず、この二重国籍問題や、重婚が可能であることも含めて、「戸籍制度」はかなりの問題を抱えているのだ。

 戸籍はコンピュータ化されたこと、また公開範囲が限定的になったこともあり、表面に出てくる情報は以前に比べて拍子抜けするぐらい少なくなっている。

 「全ての日本人は事実に基づき戸籍に登録され、厳格に管理されている」と信じて疑わない人々は、ぜひこの機会に「戸籍制度」の歴史と、現在の運用実態について見ていただけたらと思う。

 「蓮舫氏は戸籍を開示すべきでない」と主張する人々が背景として語る「差別意識」に関しては、その「恐れ」を持つについては必要なことと認めながらも、「過剰」になることによって逆に戸籍に実力以上の権威を与えてしまっているのではないか、との危惧もある。戸籍を開示すべきでないという人々の中にもいわゆる「戸籍意識」=「戸籍ファンタジー」に捕われている現実を見て、若干の驚きを持ったのも正直なところだ。

 以前にも書いたが、この問題は差別というよりは、コンプライアンスに関しての説明が曖昧で、証拠も不十分だったことによって生じ、拡大した問題であると思う。(台湾との戸籍問題についてや差別についての問題提起とその解決こそ、蓮舫代表に期待したところでもあるのだが)

 冒頭の論文でも取りあげられているが、「記録すること」の目的のひとつは「説明責任」を果たすこと、である。
 蓮舫代表がどのような説明をするのか、またその際、「記憶」の補助資料としての公的書類である戸籍がどの程度の役割を果たすのか、もしくは戸籍を提示することにより別の効果が生じるのか否かも含めて、注目したい。

 なお、各種選挙の候補者となる時には戸籍謄本もしくは抄本の提出が求められる。過去の資料がどう保管されているのかはわからないが、少なくとも立候補時においては第三者の目が入っているということも、つけ加えておく。

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