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再販制度が出版業界の首を絞め、アマゾンを急成長させた

【大前氏がアマゾン成長の秘密を解説】

 21世紀のグローバル経済は、アメリカで誕生したIT企業が急成長し、世界を席巻している。その中でも新しいビジネスモデルで日本の国内市場でも巨人となったアマゾンについて、経営コンサルタントの大前研一氏が、その強さの秘密を探る。

 * * *
 いち早く日本に上陸したアマゾンは、もはや“無敵”だ。日本経済新聞(6月28日付)がまとめた2016年度の小売業調査によると、アマゾンジャパンの売上高は初めて1兆円を突破した。

ヤマト運輸がドライバーの負担を軽減するために基本料金の値上げやアマゾンの当日配送を受け付けない対処をしたため、アマゾンは独自の物流網の構築を進めている。生鮮食品や日用品などを取り扱う「アマゾンフレッシュ」も、東京都と千葉県で対象エリアを拡大している。

 さらに書籍販売では、一部の既刊本について出版取次大手の日本出版販売(日販)を介さず、出版社から直接取り寄せる方式に変更した。おそらく今後はアマゾンによる出版業界の構造変革が起きるだろう。

 結果的にこれほど日本でアマゾンを強くしたのは、日販やトーハンなどの取次と出版社や新聞社などが守ってきた「再販売価格維持制度(再販制度)」である。本がディスカウントできるアメリカでは、アマゾンは割引販売で爪に火を灯しながらシェアを獲得してきた。一方、再販制度によって本が定価でしか売れない日本では送料をタダにしても儲かるため、最強の物流網を構築できたのである。

 つまり、アマゾンに“軍資金”を送り込んだのは再販制度なのだ。もともと出版文化を維持する目的で生まれた再販制度が、今は出版業界の首を絞めているわけで、実に皮肉な話である。

 今やアマゾンはクラウドコンピューティングサービスの分野でも世界最強になっている。ネット通販では、出品者に対して競合他社と同等以上の扱いを求める契約が独占禁止法違反にあたる可能性があるとして公正取引委員会の審査を受けたが、この問題はアマゾンが自発的に条項を削除したため解決した。今後、アマゾンは穏便にゆっくりと、しかし着実にシェアと収益を拡大していくだろう。

※週刊ポスト2017年7月21・28日号

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