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「湯浅誠さん」にいつまで我々は頼るのか

■アクセス数を稼ぐには、タイトルを工夫すること

こうしたブログ記事のアクセス数を稼ぐには(つまり書き手にいろいろな意味で有利になるには)、タイトルを工夫することだと言われる。具体的には、タイトルに、いま話題の事件や著名人を入れることだ。

僕も昨年あたりはその「法則」に則って、できるだけそうするようにしたが、ある種の虚しさを覚え始めたここ半年は、タイトルからそうした要素をできるだけ省くように努力している(それでもまだまだだが)。

だから今回のようにタイトルに「湯浅誠さん」と入れるのはだいぶ反則なのだけれども、一方で、湯浅さん的著名人が、その著名人の属するジャンルにいつまでも中心に居座っていては、そのジャンルそのもののの転回が遅れるという事態になっている気がするので、あえて書いてみる。

そう思ったのは、湯浅さんのこの記事をさらっと読んだことだった。

子どもの貧困 「居場所」とは何か? 居場所が提供するもの、そして問うもの

記事自体は湯浅さんらしい誠実なものだが、1.現場感が不足、2.ポリティカル・コレクトネスっぽい(タテマエが前面に出る)等の物足りなさは否めない。

が、そうした要素こそが、逆にいえば湯浅さんらしいので、それらを引いて読者は読むはずだ(僕もそうしている)。それらを引いても、湯浅さんが提起する最前線の問題(「居場所」の重要性)が可視化されることはありがたい。

■待機児童、ひきこもり/ニート、非正規雇用、児童虐待や貧困、発達障害……

だから、今回のブログ記事においても、湯浅さんは湯浅さんとしての使命(ミッション)を果たしている。読者は、人々が暗黙に了解しているが未表示のその社会変革的「湯浅ミッション」のファンであり(僕も)、そのミッションのファンであるからこそそれを読み、そこに「いいね!」する。

が、問題によっては、そうした「いいね!」たちだけでは物足りない領域に来ているものもある。

それは、待機児童問題であったり、ひきこもり/ニート問題であったり、非正規雇用問題であったり、児童虐待や貧困問題であったり、発達障害の問題だと僕は考えている。

いずれも、社会の変化とともに「問題」が問題として膨れ上がったり、結局は「問題」ではなかったんだとすまされたりする微妙なテーマ群だ。

それらのテーマ群は、日本社会の激変期であったこの20年に現れた。言い換えると、「失われた20年」に現れた問題群だ。

社会の変革期(具体的には、総中流社会から階層社会への移行)においては、ひずみが国民を襲う。それが、貧困問題であり、待機児童問題であり、ひきこもり/ニート問題であり、非正規雇用問題であり、児童虐待問題であり、発達障害の問題だ。

それらは社会の変革期ではない場合、実は問題ではない。正規雇用が90%前後であればひきこもり/ニートは問題ではないし、同じく発達障害も障害ではなく個性の一部になる。少子高齢社会でなければ待機児童は問題ではない。

最近、若者の雇用率が上がり「失われた20年」がついに終わり日本は新しい領域に入ったと言われているが(特集:韓国紙が総力取材! 甦る日本経済 2017.7)、いま次のフェーズに入りつつある日本社会においては、これまでの問題(たとえばニートや待機児童)は単なる階層社会がもつ問題の一部へと収斂されると僕は思う。

■「失われた20年」が本当に終わったということ

が、問題自体は残る。階層社会が確定されたのだから、待機児童問題も、ひきこもり/ニート問題も、非正規雇用問題も、児童虐待も当然残る。

だから、湯浅さんはこれからも発信/啓発していくだろう。

そして、それぞれのジャンルの「エース」たち(たとえば、待機児童問題であれば駒崎弘樹さん、ニート問題であれば工藤啓さんや玄田有史さん、発達障害であれば杉山登志郎さん、ひきこもり問題であれば斎藤環さん等)も発信/啓発していくと思わわれる。

が、社会は新しいフェーズに入り、問題は常時更新されている。そして同時に、これまでの問題も残る。

そうした時、「湯浅誠さん」たちに我々はいつまでも頼っていていいのだろうか。

「湯浅さん」たちに共鳴する人は、湯浅さんの次の新しいブログを待つのではなく、それら著名人の功績と弱点を踏まえながら、次々と自分のフィールドで行動し発信していく時期が来ているのではないだろうか。

それが、「失われた20年」が本当に終わったということではないのだろうか。★

※Yahoo!ニュースからの転載

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