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「英語4技能化に向けた、効率的な学習法を」隂山英男氏×岡健作氏対談

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2020年に予定されている大学入試改革において、英語の「4技能化」は大きなポイントの一つだと言われている。

これまでの「読む」「書く」中心の入試に「話す」「聞く」が加わることで、大学入試や既存の学習法が大きく様変わりすることが予想される。こうした英語教育、入試の変化にどのように対応すればよいのだろうか。

「百ます計算」などに代表される隂山メソッドで知られ、英語学習についても多数の著書を持つ教育者の隂山英男氏と、難関大学向けの予備校「烏丸学び舎」/「学び舎東京」や、英語学習のパーソナルジム「ENGLISH COMPANY」などを運営する株式会社恵学社の代表取締役・岡健作氏に話を聞いた。

「話す」「聞く」強化に知識だけでなくトレーニングが必要

隂山英男氏と、株式会社恵学社の代表取締役・岡健作氏(撮影:弘田充)

岡健作氏(以下、岡):隂山先生は、英語が苦手だったにも関わらず50代から学習を始められて、「隂山英男の英語学習『再入門』」という本も出されていますね。

隂山英男氏(以下、隂山):なぜ日本人が、なかなか英語を話すことができないかというと、これまではまったく必要がなかったからです。ですが、私の場合は、海外で反復学習を繰り返すという自分のメソッドが評価された結果、英語でそれを説明しなければならないという状況になりました。

50歳になってから、改めて英語学習をスタートさせて感じたのは、頭の中に入っている英語の知識はそれほど少なくないということでした。ただ全然それを生かせない。読み書きは大学入試などのために勉強しているので、時間と辞書さえあれば、何とか形になる。

ところが聞こうとしても聞き取れない。そのため、私の学習法の特徴の一つである徹底反復を行いました。同じことを何度も繰り返し聞くうちに最初は全く分からなかったものが、慣れてきて細かい部分が分かるようになってきました。

これにこれまで培った読み書きの知識の上に上積みされることで、ある程度聞き取れるようになりました。

ただ、今度は話せない。英語は日本語と語順が異なるので単なる徹底反復ではうまく行かない部分があるのです。しかし、この語順ということに関しては、中学校で学んだSVCやSVOといった 5文型が役に立ちました。

ですので、私が50代から英語学習を始めるにあたって重視してきたのは、徹底反復と基礎・基本の復習ということになりますね。

岡:我々の創業のメンバーの中には、立命館大学の大学院の中にある言語教育情報研究科で第二言語習得研究(SLA)を専門的に学んできた人間がいます。これは人間はどんなプロセスで言語を習得していくのか、ということを研究する学問ですね。

2010年に会社を立ち上げて、私塾という形でスタートしたのですが、その頃から今ほど明確ではなかったものの、「大学入試が2020年に変わる」という話はされていました。英語についてもより実践的な「聞く」「話す」を重視したものになるだろうということで、創業当初からこれまで、「実際に使う」ということを意識して烏丸学び舎や学び舎東京という予備校を運営してきました。その際にやはり、学問的な裏付けがあるメソッドというものが効果を発揮しました。

隂山先生もご指摘されているように、私も英語に関する知識を充分に持っている日本人は多いと思います。また、知識は正直独学でも努力すれば身につけることが出来る。ただ、知識を実際に使えるようにするためには、勉強というよりも「トレーニング」をしなくてはなりません。トレーニングの方法や量はその人のいまの英語レベルによって異なります。何度も繰り返し聞く、真似して発音するなど、それは人によって適した形があると思います。

ただ、どんな方法を採用するにしても、当然基礎が頭に入っている方が楽ですよね。これまでに身につけてこられた基礎的な知識や型の上に反復練習を重ねて、それがスムーズに使えるようにしていくという方法は、とても理に適ったものです。これを専門的には「知識の自動化」と言うのですが、隂山先生は、それをご自身のご経験から導かれていて、さすが教育の専門の方だと感じました。

隂山:日本の英語教育は批判されることも多いですが、そうした批判は、半分は正しくて半分はちょっと違うと思うんですね。

中学・高校の勉強というのは教科書を使う。つまり、そこで学んでいるのは文語なのです。私達がしゃべっているような英語をそのまま文章にしてしまうと簡単過ぎてしまうのです。ですから、学んでいる時間の長さの割には英会話ができないという状況になってしまう。

文語というのは、文法的に正しいですし、内容としても濃いので、これらをきっちりと学習していることはプラスにはなるけれども、ストレートに口語を使うことにはつながってこないわけです。

岡:ただ、こうした学校の教育方法も変わっていきます。これまでは、やはり「読む」「書く」中心にやってきましたが、これからは「聞く」「話す」を加えた4技能を重視する方向になっています。大学入試でも現在は、リーディング約8割、ライティングが2割くらい、数%がリスニングで、スピーキングはほぼゼロといった状況。なので、今後は「聞く」「話す」の練習を多くしていく必要があるでしょう。

そうなったときに、アプリを利用したり、外国人教師を導入したりという方法も重要なのですが、これまで英語を「聞く・話す」ということはそもそもあまり重視されてこなかったわけですから、どのような方法でやっていくかというのは、学校としても今後の課題ですし、試行錯誤が続くと思います。

我々は私塾なので、これまでも様々な施策を試すことが出来ましたし、今後も最適な方法を探っていくと思います。

この夏には東京と京都で、中学校3年生向けの「4技能ゼミ」という特別講座を開講するのですが、ここでは、第二言語習得研究の知見をベースにして、これまでの「読む・書く」ということに加えて「聞く・話す」ということを身につけるためのトレーニング法を学んでもらいます。

大切なのは理論に基づいて行うということだと思っています。良さそうなことをなんでもやれば良いというものでもありませんし、そもそも言語の習得には効率の良い順番のようなものがあることが科学的に分かっているのですから、それを意識した方がよいのです。

例えば、Skype英会話は非常によいサービスだと思います。これまでであれば、非常に高いコストがかかったであろう「ネイティブと会話する」ことがSkypeを使うことで安価で自宅にいながら実現できます。しかし、リスニング能力が不足していたり、短い文章もすぐに出てこないという段階の人が、ネイティブと会話をすることによって本当に効率的なトレーニングが出来るのかというと、そうではないのです。

これは、スポーツに例えると分かりやすいのですが、初心者がいきなり練習試合ばかりやっても効率的ではないのと似ています。ある程度、筋トレや素振りをした上で、練習試合に望んだ方が効果的なのは当たり前です。

もちろん、ネイティブと話すことで能力が高まるという人もいるでしょうが、相手の話していることがそれほど聞き取れないという状況で続けても、効果は高くありません。それならば、先ほど隂山先生が言われたように、反復して何度も同じCDを聞いた方がはるかに効率的です。

重要なのは「環境」ではなく「指導」や「学習法」

撮影:弘田充

隂山:4技能化については、僕は正直「そこまでやるか」と思いました。これまでは、指導要領に従って教科書が出来て、教科書の内容を学習出来ているかを確認するために試験があったわけです。

これまでの入試が見直されるということは、学校側の授業内容も大きく見直さざるを得ません。そうなると、成功した民間教育を導入するところが増える可能性もあると思います。

岡さんは、予備校で英語を教えていく中で、生徒達から「学校とここが違う」といった声を聞くことはあるのですか?

岡:例えば、これまでのリーディングの授業というのは、いわゆる精読とか訳読と呼ばれるもので、文の構造を全部細かく捉えながら日本語に訳していくものでした。

しかし、徐々に変わってきていてセンター試験などでは、リーディングといっても比較的平易な文章を大量に素早く読むような形になってきています。私大の入試なども、そうした傾向がある。

こうした変化に対して、飛ばし読みのようないい加減な方法ではなく、ネイティブがやっている脳の動きをマネできるようになるトレーニング方法で指導しています。そうすると、やはり読むスピードが劇的に早くなるので、生徒達もびっくりしますね。同時に、速く読めるということはリスニング力、つまり英文を聞いて次々に理解していくということにつながります。

隂山:言語学習については、「実際に外国で生活してみるのが一番効果的」といった話を聞きますが、おっしゃるとおり指導や教育というのは非常に重要です。

例えば、ある私立小学校では、いわゆる「お受験」があるのですが、ある時、お母さんが外国人、お父さんが日本人という子が入ってきたそうです。

こういうケースですと、英語は出来るんだけども日本語の方にむしろ遅れを感じるということがあるのですが、その子は、日本語も非常にうまくて、英語で話しかけても日本語の3倍ぐらいの勢いで返ってきたそうです。

親御さんに「何故、こんなに日本語がうまいんですか?」と聞いたら、「いい先生につきました」との答えでした。つまり、言葉というのはどこか自然に環境に触れていればよくなるというイメージがあるんですけれども、実は違う。指導が重要なんです。

「環境が整っていれば、バイリンガルになれる」というのは危ない考え方ですし、両方の言語があやふやになってしまう危険性もあります。実際、皮肉なことに、現在注目されているインターナショナル幼稚園は日本語の指導に大変力を入れているそうです。

◆学び舎東京(東京)と烏丸学び舎(京都)では、現中学3年生を対象とした「英語4技能ゼミ」を7月29日〜8月2日(Ⅰ期)及び8月19日〜8月23日(Ⅱ期)に開催します。(京都のⅡ期は8月20日〜24日)>

詳細は、学び舎東京公式サイト烏丸学び舎公式サイトよりご確認ください。

[ PR企画 / 株式会社恵学社 ]

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