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乳がん 麻央さんのように切らない選択する人の治療法

 歌舞伎俳優・市川海老蔵(39才)の妻・小林麻央さん(享年34)が6月22日に亡くなった。その病名は、乳がん。生涯のうち12人に1人がかかるといわれている乳がん。芸能界でも乳がんを患った女性は少なくない。

 生稲晃子(49才)は2011年、42才のときに右胸に8mmほどのがんが見つかった。しこりを中心に周囲の組織を取る部分的な手術を受けるも2012年と2013年に再発し、3度目の手術で右乳房を全摘出した。

 北斗晶(49才)は2015年9月、48才で右胸が乳がんに侵されていることを告白。全摘出手術を受け、その後抗がん剤の投与やホルモン治療を続け、現在は仕事復帰している。南果歩(53才)は2016年2月、52才でステージIの乳がんと診断された。部分切除手術をした後、抗がん剤、ホルモン治療をしながら舞台に立っている。

 その他、多くの乳がん経験者に共通するのは「切った」ことだ。元国立がんセンター中央病院院長の土屋了介氏が説明する。

「前提として、がんが他の臓器や骨などに転移していて、手の施しようがない場合には、そもそも“切れない”ということになります。『姑息的手術』といって、痛みがあったり日常生活に支障がある場合に手術することはありますが、あくまでがんを治すための手術ではありません」

 昨年10月、麻央さんはQOL(生活の質)向上のための手術を受けている。これも、痛みを取るために行われたものだった。

「対して“切れる”場合には2通りあり、手術ですべて切り取ってしまうことで治るケースと、手術に加えて抗がん剤などの化学療法を併用するケースです」(前出・土屋氏)

 がんが発覚した段階では、麻央さんのがんは“切れる”状態だったと推測できる。

 だが、体にメスを入れることに抵抗を覚える人は少なくない。女性心理としてもなおさらのことだろう。

「乳房と命のどっちを大事に考えるかは、本人の価値観の問題でもあります。ですが、“切らない”選択をする患者は珍しいです。以前は乳房の下の筋肉もすべて切除していましたが、医療の進歩によってがんの場所いかんでは乳腺を取る程度で、早期なら乳房の形もあまり変わらずに一部切除で済みます。リンパ節への転移など進行している場合には広い範囲での切除が必要になりますが、それでも近年は乳房の再建手術の技術も発達しています」(前出・土屋氏)

 それでも、麻央さんのように「切らない」選択をした患者にはどう対処するのか。

「抗がん剤や放射線をうまく組み合わせていくことになります。抗がん剤を投与してがんの動きを弱めたり、サイズを小さくし、残ったがん細胞に放射線を当ててやっつける。あるいは、手術の代わりに放射線治療を存分に行い、抗がん剤を併用するといったことが考えられます。それだけで治せる可能性もゼロではありません。

 ですが、それはあくまで早期であることが大前提ですし、かなりの少数派。手術と化学療法の併用が基本であることはいうまでもありません」(前出・土屋氏)

 命の尊さ、夫や家族への深い愛情、姉との強い絆…麻央さんは、多くのものを遺して天国へ旅立った。そして、麻央さんの闘病を見て、乳がん検診を受診した20~30代の女性も数多い。

 乳がんと向き合うと、重大な選択が次から次へと迫る。切る切らないという選択もその1つ。切る切らないにどう向き合えばいいのか…私たちが知っておかなければならないこれらの選択肢もまた、彼女が遺してくれたものなのかもしれない。

※女性セブン2017年7月20日号

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