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電通労基法違反事件はこのまま略式命令で終結するのか?

先週末、マスコミで報じられておりますとおり、電通さんの違法残業事件(労基法違反事件)におきまして、検察当局は労働基準法違反罪の両罰規定を適用して、法人としての電通さんを略式起訴しました。一方で、注目されていた幹部個人についてはいずれも不起訴とされています(ただし違法行為を認定して「起訴猶予」とのこと)。電通さんでは、企業体質として違法残業が根付いていたため、個人の責任が大きいとは言えない、と当局は判断したそうです。

これで電通事件も終結したと報じられていますが、果たしてそうなるのでしょうか。たしかに電通さんの場合、略式命令の請求先は東京簡裁であり、これまで(東京簡裁では)略式裁判によって手続きが進行するのが慣例です。しかし大阪簡裁では、昨年11月から今年にかけて、法人の労基法違反事件が4件、略式命令を「不相当」と判断し、正式裁判による審理が行われています(根拠は刑訴法463条1項)。裁判所も労務事件に対して厳しい姿勢をとるようになりました。なかでも上場会社であるサトレストランシステムズさんの事件では、正式裁判に移行し、法廷での謝罪(経営トップによる)などが報じられ、関西のニュースでも大きくとりあげられました(たとえば産経新聞ニュースはこちらです)。

検察当局が「企業体質として違法残業が根付いていたこと」を個人責任追及断念の理由とするのであれば、本当に今度こそ企業体質を変える意思があるのかどうか、経営トップから裁判官が直接話を聞きたいと思うのは当然ではないかと。また、全社的内部統制(統制環境)をどのように変えるつもりなのか、そのコミットメントをきちんと法廷での証言として残しておくべきだと思われます。過去にも同様の問題が発生している電通さんだからこそ、書面審理だけでなく、直接口頭主義によって経営トップに法廷で約束をしてもらう意味があるように思います。

労務コンプライアンスへの対応の変化は、厚労省(労働基準監督署)だけでなく、おそらく今後は司法判断にも及ぶのではないでしょうか。これまでは大阪簡裁が中心でしたが、今後は東京簡裁でも労基法違反、安衛法違反事件に対する公判審理が増えるような気がします。ただし、内部通報窓口の仕事の中で気づくことですが、労務コンプライアンスが叫ばれる一方で、今度は新たな問題が店長、支店長といった労組組合員の少し上にいらっしゃる従業員の方々の間で発生しています(それはまた別途エントリーにてお話ししたいと思います)。

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