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初デートはどっちが払う? アプリ世代の悩み

「女性に支払わせないのは失礼だとすら感じることもある」と話すバードさん
「女性に支払わせないのは失礼だとすら感じることもある」と話すバードさん Photo: Joshua Wong

 かばんの中の財布に手を伸ばすそぶりを見せつつ、相手の男性がそれを阻止しておごってくれることを期待する。米ユタ州プロボに住むティネシャ・ザンダメラさん(23)は、初めての相手とのデートではいつもそうしていた時期もあった。

 今では伝票がテーブルに届けられても反応せずに座り続け、財布を探すそぶりすら見せなくなった。「もし財布に手を伸ばしたら、全額を支払うはめになる可能性すらある」とザンダメラさんは話し、「こっちが支払うことを止めようとする人は誰もいない」と続ける。

伝票に手を伸ばすのは男性?それとも女性?
伝票に手を伸ばすのは男性?それとも女性?

 「ティンダー」などの出会い系アプリが人気を博す今の時代、古くから続く恋愛作法も変わりつつある。伝票が届くと男性側が支払いをすると想定しつつも、女性は財布に一応手を伸ばしてみせる、「ザ・リーチ」と呼ばれるこのしぐさにも、変化が現れ始めているという。

 出会い系アプリの人気拡大に伴い、独身の男女が初デートを楽しむ機会が以前よりも増えている。多くの女性は「財布を出すふり」はやめたと話す。結果的に割り勘になるだけでなく、おごることにもなりかねないからだ。今は伝票が届くとお互いの出方を見計らいながら、ガンマンのようなにらみ合いが発生する。

個人送金アプリでデート後に請求も

 ミシガン州ロチェスターヒルズに住むジャクリン・サチタさんは、18歳の誕生日のデートで勝負に負けた1人だ。アカウントスーパーバイザーとして働くサチタさんはその日、映画を見にデートに誘われた。チケット売り場についても相手の男性は支払うそぶりを全く見せずに居心地が悪くなったため、結局自分で2人分のチケットを購入し、ポップコーンとドリンクまでもおごることになった。

 「かなり居心地が悪かった」と話すサチタさんは、「誕生日に本人に支払いをさせるような人などいるだろうか?」と振り返る。

アレックス・ポールさんl
アレックス・ポールさんl Photo: Alex Paull

 アレックス・ポールさん(19)は最近、ティンダーで出会った男性と食事に出掛けたが、デートに誘ったのも食事の場所を選んだのも相手だったため、伝票には手を伸ばさなかった。デートが終わり自宅まで送ってくれた後、相手は個人間送金アプリの「ベンモ」を使い、食事代として20ドル(約2260円)を請求してきたという。ウエストバージニア大学の学生のポールさんはベンモでブロックをし、支払いを拒否したと振り返る。

 同性愛の男性が主に利用する出会い系アプリ「グラインダー」では、コーヒーやカクテル程度で済ませる割安なデートを求める人が多いとフロリダ州オーランドに住むバイロン・ノートン・ウォルフさん(51)は話す。ウエーターとして働くウォルフさんは、同性カップルの場合は「財布に手を伸ばさない方が大抵は若い」と指摘。だが中には伝票が届く前にトイレへ立ち、店の外で待っていると伝えてきた相手もいたという。

財布に手を伸ばさないのは「逆パワープレー」

 エチケットに詳しい専門家によれば、デートの際の支払いルールは複雑なものではない。「誘った方が、支払いをするものだ」と話すのは「Modern Etiquette for a Better Life(仮題 よりよい人生のための現代エチケット)」の著者、ダイアン・ゴッツマン氏だ。「ただし相手がこのルールを知らない可能性や、そもそもデートをしていると気づいていない場合もありえる」と同氏は続ける。

 弁護士のアレックズ・プールさん(30)はニューヨークに引っ越してきた4年ほど前から「ザ・リーチ」への反応に変化が見られ始めたと話す。以前は財布に手を伸ばすと大抵は相手の男性がその動きを阻止しておごってくれたが、今では自分が負担すべき以上の額を支払わされることばかりだ。最近はデートの際にお酒だけでなく食事も注文すべきか聞いたところ、相手に「家に食べるものはないのか?」と聞かれたこともあった。

 ドイツ銀行が行った調査によれば、ニューヨークやサンフランシスコでは映画と食事と少しのお酒、そしてタクシーの交通費を合わせると、デート1回の費用は2人で約130ドルだ。週に3回でかければ、1年間のデート代は2万ドルにも達する。

 ジェンダーへの意識が変わりつつあることを好意的に受け止めている人もいる。サンフランシスコのベンチャーキャピタル(VC)で働くマイルズ・バードさん(27)は、「女性に支払わせないのは失礼だとすら感じることもある」と話し、男性が支払えば「いかにもステレオタイプという感じになってしまう」と続ける。バードさんはデートでは割り勘を提案するが、全額を支払わされることもあるという。

「ガールズ・チェース」のアマンテ氏
「ガールズ・チェース」のアマンテ氏 Photo: Joshua T. Goldstein

 「財布に手を伸ばすべき時に手を伸ばさないのは、逆パワープレーだ」と話すのは、男性向けにデートの助言をするウェブサイト、「ガールズ・チェース」を創設したチェース・アマンテ氏だ。「男性が支払いをすることで力を誇示しているというよりも、女性が男性に支払いを強制させることで力を誇示している」と同氏は指摘する。

女性の39%は男性に支払いを期待

 英アングリア・ラスキン大学で社会学の講師を務めるジュリア・ロング氏は、男性側がデート代を出す風習は古い時代の騎士道の遺物であり、所有物という含意もあるとし、「女性はお金で買えるコモディティではない」と話す。

 一方で前出のザンダメラさんは、女性の方が男性よりも収入が少ない傾向が今もあるため、男性側が食事や映画代を支払うのは理にかなっているとし、「せめて男性側から誘ったデートは、男性側が支払いを担うべきだ」とする。

 米チャップマン大学で心理学を教えるデビッド・フレデリック教授は、1万7600人を対象にした調査結果を2015年に共同で発表。女性が支払うそぶりを見せたとしても、男性はそれを制して全額支払ってほしいと考える女性の割合は39%だった。

By Khadeeja Safdar

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