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いきなり「アマゾンです」と言われたんだけど~『宅配がなくなる日』



先日、自宅の呼び鈴が鳴った。十中八九は届け物だし、心当たりもあったわけでそのつもりでボタンを押す。

「アマゾンです」

そう。たしかにアマゾンで頼んでいたのだけれど、違和感がある。そうか、今までだったら「ヤマト運輸です」だったのだ。

そして、「アマゾンさん」は紺色の服を着たどこかの配送業の方だった。その後も、同じ方がやって来る。でも、僕にとっては、「またアマゾンを届けてくれた誰か」である。

一方で、ヤマトの場合は「誰が届けてくれるか」がわかっていた。家に一番来るヤマトの人はKさんで、最近は女性のNさんもいる。その前はMさんやTさんだった。自宅で仕事をしていることが多いので、結構顔見知りにもなる。

つまり、僕にとって「アマゾン」という“便利な”ブランドは、ヤマト運輸の彼らによって成り立っていたのだ。「アマゾンという何だかすごいシステム」は遠くにあるが、それを「現実化している人」として、ヤマト運輸のドライバーとの間には、ある種のエモーショナルな絆が成立していたことを改めて感じだ。

そういえば送り主のトラブルで配達が遅れた時なんか「すいません」「別にいいですよ」とかやり取りしていて、単に配送者と客という関係じゃなかったんだな。

一方で、「アマゾンです」と言ってくる彼は誰なんだろう?

運輸会社も、ましてや名前もわからない。今度不在者伝票が入っていたら、確かめられるのかもしれないが、あの匿名の「アマゾンさん」は何か引っかかる。

SF的に考えると、アマゾンというアンドロイドだったりして。というか、将来はそうなるんだろうな。

とはいえ、そんな妙な喪失感を味わうのもいっときのことだろう。物流の合理化はさらに進まざるを得ないだろうし、「人と人の接点」というのもなくなってみれば、意外にもすぐ慣れる。

そういえば服を買う時も、知っている店員のいる店に行かないで、ネットで済ましたりしてるよな、と思っていたらこんな本を知った。

『宅配がなくなる日』というタイトルだけど、宅配の話に続いて三越伊勢丹の問題が論じられている。一見すると関係なさそうなこの2つのテーマだけれど、サブタイトルの「同時性解消」という言葉がカギとなっているのだ。

電話とメールなどが典型だが、「同時に複数の人を拘束する」ということが解消されていく中で、どのようなビジネスの機会が生まれるかを論じた一冊だ。著者はフロンティア・マネジメントの松岡真宏さんと山手剛人さんである。

既に「そうだよな」と思っていたこともあるけれど、もちろん気づかな点もある。そして、実はこの「同時性解消」についてきちんと論じた本は今までなかったんじゃないか。そこを起点にして将来を考えるというのも、おもしろい。

人口減少社会における、新しい切り口の提言もあって、これからのマーケティングにおける1つの視点としても大切な切り口の一冊だと思う。

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