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日欧の新時代

幕末から明治初期にかけて将来を嘱望された多くの人たちが欧州視察に行きました。訪米団もありましたが、オランダやポルトガルなど歴史的つながりもあってか、欧州に学ぶという傾向が強かったと思います。そしてドイツに影響を受けた大日本帝国憲法など日本はまさに「脱亜入欧」でありました。

日本と欧州の付き合いはその後、日英同盟や英国での起債が勝利に結びついた日露戦争、更には戦争時代には外交官、杉原千畝氏といった歴史に残る人材も輩出しました。

ぐっと近年になると欧州のブランド製品、特にフランスやイタリアの宝飾品や衣服に多くの日本人女性は歓喜狂乱し、グルメ旅行や欧州歴史探訪を通じて遠い欧州に憧憬すらあったと思います。最近では景気が悪く、失業者が増え、ギリシャ問題や頻発するテロで欧州人気はかつてほどではないにせよ、日本と欧州は長い歴史が支えてきたといっても過言ではないでしょう。

その欧州に対して韓国は2011年に自由貿易協定(FTA)を締結、また中国では欧州ブームが巻き起こり、巨額のギリシャへの資金援助や習近平国家主席が主導する一帯一路政策が着実に進行しています。日本は明らかに対欧州で出遅れていたのです。

今般、日本はついに欧州とEPA(経済連携協定)締結の大枠で合意することになりました。これはTPPの行方が定かでない今、日本にとって極めて意味ある提携であります。ちなみに自由貿易協定(FTA)と経済連携協定(EPA)はどう違うのか、と言えば経済連携協定は自由貿易協定の枠組みである関税の撤廃や制限を超えて知的財産や投資ルールなどより幅広い範囲での協定であり、韓国の自由貿易協定を上回る内容となります。

欧州からはワインやチーズ、ブランドものが、日本からは自動車や電気製品の輸出が期待されています。ワインにおいては1本当たり93円程度の関税撤廃ですので消費者にとってのメリットは大きいでしょう。日本では小売業者が関税撤廃を記念して欧州製品フェアなどを打って出ることは確実で消費者の欧州ブームが再び巻き起こる可能性は大いにあると思います。

これはTPPから降りたアメリカに見せつける形にもなり日本はアメリカに強気の通商政策を取れると考えています。

ところで日本と中国に挟まれた人口5000万人の韓国が生き残るためにはどうしたらよいのか、という議論は同国の大統領が変わるたびに出てくるテーマでありました。そして李明博氏が強く主導したように「欧米への輸出政策」がその拠り所でもありました。個人的には韓国におけるこの政策は成功したとみています。

日本は今年1月1日時点で昨年より人口が30万人減少し8年連続の人口減となりました。もちろん韓国ほどの人口にはなりませんが、生産年齢人口(15-64歳)でみると今後プラスに転換することはなく、2020年代半ばからその減少幅は急激に進化していきます。つまり、日本の経済を支える柱がどんどん細くなるのです。この対策は「稼ぐ日本」を作り出すしかありません。それは仕組みを整えることでなしえるはずです。また、中長期的には日本のGDPが現状の年1-2%成長を維持し続けるなら少子高齢化で将来一人当たりのGDPが急騰する仕組みが存在します。これは日本の繁栄につながるわけでそうなれば人口はまた増えてくるかもしれません。

日米と日欧の関係を考えてみましょう。日米関係には深く熱いものがあると同時に戦争で痛めつけられ、GHQに押し付けられ、新しい憲法までおまけに作られてしまいました。日米安保では国を挙げての大騒動、工業製品をアメリカに輸出すれば貿易戦争が起き、不動産を買えば「日本はアメリカを買収する」と脅され、日本は常にアメリカに振りまわれてきた歴史でもあります。

一方、欧州と日本の関係は冒頭にも書いたように比較的穏便で長く、様々な国との付き合いが日本に素晴らしい文化を生み出したとも言えます。我々がドラマや映画でみる戦国時代は鉄砲伝来でその戦の仕方は大きく変わりました。豊臣の時代にはその鉄砲はすでに世界最高数が存在していたともされるのです。こうみるといかに日本の歴史に欧州が深く根付いているかお分かり頂けるかと思います。

日欧の新時代は日本に変化をもたらす予兆になるのでしょうか?楽しみです。

では今日はこのぐらいで。

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